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自警団ネスト

「おぉぉ寒い寒い…ただいまー」

11月も終わりが近くなり、もはや秋というより冬の方が正しいくらいの季節。

あの後、空を飛んで無事にネストの本拠地…まぁ言ってしまえばただのマンションの一室なんだけど、とにかく本拠地に戻ってきた。


ただ季節の都合上、北風に吹かれるせいでめちゃめちゃ寒い。というか歩いてる時とで体感温度が違いすぎるんだ。

服飾担当でも招き入れて着脱しやすい上着でも作ってもらおうかと、そんなことを考えながら鍵を開錠しドアを開ける。


その瞬間にガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。

童伽(とうか)ちゃんダメだって!これ以上は!」

「えぇー?もう終わり?まだ足んないよ!」

何かやばい表現に聞こえるかもしれない、そんな会話を聞きながらリビングへと足を運ぶ。

「童伽、たくさん食べるのはいい事だけどちょっとは我慢してくれ。兄ちゃんの分がなくなるだろ」

「あっ兄ちゃんおかえりー!」

想羽汰(そうた)さんお疲れ様です!」

学人(まなと)、お前もいい加減家に帰れ。母親にどやされるぞ」

「いいんです母なんて放っておけば!それに家で母のご機嫌取りで勉強漬けよりネストで働くことの方が重要ですから帰るつもりはありません!」

いや家庭の問題持ち込まれるのが一番面倒なんだけど。

そう思いつつも当人同士の問題なので、あまり口は出さないようにしている。


こっちの背が低く細い割に大食いなハーフツインの女子が俺、絵鳩想羽汰(えばと そうた)の妹の絵鳩童伽(えばと とうか)

良く似てないと言われるが俺達兄妹も似てないと思ってる。

なぜなら俺の妹がこんなに可愛いわけがない。

今にも俺の夕食すらも食べ尽くさんとばかりに涎を垂らしながら、俺の方を捨てられた子犬のような目で見てくる。

反則すぎる。


そしてこっちの同じく平均に比べると割と小柄な男子が童伽と同じ中学のクラスメイト兼友達の鳳山学人(とりやま まなと)

割と有名な外食チェーングループ鳳山グループの御曹司というやつだ。

父親はともかく、母親は教育ママらしく家に帰れば習い事に勉強漬け。

それに嫌気がさして、家出中のところを不審者に襲われそうになった所で俺達が助けた。

その結果、ここに居着いてしまった。

二人ともネストを知り、ネストに居る以上説明する必要もなく、俺と同じで同位体だ。


とりあえず問題児二人組を落ち着かせる為に俺は食べている途中で出てしまった為に残して貰っていたのであろう鍋の締めのうどんを少しだけ啜る。

「ほら、兄ちゃんこれだけ食べれば満足だから後は童伽が食べな」

「やったーー!!兄ちゃんありがとー!!」

そう言い終わった瞬間に鍋にあったそれなりの量のうどんを口いっぱいに頬張る。

…どんぐりを口に蓄えたリスみたいだな。

そんな幸せそうな顔をする子リスを眺めていると、愛人が話しかけてくる。


「想羽汰さんいいんですか?」

「まぁそれなりに鍋の方は食べてたし、腹を減らせた妹を見てるのはあんまり気分良くないから」

「ちょっと甘やかしすぎでは?」

「学人だって俺の見てない所で童伽にお菓子あげてるだろ」

「な、なんで知ってるんですか!?」

「いやお前、買ってきてないのに毎日戸棚がお菓子で溢れてたらわかるって。というか健康に悪いから好きなんだったらもうちょっとバランスを考えて「わぁー!わぁー!」」

「???」

わかりやす過ぎる思春期男子の恋心を横目に我が妹は色気より食い気と言った感じだ。

齢13にしてこの魔性の女っぷり、兄ちゃんはとても心配です。


「そ、そんなことより早く(うぐいす)さんのところに行ってあげてください!心配?してましたから!」

「わかったからそんな押すなって」

なぜ疑問形になるのかは彼女のことをどれだけ知っているかでわかる。

ネストに入ってまだそこまで経ってない学人なら、そんなものだろう。


リビングから廊下に出てすぐ右手にあるドア。

そこには木で出来た「うぐいす」と書かれたネームプレートが下がっている。

2回ノックをし少し待つと扉の鍵がガチャリと開く音がした。

鍵が開いたことを確認すると俺は扉を開いた。

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