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第1話

 

 

 

 男は。

 元気で明るくて。それで尚且つ、ピアノや料理が上手な人に惹かれていく。

 だから。だから私には程遠い存在だった。

 

 

 私はピアノが出来た。

 

  

 妹も、ピアノが出来た。

 

 

 

 私が好きだといった相手は、絶対にピアノも出来て料理も出来て。私なんかとはちがく、元気で明るくて、活発な妹を好きになっていた。

 別に、嫉妬とか妬みとか。そんなのなって今まで妹に対して持った事は無かった。なんていったって、私だって羨ましくて、生まれ変わるなら、妹がいいなとは思った事があった。

 私は認めていた。昔から、妹のほうがもてていて、私なんか誰の目にも触れられないことくらいわかっていたから。それに、私である姉思いだから。妹ならそんな妹がほしいなんて、小さい頃に母にいった事がある。

 だから、それ以上を求めようとはしなかった。

 

 

 

 違う。

 諦めがあった。

 私は、アナタみたいな妹が出来てよかったと、この病室から何度も笑いかけてあげた。すると、嬉しそうな微笑を見せてくれる。

 私も、どうせいつの日にか、妹よりも先に逝ってしまう事が決まっている私だから、恋愛になんか触れないようにしていた。

 惚れっぽいところがあるのは自覚している。

 だから余計に、好きにならないように。外をあまり見ないようになってしまった。

 

 

 

  

 ピアノ。

 小さい頃から、凄く好きで、人一倍練習した。実際のところ、妹よりも素質はあるといわれた。でも、断念しないといけない時が着てしまった。

 最初、その事を聞いたときは、素直に自分の事では無いような気がした。

 ピアノに専念をしすぎた所為で、指に異変が現れたのは、中学二年生くらいの事だった。

 少し、ピアノの所為だという事を気付いてしまっていた所為か、親には言えず、黙って保険証などを持って病院に行った。

 良い結果を待っていたのにもかかわらず、思ったとおり、ピアノから来た疲労と絡む病だった。人一倍頑張り、いろんなプレッシャーをかけすぎてしまい、指がついてこなくなってしまっていたのだ。

 これ以上ピアノをやるのは、下手したら精神からも来て命に関わる。

 そうそのときの医者に言われた。

 でも、それを親などに伝える勇気も無く、私はそのままピアノを一生懸命頑張った。でも……。

 それはいつの日にか気付かれる事。

 手が動かなくなり、脳みそから血がすべてなくなっていくかのような貧血に襲われ、ピアノの椅子からずり落ちた。

 

 

 もちろん救急車に揺られて病院で。

 

 

 

 

 

 

 ピアノを続けられなかったから、二歳下の妹が小学校三年生の頃から始めていたから、そのまま妹に、私の分まで頑張って。と、心にも思っていないことをその時は言った。

 でも、妹はそんな私に泣いた。

 

『私……おねえちゃんみたいに楽しく綺麗にひく事なんて出来ないよ!』

 

 と。

 でも、少しそれがうれしく思えた。

 

 

 初めて妹に勝てたと思った瞬間だった。

 

 

 

 

 恋はした。でも、その相手は妹が好きだったから、私と一緒にいて、妹の事を知ろうとした。

 好きだとはそのとき伝えなかったが、諦めた時に好きだった。とは伝えた。でも、普通に友達とかではなく、私からその男を避けた。

 

 

 





「気分はどう?」

 

 カーテンを閉め、軽く窓を開けている場所から、静かにカーテンを靡かせながら風が入ってくる。

 その中に、母が静かに入ってきた。

 私は、読みかけていた「心のドア」という本にしおりを挟み、パタンと閉じて、母のほうを見上げた。

 スッと微笑んで、大丈夫だよ――と呟く。 

 病院に入って四年。きちんと学校に通っていれば高校二年生だった。

 いつも、クラスで静かに授業を受け、静かに学校から帰ってきている所為で、友達があまりいない。いや。あまりどころではなくて、本当にいないと言っても悪くは無い。だから、他の人がお見舞いにくる事なんか無かった。


「どう? あの子元気にしてる?」


 私は、気まずい雰囲気を消すかのように、妹の話を振り掛ける。


「えぇ。元気にしてるわよ」


「そう」

 

 特に話す事なんか無い。

 一日おきで来る母。話す言葉なんて思いつかない。出来る事ならば来てほしくないと言うのが、心の奥底からの本音だった。

 

「そういえば、さっき男の人がここの病室はいるかどうか迷ってたのよね。大分前にも、外からこの病室見上げてたし……知り合い?」


「男?」

 

 男となんか、本当に接点なんてないはずだ。

 幼馴染とかだっているわけでもなく、クラスの人だって、特別しゃべる人がいたわけでもない。


「それで、花渡されたわよ? 入る勇気無いのでって。是非渡してあげてといったんだけど押し付けられちゃって」


「……ふぅん」

 

 少しばかり理由はわかった。

 また、妹と仲良くしたいがために、私を利用しようとしているのだ。

 そう考えたほうが、へんな期待なんてしなくて良い。







 でも、まさか命の少ない私が、マンガのような出来事になってしまう事なんて、夢にも思っていなかった。

 

 

 

 

 

作者の壬哉です。

今回は読んでくださってありがとうございます。

恋愛というのは、初めて作ると言っても間違えでは無いくらいの初心者です。

文章構成など以外でも、気をつけてはいますが、誤字脱字が耐えません。

いろいろと指摘などもよろしくお願いします!

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