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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月27日(火)☀️/☁️
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9-3 2021-04-27-001


「バーチャん。『国の人』は外部からLAN-DISKにアクセス出来るの?」

「??」


 あれ?バーチャんに通じてない?


「Access?」

「ごめん。発音が悪かった。『国の人』は家の外から、翻訳した日記をLAN-DISKに書き込めるの?」


「詳しくは知らんが出来るんじゃろ?」


 考えてみれば、バーチャんは以前にPadを使って間違いを指摘していた。

 間違っている箇所を指摘するだけだと言っていた。それが修正されていればオフラインじゃなくて、外部からアクセス出来るオンラインだと言うことだ。


「二郎や。そうしたことが気になるなら、日記を書いてみんか?」


「えっ!俺が?」

「そうじゃ。今、自分が気になることや疑問に思うことを書くんじゃ。」


「それって、門に関わることじゃなくても?」

「国の奴らについて、いろいろと知りたいんじゃろ?」


「そ、そうだけど。」

「それに連中は門に関わっとる奴らじゃ。十分に門に関わることじゃ。」


「確かにそうだね。」

「それに二郎が門について学んどる上での疑問じゃ。十分に門に関わることじゃ。」


 う~ん。

 バーチャんに『はぐらかされてる』ような気がするんだけど。


「国の奴らについてはワシも前に書いとる。」

「えっ。そうなの?」


「眼鏡の前の奴じゃ。無礼なことを口にしたで書いてやった。そしたら眼鏡に交代したんじゃ。」

 バーチャん。随分と派手にやったんですね。


「それに、お爺さんも一郎も礼子も書いとる。」


 皆が書いてるなら俺が書いても良いか。

 『国の人』には盗聴器の件もあるから文句も言いたい。


「良いのか?俺なんかが書いて。」

「良いぞ。疑問に思ったことや知りたいことを書いてみい。」


 『国の人』に聞きたいことがあれば、日記で書けば答えが返ってくるかもしれない。

 けれども気になることがある。

 俺は日本語でしか書けない。

 俺が書いた日記が英文に翻訳されても、その英文の妥当性を俺では判断できない。


「俺が書いたのも英文に翻訳されるのかな?」

「それは国の奴らが判断することじゃ。二郎が考えることじゃないぞ。」


 バーチャんのおっしゃる通りです。


 その後、バーチャんに日記の書き方を教わって日記を書いてみた。


ーーー

2021-04-27-001

 今日から日記を書いてみる。

 これは俺が書く最初の日記だ。

Jiro

ーーー



 一旦、『国の人』が外部からLAN-DISKにアクセスしてるかを考えるのはやめることにした。

 今ここで考えても時間の消費にしかならない。


4.『勾玉まがたま』は何か

5.夢に出てきた『米軍の門』の『鍵』とは何か

 これに戻ることにした。


 お茶を入れ直して仏間でくつろぎながら、Padで『勾玉』を検索して日記を読む。

 もちろん自社製品の『簡易INDEX』と『応用INDEX』機能をどんどん使う。

 お爺ちゃんが亡くなった際の日記にぶつかり、心が揺さぶられるが気持ちを押さえて日記を読み続ける。


 そして『勾玉まがたま』が、米軍の門で使っている『魔石』に類似していると思えてきた。


 米軍の門では魔石に核実験でエネルギーを注ぎ、言わば充電された魔石を魔法円に配置して『門』を開いている。

 淡路陵の門では『門』を自ら開かないが、勾玉を使って『門』を閉じている。

 バーチャんを保護した陵の管理者の証言が書かれた日記では、『門』を閉じるために使うと書かれている。


 以前にバーチャんに聞いた、『勾玉を神様か女神様から貰ったのか?』は大きな愚問だった。

 淡路陵の門を閉じるのに使う勾玉は、バーチャんがこちらの世界に来る前から存在しているのだ。

 そして淡路陵の門が地震などで開いた際に閉じるのに使っているのだ。


 ここまで学習して気になることが出てきた。


 夢の中で一郎父さんが述べていた、「僕は勾玉を使って門を開いて元の世界に帰る。」この言葉だ。

 勾玉を使えば淡路陵の門は開くことが出来るのでは?


 その考えを巡らそうとした時、スマホが震えた。彼女からLINEが入っていた。


「ネット会議に参加してください」11:11


 俺は仏間にバーチャんを残して、お爺ちゃんの部屋に向かった。



 自分のノートパソコンを開き、社内ネットに繋いだ。

 ネット会議用のソフトを起動して開催中の会議一覧を見ると『秦由美子』の名前を見つけたのでクリックする。

 ネット会議用の画面が開きインカムを着けた彼女の顔が画面いっぱいに映し出される。


「秦です。見えますか。聞こえますか?」

「門守りです。見えます聞こえます。」


「接続は大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です。」


 彼女は、少しむくれたような、嬉しいような、困惑しているような、今まで見たことの無い表情をしている。

 これは何か悩んでるのか?


「どうした?大丈夫か?」

「部長に呼ばれました。」


「部長に呼ばれた?!」

「朝、出勤したら山田がいたんです。」


「えっ?!どういうこと?」

「それでセンパイに連絡を取って大阪に出張してくれって言われました。」


「ごめん。話が理解できない。」

「おかげで有給休暇が無くなりそうです。」


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