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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月25日(日)☀️/☁️
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7-10 決断


 ゴーゴーゴー

 ジャグジーの音の中。

 一人で考え『無い』。


 帰省してから風呂に入る度に、俺はこの入浴時間を色々と考える時間に充てていた。

 たまには何も考えずに風呂に入っても良いよな?


 今の俺がいくら考えたところで、どこへも行き着かない。

 そして考えているうちに解消に使える時間とチャンスを失ってしまう。

 今の俺がいくら考えても状況はいつまでも変わらない。

 状況を変えるのは行動だけだ。


 今の俺にできる行動とは?


 答えは簡単だ。

 俺が『門』に、どう関わるかを決めるだけだ。

 行動と言うより決断だな。


 『門』が何かはおおよそ学んだ。

 あれは別世界と繋がるものだ。

 何故、サンダースさん(神様)が作ったかは知らない、知る必要はない。

 そうした物が存在すると言う事実だけを受け止めれば良い。

 米軍の門は、羊皮紙に描かれた魔法円を入手して軍事利用を考えた。

 今の俺にそんなものは必要じゃない。


 例えばゴールドが出てくる魔法円が手に入るなら頑張るかも知れない。

 例えば美女が出てくる魔法円が手に入るなら頑張るかも知れない。

 金と美女なんて欲望丸出しだな(笑


 そうした己の欲望を満たせるなら『門を開く』ことに拘るだけだ。


 礼子母さんは『米軍の門』を開くことに拘っていた感じがする。

 これは礼子母さんの何らかの思いがあるからだ。


 一郎父さんは『淡路陵の門』から離れないことに拘った感じがする。

 これも一郎父さんの思いがあるからだ。


 俺にそんな思いがあるか?

 全く無い。


 所詮は今の俺にとって『門』はその程度の存在なのだ。


 ふっ。

 結局、入浴タイムはこうして『考える』時間になるんだな。



「バーチャん。上がったよぉ~」

「おお、ワシも入るで先に飲んどるか?」


「飲む飲む。先に貰うね。」


 俺は台所の冷蔵庫からビールを出し、凍らせたグラスを片手に仏間に戻った。

 既にバーチャんは居らず、風呂に向かったようだ。


 何気にテレビを着けようとして、テレビ台の中に納められた黒い箱に目が行った。

 これがケーブルテレビの装置か。


 これが壊れるって『国の人』も大変だ。

 テレビやケーブルテレビの装置なんて、盗聴器を仕掛けるには絶好だと思ったんだろう。

 それが知りたいことを得る前に壊れて無駄になったとしたら、計画した方々や実行を承認した方々はどうなったんだ。

 降格とか出世の道を断たれたとか、そういえば異動とか言ってたな。


 けれども、神様や女神様の動向を探ろうとしての行為だったとしたら、まさに罰当たりだな。

 相手が神様であるとわかっていたはずだ。

 それを、この程度の行為なら大丈夫だろうと安易に考えて罰が当たる。


 何とも愚かなことだ。


 おっと罰当たりな愚か者に気をやるより、今はビールが先だな。


 瓶ビールの栓を抜く。

 凍らせていたグラスをビールで満たす。


 グビグビグイ。

 ぷはぁ~

 旨い。

 湯上がりのビール。

 最高!

 どれどれ。

 もう一杯。


 グビグビグイ。

 ぷはぁ~

 旨いなぁ~


 いやぁ~幸せだなぁ~

 俺はこのぐらいの幸せで十分だ。


 これでお酌してくれる美女がいたら?

 生活の心配をする必要の無い金があったら?

 う~ん。どうなんだろう。


 有給休暇が終わったらどうなるか。

 またパワハラ課長に仕事をフラれるのか?


 今後は断ろう。


 課長宛に来たメールのために、終電残業をするなんて馬鹿馬鹿し過ぎる。

 課長宛に来ている問い合わせだ。

 課長自身が対応すれば済むんだ。


 ふっ。

 今までの俺は、何でそうしたことが出来なかったんだ?


 課長宛に来た対応を、課員に割り振るのは上司の仕事かもしれない。

 けれどもあそこまで、分別なく割り振るのはおかしいだろ。

 更には課員の残業や休日出勤を考慮しない、理不尽な理由でテレワークを禁止する。

 それでいて自分は定時で帰る。


 まるで倫理観に欠けた行為だろ。

 それを受け入れてしまった、俺や課の同僚も問題だ。

 有給休暇から戻ったら、課員全員で話し合って対応を迫ろう。

 改善されなければ部長に直訴しよう。


 そういえば部長の倫理観も怪しかったな。何て酷い会社だ。


「ホッホッホ。」


 思わず笑ってしまった。

 サンダースさんには似てないか。


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