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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月24日(土)☀️/☀️
69/279

6-1 公道走行


「二郎や。朝飯にするぞ!」


 バーチャん突然入ってくるなよ。


「ありゃ。もう起きとるんか?」


 俺は既に起きていて、着替えも済ませ布団も畳んで準備万端だ。


「どれどれ。朝から元気か?」

「ふふふ。教えない。」


 座敷に入り神棚に手を合わせる。

 続いて仏間でも手を合わせる。


 台所に繋がる食卓に座れば、湯気の立つ白飯と味噌汁、そして生卵。

 机の中央には漬け物が山盛りの大皿。

 いつもの朝食だ。


 今朝はこれに、昨夜の晩御飯の残りで『茄子の煮物』が置かれている。

 基本的に実家の朝御飯には『惣菜おかず』は無いが、昨夜の晩御飯の残りがあれば出てくる。


「今朝はおかず付きじゃ。」

「ありがとう。」


 いつものとおり味噌汁からいただく。

 やはり実家で食べる飯は旨い。


「8時半には来るそうじゃ。」

「了解。バーチャんは?」


「ワシは昼に飯持って行くで。」

「じゃあ俺は1日畑だね。」


「昨日は夜更かししたんか?」

「いや、気がついたら寝てた。」


 昨夜はご期待どおりに(誰の)Padを抱えて寝てしまいました。


 それでも収穫はあった。


 昨夜はバーチャんの見せてくれた『淡路島』で読み、一歩進んで『淡路陵』も読み込むことができた。


 そしてバーチャんが出てきた様子を詳しく知ることができた。


 ざっと述べれば、こんな感じだ。


・淡路陵の森が明るくなった

・陵の管理者は森が明るくなるのを過去にも見ていた

・その際に粘液状の物体を見つけていた

・陵の管理者が森を調べた

・陵の管理者が幼女を保護した

・幼女を戦争孤児と勘違いした

・幼女は知らない言葉を喋った

・陵の管理者が『桂子』と名付けた


 ここまでの経緯は読めたが、続きは3ヵ月ほど空いていた。続きは、


・米軍の調査団が来た

・不思議な言葉を『桂子』が喋った


 この付近で眠気に襲われた。

 少しだけと目を瞑って、その様子を想像したら寝てしまったようだ。


 そしてカーテン越しの明るさと、鳥の鳴き声、台所仕事をする音で目が覚めたら朝になっていた。


 バーチャんから聞いた話の範囲ではあるが、それが事実であると俺は確信できた。

 それにここまでを時間を要せずに学べた。


 やはり自社製品の機能は素晴らしい。



 空の青さが素晴らしい。

 昨日の雨で空気が洗われたのだろう。

 今回の帰省で一番素晴らしい青さだ。


 そんな青い空の下、実家の前で待っていると白い軽トラが止まった。

 運転しているのはマクドの店長だ。


「二郎くん。おはよう!」

「おはようございます。今日はお世話になります。」


 運転席に座したマクドの店長は声がよくとおる。

 さすがは普段から声を出してるからだろう。

 俺も元気目な声で挨拶する。


「あれ?オヤジさんは?」

「もう畑に行ってるよ。」


「じゃあ、朝から耕耘機を運んで、わざわざ迎えに来てくれたの?お手数かけます。」

「いやいや。耕耘機というかトラクターで向かってるよ。」


 あれ?トラクター(耕耘機)で公道を走るのは…


「公道を走ってるか心配かい?」

「えぇ、大丈夫なんですか?」


 俺の心配する様子に気を使わせてしまったか?

 公道を耕耘機というかトラクターで走行するのは、本来は道路交通法違反のはずだ。


 俺が高校生の頃、学校から帰って来たら実家の前にパトカーが止まっていたことがあった。

 俺はバーチャんに何かあったのかと慌てて実家の敷地に入ると、バーチャんと若い警察官がもめていた。

 どうやら年配の女性がトラクターで公道を走っていたので、パトカーが心配して先導してくれたらしい。


 本来はトラクターで公道を走るのは禁止のはずだ。

 けれども地方な田舎では、警察も厳しくは取り締まらない。

 国道などで渋滞を引き起こす。

 交番の前を走る。

 さすがにこれは警察も無視できない。

 この付近は田舎あるあるだ。


 マクド店長のオヤジさんは、現役の自動車整備士のはずだ。

 警察にご厄介になると本業にも影響があると思う。大丈夫なのか?


「オヤジさん、公道でトラクターは不味いんじゃないの?」

「今年から公道走行キットを販売するんで、デモンストレーションを兼ねてるんだよ。」


 お~、オヤジさんやり手だな。

 公道走行キットか。

 バーチャんがトラクターを出すなら付けた方が良いかも。


「桂子おばあちゃんのトラクターにも付けるかってきいたら、踏み間違い防止も着けろって言われたよ(笑」

「ご、ご迷惑をおかけします…」


 バーチャん。

 トラクターに踏み間違い防止も着けたいのか?


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