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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月25日(日)☀️/☁️
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7-8 白い増設コンセント


 昼前の続きをしようとお爺ちゃんの部屋に入って、ノートパソコンの上に白いものを見つけた。


 座卓の上には閉じられたノートパソコンがあるのだが、その上に白い増設コンセントが置かれている。


 見つけた時には、何だろうかと一旦は手に取った。

 全く見覚えがないので、少し不気味な感じがして元の位置に戻した。

 俺は見たこともない白い増設コンセントを、それ以上は触る気になれない。


 ノートパソコンと白い増設コンセントの前で腕を組んで、しばし悩んだ。


 バーチャんか?いや。違うな。



「バーチャん。ちょっと来てくれる。」

「なんじゃ。」


 俺は仏間に戻り、バーチャんに声をかけた。

 怪訝そうなバーチャんを促して、一緒にお爺ちゃんの部屋に向かう。

 俺はバーチャんと一緒にお爺ちゃんの部屋に入り、ノートパソコンの上に置かれた白い増設コンセントを指差した。

 バーチャんはそれを見て、ため息をつく。


「懲りん奴らじゃ。」


 そう言って、バーチャんは白い増設コンセントを手にすると仏間に戻ろうとする。


「バーチャんそれって何なの?」

「盗聴器じゃろ。気にするな。」


「盗聴器?け、警察呼ばないと。」

「無駄じゃ。犯人はわかっとる。」


「犯人って、誰だよ。」

「国の奴らじゃ。交代の挨拶に来ると新入りが姑息な真似をしよるんじゃ。」


「えっ?国の奴らって『国の人』?」

「そうじゃ。あの眼鏡スーツがいたじゃろ。たぶんあいつじゃ。」


「そ、それってヤバイんじゃないの?」

「何を言うとる。もう外しとるから大丈夫じゃろ。」


「バーチャんは眼鏡スーツは長いって言ってたよね?」

「宮仕えの悲しさじゃろ。上に言われたら従ってしまう。だから出世できんのじゃ。」


 そう言って手にした白い増設コンセントを見せてくる。


 言われてみれば、3日前に黒塗りの車で『国の人』が来ていた。

 俺がメスライオン3匹に骨までしゃぶられた日だ。

 俺が実家に戻ると既に帰った後だったが、お爺ちゃんの部屋でノートパソコンには新たなLANケーブルが繋がっていた。

 そうだ!『国の人』はお爺ちゃんの部屋に入ってるんだ。

 その時に盗聴器を仕掛けていったんだ。


 あの後、俺はこの部屋でどんな会話をした?

 彼女をなだめる電話をした気がする。

 他には… どんな話をした?

 ダメだ思い出せない。


「聞かれて困る話でもしたか?」


 バーチャん。ニヤニヤしないで。



 仏間でバーチャんから話を聞いた。


 バーチャんの話によると、白い増設コンセントはメイドさんかメガネ執事さんが排除したらしい。

 確かにあの状況では二人しか対応できない。


「奴らが知りたいのはケンタじゃ。」


 バーチャんがお茶を啜りながら話してくれた。


 わかる気がする。

 だって神様と女神様がセットで来訪するんだよ。

 誰だって気になるに決まってる。


 『国の人』はお偉いさんが交代すると仕掛けてくるそうだ。

 バーチャんに言わせれば、『新任早々に成果をあげたがるのだろう。無駄なことじゃ。』だそうです。


「だったら、さっきの日記とか大変じゃないの?」

 俺がそう聞くとバーチャんはニヤニヤする。


「さっきの日記は二郎が書いたと言うとく。」

「えっ!やめてよ。面倒事に巻き込むのは。」


「連中は直ぐに無理難題を言ってくるで。二郎がさばけるかが楽しみじゃ。」

「無理難題って…」


「ケンタに会わせてくれ。連絡先を教えてくれ。来たら直ぐに電話してくれ。そう言われたらどうする。二郎ならどうする?」

「ムリだよ。いつ来るかわからないし。連絡先も知らないし。来たからって知らせる義理もないし。」


「監修の仕事を止めると言うたらどうする?」

「俺は監修の副業はやってないよ。止められたら困るのはバーチャんか…」


「ワシは困らんぞ。あいつらが止めるならアメリカにでも電話するだけじゃ。」

「そ、そんなことして大丈夫なの?」


「大丈夫じゃろ。今も生きとるで(笑」

「バーチャん。怖いからやめて。」


 お茶を飲み終るまで、バーチャんは延々と話してくれた。


 中にはかなり怖い話しもあった。

 中には日本とアメリカが対立しそうな話しもあった。

 しかも俺が実家にいる頃から、色々と『国の人』は手を出してきたらしい。

 あまりにも過激な方法で手を出してくると、『国の人』の眼鏡スーツの上司な方は即座に交代するそうだ。


 最後にバーチャんが言ったのは、盗聴器なんて全くの無駄らしい。

 あの4人の存在は、神様=ケンタさん=サンダースさんが許可しないと、姿形も声も聞こえず存在を認識できないと言う。


 盗聴器を仕掛けても、実家に住む者の声や音しか聞こえないらしい。

 例え実家の周囲を見張っていても、来訪したことすらわからないらしい。


「今日の来訪を告げた日記で、盗聴のために見張ってた連中も異動じゃろ(笑」


 バーチャん。

 そこは笑うところじゃないと思う。


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