紫星の乙女を蕩かすは琥珀の秘蜜

契約の維持には、一日に一度、相手との口づけを要する——…。

紫紺の夜空に瞬く紫星の加護を受け生まれた少女、ルルティアーナ・エヴァンシェリス。
ルクシオル王国の公爵令嬢として、美しく聡明に育った彼女は、王族と結ばれる運命を背負いながらも、それを「義務」として受け止めていた。
彼女の心にあるのはただひとつ——退屈。

そう思っていたはずだった。しかし、彼だけは違った。

フィルリス・アンブローズ——幼い頃から彼女を支え続ける忠実な執事。
琥珀色の瞳に隠された静かな情熱、完璧なまでに優雅な振る舞い。
その腕に抱かれるたび、彼の指先が肌をなぞるたび、ルルティアーナの心は微かに乱れていた。

そしてある夜、運命を変える「契約」が結ばれる。
禁書庫で発見した魔導書を開いた瞬間、二人は強制的に“誓約”を交わすことに——。

「契約者たちは離れることを禁ずる。
　もし一定以上の距離を取れば、命に関わる。」

最初は戸惑いながらも、契約の維持のために仕方なく唇を重ねる日々。
けれど、触れるたびに彼の指が熱を帯び、優しく、時に強く、彼女を縛るように抱く腕に、ルルティアーナの心は抗えなくなっていく。

しかし、彼女は知らなかった。
この契約が「偶然」などではなく、フィルリスの執念が生み出したものだということを——。

紫星に選ばれた少女と、琥珀の契約で彼女を縛る執事。
それは、甘美で、抗えぬ愛という名の牢獄。

——これは、紫星の乙女が琥珀に蕩かされる物語。