第18章 琢磨と樹潤つくばサーキット再び
本番まで後2日に迫った年の瀬の30日、琢磨と樹潤はつくばサーキットに戻って最高速の運転を確かめに来ていた。受付に行くといつもの人が居た。「予約した手子生樹潤です。今日は2台です。トランスボンダー貸してください。」樹潤は係員に言った。係員はカゴに入れて2台貸してくれた。ピットに車を入れて車検を待った。琢磨は前の日にマフラーを交換していた。ZEESのサイバーEX4本出しに変えていた。早い内に手をうった。もちろん、保安基準合格品だ。やはり、音は静かになった。性能には問題なし。「この車、マフラー変えたんですか?この間とちがうので?この間のマフラー音が大きく感じたのですが、保安基準合格していたみたいだったので何も言いませんでした。」係員は琢磨の顔を見た。「はい。変えました。音が気にいらなかったので。」見抜かれていた。琢磨は苦笑いを浮かべた。「この34GTRは問題なし。」係員は樹潤の車には何も触らなかった。二人はトランスポンダーを決められた所に付けてヘルメットをかぶった。レーシングスーツは家から着て来た。今日は2台一緒に走るので二人共ピットを出てスタート地点まで行った。二人はほぼ同時にスタートをきった。スタートダッシュは流石に34GTRの勝ちで第一コーナーをとった。34GTRが先頭に立つかっこになった。第二コーナーで34GTRのけつについたNSXだったが樹潤のドライビングテクニックでコーナーで離されていった。第一ヘアピンで樹潤は失敗をおかした。出口で大きく膨らんだのが見えたので琢磨はインを攻めて抜き返した。頭に出たNSXを34GTRが隙を見て追い抜きにかかろうとしていた、ダンロップコーナー、MCコーナーと続くが琢磨は隙を見せなかった。第二ヘアピンでNSXのけつに着いた34GTRは次のバックストレートでスリップストリームに入った。そして軽々とNSXをぶち抜いていった。琢磨も34GTRに並走して走った。最終コーナーに入って接触しそうになるが琢磨はそれを避けた。最終コーナー立ち上がって180キロに達していた。34GTRも180キロは余裕で出ていたと思われ第一コーナーに入って行った。ブレーキランプが2回ついた。琢磨はそこを見過さずインに入った。先頭に立つことが出来た。最終コーナーまで琢磨が先頭を走ったが最終コーナー立ち上がりで34GTRに抜かれストレートで並走して第一コーナーを一緒に入って行った。琢磨はミスをおかし、コースアウトし、セーフティゾーンに車を入れてしまった。その周回は樹潤に追いつく事が出来ず最終コーナーまで樹潤の動きを確かめていた。最終コーナー出口でスリップストリームを使い34GTRの前に出る事が出来た。ストレート勝負ならNSXも負けてはいなかった。そのまま第一コーナーに2台は入った。琢磨は今度はミスをしなかったが樹潤に先頭を取られた。流石樹潤はこのサーキットに慣れていた。速かった。10周回して、琢磨の4勝、樹潤の6勝で走行会を終えた。二人は車を降りてヘルメットを脱いだ。二人で受付まで行ってレース結果のリザルトを貰った。琢磨が料金を支払った。負けてしまったので約束通り。リザルトを見て樹潤が声をあげた、「64秒きった。」二人とも、走りっぱなしだったからだ。「楽しかった。」二人は声を合わせた。「僕はドライビングテクニックを学ぶべきとわかっただけで収穫あった。手子生さん有り難う。」琢磨は反省をして樹潤の顔を見た。「私も天宝喜さんとバトルを通じてドライビングの楽しさと難しさを思い知らされた。」そして、二人は帰路についた。琢磨は、ショパンのピアノ・ソナタ曲集をかけた。家に帰ってグループラインで明日の予定を送って、洗車をする事にした。◯◯前のエネオスに11時に集合。レース前に皆が顔を合わせる事になった。