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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月24日(土)☀️/☀️
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6-3 後作


「二郎くんのおかげだよ。」

「二郎が役に立ったか。良か良か。」


 オヤジさんに誉められ照れてしまう。

 店長は笑っている。

 バーチャんも嬉しそうだ。


 予定よりも早く作業が終わった。


 整備工場親子の畑は全て耕し終わっている。

 この後に苦土石灰くどせっかいを入れて、もう一度耕すそうだ。

 バーチャんの畑も、同じ様にやってくれると言うので甘えることにした。


「そろそろ飯にせんか?持ってきたで。」

「桂子ばあちゃん。ありがとうね。」

「二郎くんまで借りて飯付きは助かる。」


 バーチャんの飯の提案に、整備工場親子は喜んでくれた。

 ちょっと俺も嬉しい気分だ。


「二郎や車から番重ばんじゅうごと持って来れるか?」


 バーチャんの指示でショッキングピンクの軽トラに行く。

 軽トラに積まれた番重ばんじゅうには、「いなり寿司」が詰められたタッパーとペットボトルのお茶が数本。

 さらには湯呑みまで準備されていた。


 バーチャんの指示どおりに番重ごと取り出し、整備士親子が敷いてくれていたブルーシートまで運ぶ。


 皆で青空の下で、いなり寿司を食べながら昼食である。


「やっぱり小松菜か?」

「俺は枝豆が良いと思うんだが。」


 整備工場親子は新玉ねぎ後作談義だ。

 それを聞いて俺もバーチャんの畑の後作が気になった。


「バーチャんは次は何を植えるの?」

「手間の掛からんのが良いんじゃが…」

 そうだよね。

 今は俺が居るけど、一時帰省だし。


「小松菜はどうだ。一緒にやろうぜ。」

「小松菜は取るのが面倒じゃ。」

 オヤジさんの提案にあっさり答える。


「じゃぁ枝豆は?」

「もっと面倒じゃ。」

 店長の提案もバッサリ切り捨てるバーチャん。


「ワシはサツマイモで考えとる。」

「「サツマイモかぁ」」

 そこで親子で揃うんですか?


「サツマイモならマルチかければ雑草も少のうすむ」

「「確かに」」

 そう言うもんなんですか?


「組合も今年は推しとるはずじゃ。」

「桂子ばあちゃん。それって誰から?」

「出た!桂子ばあちゃん得意の組合情報!」

 組合情報?何ですかそれ?


「機械の貸し出しもするそうじゃ。」

「「なら、やってみるか!」」

 いいんですか?

 バーチャんの話を鵜呑みにして。


 俺は3人の会話には入れなかった。

 考えてみれば、3人とも兼業農家だ。

 整備工場のオヤジさんは本業は車の整備だし、店長は本業がマクドだ。

 バーチャんの畑の規模は、家庭菜園に近いし副業もある。

 出来るだけ手間をかけたくないのも頷ける。


「俺は帰りに農協で聞いてくる。」

「おお、ついでに苗の手配も頼む。」


 整備工場親子の会話をにこやかに聞いているバーチャん。

 こうした付き合いがあるから、バーチャん一人でもなんとかなるんだね。


 こうして昼食も終え、苦土石灰くどせっかいを入れてもう一度耕して畑仕事は終わりとなった。


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