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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月24日(土)☀️/☀️
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6-2 畑を耕す


「じゃあ、二郎くんは残りの葉っぱえを拾ってくれるか。」

「了解です。どこからやります?」


「オヤジは脇から入るから…あ、来た来た。」


 畑に通じる農道を見れば、こっちに向かってトラクターがゆったりと進んでくる。

 黄色の方向指示器を両側に4個づつ付けて、それら全部を点滅させながら向かってくる。

 トラクターには畑を耕すための機械が付けられている。

 その上部には大きな文字で、『公道走行許可済み』と書かれた看板が据えられていた。

 こうした畑を耕すための機械を『作業機』と呼び、以前は公道を走行する際には取り外していた。

 警察も取り締まる際には、作業機を付けているかを基準にすることがある。

 何故なら、方向指示器が見えるかどうかで整備不良を指摘できるからだ。


「オヤジー。どっちから入れる!」

 店長さん。相変わらず声が通る。


「廃棄を道路側に寄せてくれ。奥からやるからぁ~!」

 オヤジさんは声が大きい。


「二郎くん。奥からやろう。拾ったのは持ってきた袋に入れてくれ。」

 とおる声と大きな声で作業の流れが決まった。


 俺とマクドの店長で畑の奥に行き、うねの両側に立って玉ねぎの葉を拾っては袋にいれて行く。

 少し歩いては葉を拾うためにしゃがみ込む。

 拾った葉を袋に入れる度に玉ねぎの香りが広がる。


 畑の土は昨日の雨でそれなりの湿り気が残り、その湿り気が歩きやすさを作ってくれる。

 きれいな青空の下で軟らかな土の上を歩くのは、舗装された都心を急ぎ足に歩くのとは違った感覚だ。

 足腰に優しい感じがする。

 それでも立って歩き、しゃがんで拾うの繰り返しは下半身に負担を感じる。


 これは明日も筋肉痛だな。

 筋肉痛は明後日じゃないよな?


 畝を3本分を終えた付近で、オヤジさんがトラクターを動かして畑を耕し始めた。

 俺と店長は次の畝へと移動し、トラクターに追い付かれないようにどんどん拾って行く。


「あの方向指示器が公道走行キットなの?」

「オヤジは着け過ぎだよ。」


「あれだけ着けないと公道を走れないかと思いましたよ(笑」


 今も畑を耕しているトラクターは、全ての方向指示器を点滅させている。


「あの看板は?あれも必須なの?」

「あれは着け替えさせた。前は『公道走行キット販売中』に電話番号まで書いてたんだ。」


「そ、そうなんですか…」

 オヤジさん。商売熱心で何よりです。


 それにしても整備工場親子の畑は広い。

 昨日はどれだけ新玉ねぎを収穫したのかと気になるほどだ。

 この大きさと比較したら、隣のバーチャんの畑がまるで家庭菜園に見える。


 陽が高くなり暑さが増してきた。


 何とか畑全面の葉を拾い終えると、オヤジさんの運転するトラクターが最後の畝を耕す。

 そんなトラクターの向こう側に、ショッキングピンクの軽トラが見えた。

 バーチャんが来たと言うことはもう昼時か。


 以外と頑張れたな。

 やはり早寝早起きが良かったんだな。



「二郎くんは、桂子ばあちゃんの畑も拾っとけ。拾い終わったらオヤジが耕すから。」

「すまんなぁ。二郎や頼めるか。」


「お兄さん店長、葉は一緒にしても良い?」

「一緒にしとけ。まとめて出すから。」


 マクド店長とバーチャんの声に答えて、俺は一昨日に収穫したバーチャんの畑に入る。

 葉切りと根切りで捨て置かれた物を拾い集め袋に入れて行く。

 この作業をバーチャんが一人でやっていたのかと思うと、考えさせられてしまう。

 もうバーチャん一人じゃ無理なんじゃないだろうか。


 やはり俺が戻ることを本気で考えないと…


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