第3話
鉄の扉が重い音を鳴らし閉まる。
「ようこそ、私の世界へ」
扉の先には私が使ってるネカフェと同じように数々の漫画にドリンクバー、お菓子とかがあった。普通とは違うのは部屋が一つしかない事。
「この空間はな、私専用で作られてる。丸ごと私の部屋って事だな」
「ハァ」
あっけに取られてボヤッとしながら美少女の後ろをついて歩く。
「さあ着いたぞ」
部屋の一番奥にはベッドがあった。
「あのまず説明を・・・・」
「え?保健体育の?」
「じゃなくて色々と!君の事とか!この部屋とか!」
「ん〜え〜めんどくさいなぁ」
ベッドに座りながら美少女が言う。
「えっとまず私は松っていたろ、受付の店員。アレの姉だ。名前は梅です」
「は!?だって全然大人っぽくない!」
「オブラートに包めよ、泣くぞ」
私はその場に座った。
「で、このネカフェは私の親が経営してたんだけど親が死んでな、松が受け継いでやってる訳」
「お、お姉さんは継がなかったんですか?」
「嫌だよ働くなんて!私自分の好きな事しかしたくない!んで、そうやって葬式で暴れたら松がめっちゃ泣きながら自分が継ぐって私にはこの部屋作るからもう二度と出てくるなって。笑うだろwww」
笑えません。一切笑えません。
「松は本当に優しい子だからな、そこまでキッチリ強制はしなかったよ、この前みたいに怒られたりはするけどw」
「だいぶキャラ違いますね」
「そりゃあこの見た目で清楚なお嬢様してりゃ寄ってくるだろ、お前みたいのが」
私みたいのが。
「話終わり!早速するかぁ1ヶ月近く待ったしな!」
「な、何を??」
「甘く甘美な世界さ。大丈夫、癖になるくらいしてやるからさ」
そう言うと私の襟を掴み引き寄せ躊躇なく唇を奪った。
「やっぱり甘くて美味しい♪」
それから私があの扉をまともな身体で出る事はなかった。
でも、これは私が選んだ私の幸せ。
何もない前よりはマシかなと。
最後まで読んで頂きありがとうございました。