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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月26日(月)☁️/☀️
91/279

8-5 着信拒否


「う~ん。もう少し堂々とした方が良いと思うよ。」

「だって、不気味なんです…」


「不気味?」

「さっきから自分のスマホで電話してるけど、ため息ばかりついてるんです。」


「確認だけど、直接、何か話を聞いてる?」

「いえ。何も聞いてないです。」


 山田が部長から何を問われたかはわからないが、少しだけ想像がつく。

 多分だが、部長から土下座謝罪に行った会社について聞かれたのだろう。

 俺が土下座謝罪に同行したのは、前任者としてだ。

 今の担当者は山田で、担当の決定はパワハラ課長が決めたことだ。


「あっ、今も電話したようです。」


 彼女の声から数秒後に、俺のスマホに非通知の着信が入った。

 当然ながら俺は出ない。


「やっぱりな。」

「センパイ。もしかして山田はセンパイに電話してるんですか?」


「そうみたいだな。非通知が数回入ってる。」

「非通知?何がしたいんだろ?」


「俺が聞きたい(笑」

「本当にキモい。あぁ~鳥肌が立ちそう。」


 彼女は本当に嫌がっているようだ。


「そうだ、これから俺の電話が必要な時は事前にLINEで知らせてくれるかな?」

「良いですけど?どうしたんですか?」


「山田からの電話に出たくないんだ。」

「ああ、理解しました。私からLINEが無ければバレバレですね。」


 彼女の勘の良さは素晴らしい。

 会社からの着信が入っても、彼女からLINEが来ているかどうかで判断できる。

 俺が帰省した初日のように、不用意に会社に折り返して電話して山田の相手なんてしたくない。

 今の俺は有給休暇中だ。


「じゃあ、私以外はどうします?」

「社内メールで大丈夫だと思う。金曜日は部長とメールしてるから。」


「ああ、あのメールですね。私も見ました。」

「じゃあ、そういうことで。」


「そうだ、有給休暇取りました。」

「おっ!やったね。そうだ。髪切った?」


「へへへ。昨日、久しぶりに。」

「似合ってるよ。それじゃあ。」


 ガラリ!


「二郎。買い物に行くぞ! 」


 部屋の扉がガラリと開いて、バーチャんが入ってきた。



「同じスーパーで良いんだよね?」

「同じスーパーじゃ。」


 ショッキングピンクの軽トラの運転席に乗り込み、助手席のバーチャんに買い出し先を確認した。

 やはり、あの中学時代の同級生が勤めるスーパーへの買い出しとなった。

 前回はオチを言われたので、今回は気を張っておこう。


 そういえば、先ほどの非通知が並ぶ着信履歴は全て消した。

 山田からの非通知なんて、俺には不要なものだ。

 それとスマホに着信拒否の設定をした。

 非通知の着信拒否。

 それと会社からの通話にも、着信拒否を設定した。

 これで煩わしい電話から解放されるだろう。

 最初からこうしてれば、彼女に事前のLINEを願う必要もなかった。


 スマホは持ち歩くことにした。

 彼女からLINEが入ったならば、こちらから電話すると約束してしまったからだ。

 今までは農作業の時などは持っていなかったが、これからは持ち歩くことになる。

 少しだけ紐を付けられた気分だ。

 判断を誤ったかもしれない。



 いつものスーパーで、すき焼きの食材を買い込む。


「まずは肉だが、豚で良いじゃろ。」

「はい。贅沢は言いません。」

 すき焼きだが豚肉になりました。


「卵はある?」

「買って良いぞ。」

 生卵が無いすき焼きは寂し過ぎる。


「焼き豆腐は二人で一丁だと多いんだよなぁ…」

「やめとくか?ワシはなくても良いぞ。」

 悩んだが焼き豆腐はやめた。


「ネギ、ハクサイ、シュンギク」

「ワシは春菊はなくても良いぞ。」

 はい。春菊は買いませんでした。


「シイタケ、シラタキ」

「そんなに食べれるんか?」

 う~ん。食べれるだろうか?


「二郎。良いもんがあるぞ。」

「良いもの?なになに…」


「鍋物セットのカット野菜じゃ。」

「はい。それで十分です。」


 買い物カゴに入れた個別の野菜に退場していただき、鍋物セットのカット野菜になりました。


割下わりしたはどうするんじゃ?」

「つゆの素と味醂みりんがあれば…」


「それならあるから買わんぞ。」

「はい。大丈夫です。」

 実家のすき焼きは、俗に言う『関東風』で肉と野菜を煮るタイプだ。


「そうじゃ、ビールが切れそうじゃ。」

「買いましょう♪」

 湯上がりビールは大切だぜ。


「二郎は他に無いんか?」

「そうだ!あれが欲しい。」


 俺が思いついて購入したのは、某社のウィスキー角瓶と炭酸水。

 久しぶりにハイボールを飲みたくなった。


「バーチャん。家に氷ってある?」

「作っとらん。買って良いぞ。」

 氷も忘れずに購入しました。


 ついでにと自分用のシャンプーとボディソープも買い物カゴに入れた。


 必要そうな物を選び終わったのでレジに向かう。

 中学時代の同級生がいるだろうかと見渡したが、どうや今日は休みのようだ。


 折角、気合いを入れていたのに(謎


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