第五話「二人」
「あなただけを見つめる」
第五話「二人」
遊馬先生は私の手首を持ったままだ・・。
さっきから、私の心臓はドキドキしていた・・・
「遊馬先生!痛い」私が言うと「あ、ごめんな」そう言って手首を離してくれた・・
まだ心臓がドキドキする・・
「華はまだ高校生だから。手を繋いでないと夜道は危険なんだよ」
遊馬先生がそう言って今度は手を繋いで歩き出した・・
「私。子供じゃないもん!!子供扱いしないで!!」
そう私は怒った。「そっかそっか、それは悪かった」そう遊馬先生は言ったけど
手は繋いだままで・・・・ドキドキドキドキ・・・・。
「あのさ、先生の奥さんは美人だね~ 料理も上手いし。
あんな奥さんいたら先生自慢できるよ~」私は自分の心臓の音が遊馬先生に聞かれないか
心配でおしゃべりになった。
「おう。先生の奥さんは確かに美人で料理も出来るよ。華も好きな奴に料理でも
作ってあげたら喜ぶと思うぜ・・華は好きな奴いないのか?」
遊馬先生の言葉に心臓が今にも飛び出しそうだった・・・。
「・・・いるよ」私は言った。「そっか・・」遊馬先生が言った。
「・・うん!!いるよ!!命かけて好きな人・・・」
私は遊馬先生の顔をじっと見ながら真剣な瞳で遊馬先生を見つめた。
「・・・・・そうなんだ・・」遊馬先生も歩くのをやめて私の顔を見た。
その時、初夏の風が心地よく吹いて二人の時間が一瞬だけ
止まったように感じた
その後、無事に自宅に着いた私は遊馬先生にお礼を言った。
「有難うございました!!」私が言うと「大丈夫だよ。」そう遊馬先生が言って
「また水曜日な」って言った・・。遊馬先生が帰ろうとしたけど何かを思い出した
ように「そういえば、明日月曜日の学校のテスト頑張れよ」そう先生が言ってくれた・・。
「あ、あのね!先生にお願いがあるの!!明日のテストでいい点取ったら、
ご褒美に私とデートして欲しいの!!」私は勇気を出して先生に言った・・・
「デートか・・・いいよ。もしもいい点取れたらな」遊馬先生が笑顔で言った。
「ほ、ほんとうに??」私はまた驚いて聞き返した。
「う~ん、まあ、デートではないけど、どこか遊びに連れて行ってやるよ!」
そう遊馬先生は言って帰って行った・・・
私はまるで夢を見ている気分だった。遊馬先生とデートなんて嬉しすぎる!
私は嬉しくて嬉しくて玄関だという事を忘れてその場で飛び跳ねた!!つづく