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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月25日(日)☀️/☁️
79/279

7-4 ○○日13時集合


「門守桂子様。門守二郎様。本日は宜しくお願いします。」


 メイドさんが玄関の土間口に入り、直立不動で声を上げる。

 その後ろには、サンダースさんと若奥様が並んで立ち、メイドさんの挨拶に合わせて軽く会釈する。

 さらにその後ろには、同じように会釈するメガネ執事さんが立つ。


「ようこそおいでくださいました。まずはお座敷の方へ。」

 バーチャんの言葉遣いが丁寧だ。


 俺は立とうとしたが、足が痺れて直ぐに立てない。

 少し前のめりで膝立ちしている間に、サンダースさんと若奥様が靴を脱いで廊下に上がった。その後ろでは執事さんが玄関の外を見回した後に開かれていた玄関の両戸を閉めた。

 バーチャんが先に立ち廊下を進み、その後ろをサンダースさんと若奥様が続き座敷へと入っていった。


「二郎さんもどうぞ。お茶は私が入れます。」

 足の痺れが取れた俺はようやく立ち上がったが、メイドさんに座敷に行くように進めれた。


「いえ、俺が…」

「二郎さんが行かないと始まりません。」

 今度はメガネ執事さんに進められた。


 俺が座敷に入ると、サンダースさんと若奥様とバーチャんが神棚にお辞儀をしていた。

 そのまま三人は俺の準備した座布団に座る。

 俺も慌てて座敷に入りバーチャんの隣に座る。

 座敷前の廊下からメガネ執事さんが室内を見渡しているが、座敷に入る気配がない。


 座敷の中は静かだ。


 サンダースさんも若奥様も喋らない。

 バーチャんも喋らないので俺も喋らない。


「失礼します。」


 メイドさんがお盆にお茶の準備をして座敷に入って来た。

 メガネ執事さんは廊下で待機したままだ。


 メイドさんは、俺が準備した来客用の湯呑みを使ってくれた。

 気になったのは、揃いの蓋と茶托まで出てきたことだ。

 こんなの俺は準備してないのに、メイドさんは当たり前のように準備して出してきた。

 俺では気づかなかった完璧な準備に、メイドさんの底力を感じた。


 4人の前にお茶を出し終ると、メイドさんが座敷から下がる。


「失礼します。」


 お茶を出し終ったメイドさんが座敷から出て行く。

 すると、メガネ執事さんが廊下から座敷に入る戸を静かに閉めた。


 サンダースさん。

 若奥様。

 バーチャん。

 俺。


 座敷の中には、この4人だけになった。


 誰も喋らない。


 ここまで静かな座敷に聞こえた声は、先程のメイドさんの声だけだった。

 俺も何を話してよいかわからず、静けさの中に溶け込もうとする。


 と、サンダースさんが口を開いた。


「足を崩させてもらいますね。」


 その声と共にサンダースさんと隣の若奥様が体をずらし、正座から足を崩したようだ。

 隣のバーチャんも正座から足を崩した。

 サンダースさんなんて、胡座な格好をしようとしている。


「二郎も良いぞ。痺れるじゃろ。」

 バーチャんの口調が戻った。


「二郎さん。ごめんなさいね。」

「あの二人がいると煩くてな。」

「相変わらずじゃ。」

 えっ?何か3人でうちとけてる?


「今日はどうしたんじゃ。急に来て。」

 バーチャんの言うとおり。


「あれ?二郎さんには渡したけど?」

 若奥様。私は何も受け取ってません。


「あれじゃあわからないでしょ。」

 サンダースさんまで何を言う。


「二郎や。貰っとらんのか?」

「いや、何も…あっ!」


 その時に俺は思い出した。

 目の前に座る若奥様から貰ったチラシ。


《神に会える ○○日13時集合》


 あれって、今日のことなのか?!


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