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83/100

(83)違い

 涙といっても、その内容には(おの)ずと大きな差がある。今日は涙の違いをテーマにしたお話です。^^

 とある大手グループの総帥(そうすい)団子(だんご)は妻に浮気がばれたことで豪邸での暮らしが日々、居ずらくなっていた。

「ア~~タッ! どこへ行ってらしたのっ!!」

「どこへ? ってお前。ははは…この前言ってたグループの夕食会じゃないか…」

 風向きが怪しくなってきたのを察知してか、団子は妻の詰問(きつもん)をやんわり(ぼか)した。確かにその日、グループ夕食会に団子は出席していた。だが、問題はそのあとの行動だった。いつものように、とあるマンションを訪れていたのである。あんなことやこんなことがあったのか? までは妻が探偵社に依頼した素行調査では分からなかったが、翌日早朝のご帰還ともなれば、妻にも薄々は分かろうというものである。それが強い詰問の言葉尻に現れていた。

「確かに行ってらしたようですわねっ! そのあと、どうされましたっ!?」

「どうされましたってお前、帰って来たろっ! 運転手の月見(つきみ)に聞いてくれ…」

「確かに帰ってこられたようですわねっ! そんなことは分かってますっ! お時間はいつ頃でしたのっ! それを(たず)ねてるんじゃありませんかっ!」

「い、いつ頃だったかのう…」

 団子は妻の(きび)しい詰問に心で涙した。

 一方その頃、しがない町工場の社長、葛餅(くずもち)は今月、社員に支払う給料の金策が思うに任せず、心で涙していた。

 同じ涙でも、このような深さの違いがある訳です。^^


                  完

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