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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月27日(火)☀️/☁️
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9-6 2021-04-27-002


 ネット会議の画面は真っ暗。


 既に彼女はネット会議を抜けて、鈴木さんとランチに行ったようだ。


 俺は自分を取り戻し、冷静に部長宛の返信を出した。

 30日のアスカラ・セグレ社へ、彼女を同行して訪問する件を承諾するものだ。


 続けて人事部長と総務部長宛に、出張扱いの詳細を知らせていただけるようにメールを出した。


 他に新たな未読メールが無いことを確認して社内ネットからログアウトして、テレワークを終わらせることにした。



 台所に繋がる食卓で、いつもの実家の昼御飯を食べていると、


「どちらも可愛かったのう。」


 バーチャんが彼女と鈴木さんを誉め始めた。


「二郎がどちらを連れてくるか楽しみじゃ。」

 俺は全然楽しみじゃないけど?


 ここで俺はイタズラ心が湧いてきた。

 普段やたらと、見合いだ嫁だと俺を困らせてるバーチャんを、少しからかいたくなった。


「バーチャんはどっちが良かった?」

「なんじゃ。二郎は迷っとるんか?」


「迷よう以前だよ。バーチャんはどんな嫁さんが良いの?」

「ワシの嫁か?」

 バーチャん。それは無理です。


「そうじゃなぁ~。エルフの娘は可愛いから好きじゃ。」


 『エルフ』?

 昨日の夜に『ドワーフ』を調べてた時に出てきた記憶がある。

 確かドワーフは、エルフに対して不信感を抱いているとか書いてあった気がする。


「じゃが、エルフの男は嫌いじゃ。」

 なるほど。やっぱりドワーフはエルフが嫌いなんですね。


「奴はワシの尻を触りよった。」

 それがドワーフのエルフへの不信感の原因ですか?


「俺がエルフの娘を連れてきたらどうする?」

「エルフの娘は可愛いから良いぞ。」

 あれ?ドワーフのエルフへの不信感はどうなったの?


「けど、エルフの娘を嫁に貰ったら、その娘の父親、エルフの男と親戚になるんだよ?」

「う~ん。それは悩ましいのう。」


 よし!バーチャんから一本取った気分だ。


「じゃが、二郎が好きになったなら良いぞ!」


 あれ?技あり止まりですか?



 昼御飯の洗い物を済ませ、お爺ちゃんの部屋に戻る。


 自分のノートパソコンを開き社内ネットにログインする。

 時計を見れば13:02。

 会社の皆はランチから戻った頃か。

 社内メールを見てみたが、新たなメールは入っていなかった。

 さすがに皆からの返信が届くのには早すぎたな。


 ここでいつもならばログアウトしてテレワークを終わらせるが、敢えてログアウトしない。


 続けて『国の人』が持ってきたノートパソコンを隣に並べ起動する。

 これで座卓の上には2台のノートパソコンが並んだことになる。


 ノートパソコン2台を前にして、腕を組んで考えてみる。


「このノートパソコン2台を纏められれば、大阪には1台だけ持って行けば済むな。それに有給休暇が終わって東京のアパートに戻ったらどうする?」


 座卓の脇に置いたPadに目をやる。

「お古なら持っていっても良いか?」


 そんなことを考えたが、なによりも確認するべきことがある。

 Padを使って実家の外から、実家のLAN-DISK環境に接続できるかどうかだ。

 それと自社製品を実家の外からも使えるかどうかだ。


 『国の人』は実家の外から翻訳された日記をLAN-DISKに登録しているくらいだから、実家の外から実家のLAN-DISK環境には接続できるのだろう。

 そうしたことができないのならば、大阪には『国の人』が準備したノートパソコンを持っていっても無意味だ。

 また有給休暇が終わって、Padを都内のアパートに持って帰っても無意味だ。


 ここまで考えて、耳元で悪魔が囁いた。


 "日記に書こうぜ(by 悪魔"


 そうだな。

 日記を読むのに使っている自社製品やPadが使える環境は、東京に戻っても維持したい。

 そうした悩み事を日記に書いたら『国の人』はどうするのかな?


ーーー

2021-04-27-002

 俺が使っている、日記の検索を容易にする製品は素晴らしいものだ。

 この製品の機能をフルに使うことで、日記からの学習が円滑に進んでいる。

 祖母の桂子が使っていた古いPadを借りているが、これを実家の外でも使えるのだろうか?

 今の有給休暇が終わって東京に戻ってからも、日記からの学習は継続するだろう。

 その際には継続してPadを使いたい。

 実家の外からもPadが使える方法があるならば、御陵の管理を担当している方から話を聞いてみたい。


Jiro

ーーー


 これって日記なのか?


 そんな思いもあるが、俺自身が始めて自分から書いた日記だ。

 深く考えるのはやめよう。


 日記を書き終えた時、再び囁き声が聞こえてきた。


 "あ~ぁ書いちゃいましたね(By天使"

 居たんならもっと早く出て来いよ。


 "二郎さんもやるわね(若奥様"

 えっ!若奥様の声が聞こえた気がする。


 "ホッホッホ"

 あれ?サンダースさんの声も??


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