(25)性格
性格によって涙の出方も違ってくる。同じ内容を涙を流しながら相手に伝えたとしよう。
━ ほう、どうして悲しいのか俺には分からんなっ! 一体、何が悲しいんだっ! ━
と言う人と、
━ ぅぅぅ…そうそうだったか。そりゃそうだ、ぅぅぅ… ━
と言う人とでは、全然、感性が違う。要は性格が大きく異なるということになる。三つ子の魂、百までも・・などと格言めいて言われるが、性格だけは小さい頃に固まってしまえば直しようもなく、変えるには死ぬ以外にはない。^^
とある映画館である。
「ぅぅぅ…」
若い男性が後部座席で泣いている。その隣にはこの男性の恋人が座っている。
『何が、そんなに悲しいのかしら…』
恋人の女性は、悲しくない場面に思えたから、訝しげに恋人の男性をチラ見した。
映画が終わって映画館を出た二人は、夕暮れの歩道を漫ろ歩いた。
「悲しい映画だったね…」
「えっ!? ええ…」
「ぅぅぅ…」
『泣くほどの映画かしら…』
「ぅぅぅ…」
「はい、ハンカチっ!」
「あっ、ありがとう!」
『まっ! いいか…。ずっとピュアに付き合うか…』
女性はどういう訳か、男性が益々、好きになった。
性格だけは直しようがない・・という馬鹿馬鹿しいお話でした。^^
完




