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3. 後悔

大学2年の冬。

志望校に合格した僕は無事上京し一人暮らしを始めていた。

やはり講義の内容は難しく、ついていくのに精一杯だったがそれなりに楽しい毎日だった。

長谷川とは連絡を取り合う機会はほとんどなくなり、たまには連絡するかと思いつつも、中々踏ん切りがつかずにいた。

最後に連絡したのが昨年の秋、地元に帰る際に遊ぼうという連絡だ。

もう1年は連絡していないことになる。


ちなみに彼女も志望校に受かっており、今は関西にいる。

離れてるけど1ヶ月に1回は遊ぼうね。なんて言いながら地元を出てきたのだが、やはり大学が違うということはこうなるのかとやはり一緒の大学に行けばよかったと思うことも多くなっていた。


そんなある日母親からLINEが来る。

URL付きのそのLINEには、これ高校の時に仲良かった子じゃない?と本文が添えられていた。

URLを開くとニュースの記事だった。


そこには20歳の大学生が亡くなった旨の記事が書いてある。


自宅に遺体。

多量の覚醒剤を摂取し、急性覚醒剤中毒で死亡か。

入所経路は不明。


長谷川杏果(20)


「……は?」


手が震える。


なにかの冗談?

同姓同名だろ?

……これは現実か?


しかし、他のニュースやSNSで調べても彼女のこととしか思えなかった。

強くて、優しくて、寂しがり屋で、笑い上戸で、英語が好きで、オタク趣味が好きな彼女としか思えなかった……。


その後、長谷川と仲が良かった地元の友だち達に電話をした。


「知らなかったの? 杏果、前からクスリやってる噂あったよ?

「なんかいつからか頭がおかしくなったらしくて、施設に入れられてたらしい。その時からクスリの噂はあったな確か

「噂では付き合ってた彼氏からクスリ教えられたらしい

「2年生に入る前から誰も連絡が取れなくなったんだよ。仲良かった君にはしているのかと思ってたんだけど……


誰もも何も知らないことを知れただけった。


「……はせがわ、 何で、何で僕に連絡してこなかったんだ……」


彼女に何があったかは知らない。

ただ何かあったのは間違いないはずだ。

そうでなければ長谷川がクスリなんてするわけがない。


……いや違うな。

こっちから連絡すればよかったんだ。

いつでも会えるなんて思って、ズルズル先延ばしにして、電話一本しておけば、もしかしたらこんな事に……。

それにあの時に一緒の大学に行っておけば救えたのだろうか。


今となって後悔が押し寄せる。

僕はいつだってそうだ。

あの夏のときだって、彼女は助けてほしかった、一緒にいて欲しかったのではないか?

助けてなんて絶対言わない性格なのを1番知っているのは僕だろ?


「……くそ……何してんだよ僕は……」



これが僕の後悔である。

大学を卒業して社会人になって3年が経った今でもこの後悔が治ることはない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 心が痛くて、とてもいいですね…。 別に主人公くんは悪いわけではないし、仮にそのときに違う選択をしてたとしても、いい結果になったかはわからない。それでもそのときの行動を悔いてしまうどうしょう…
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