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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月23日(金)☂️/☀️
67/279

5-9 初回放送


 ゴーゴーゴー

 ジャグジーの音の中。

 今夜も湯船から実況中継です。(誰得


 いよいよ部長が動き出した感じがする。


 自社製品に関わる資料をファイルサーバーから抹消し、社員のメールからも消してしまう。

 さらに関わってる可能性のある我課に来て、自社製品の資料が残っていないかまで確認している。

 そして納入先である企業まで手を出そうと、俺への接触まで試みてきた。

 パワハラ課長や山田に有給休暇を与えたのも、もしかすると部長の意図かもしれない。


 それにしても、部長の動きに性急さを感じる。


 もしかして、会社の業績悪化による買収と関連があるのだろうか。

 時期的に考えれば可能性があるだろう。

 急ぎ出したのも、そうした背景があるような気がする。


 どちらにせよ、今の俺の立場では関係がないとも考えられる。

 部長が利得を独占しようが、俺には関係がない。

 今後も絡んでくるだろうが、被害がなければ無視しよう。


 前課長が同じように専属案件としていたのか否かは、かなり気になるところだ。

 やりかたも気になる。

 調べる方法があるだろうか。

 何かあるような気がするが思いつかない。

 彼女なら知ってるだろうか?

 彼女に質問するにしても、既に金曜日の夜だから週明けの月曜日だな。

 そう言えば、彼女は土日も出勤するのだろうか?

 あの課長宛てに来ていた案件をふられていたら、確実に土日も出勤だろうが今週はパワハラ課長は欠勤だから大丈夫か。


 ふっ。

 有給休暇中の俺が考えることじゃないな。


 まったり入浴を楽しんでいたのに浴室の戸がガラリと開けられた。


「二郎。溺れとらんか?」

 バーチャん!孫の入浴を覗き見ですか!


「ドラマが初回放送で30分早いのを忘れとった!」

「バーチャん脱がないで!直ぐに出るから!」


「ほれほれ。早よう出んとバーチャんと混浴じゃ!」


 こうして俺のバスタイムは終わりとなった。



「湯上がりビールはバーチャんが出てくるのを待つか…」


 湯上がりのビールを飲もうと冷蔵庫を開けたが、もう少しの辛抱だと我慢することにした。


 部長からの返信が来ていないかが気になった俺は、お爺ちゃんの部屋に戻り社内メールを確認するため社内ネットにログインした。


 社内メールには未読が2通。


 1通は情報共有。

 複数のCc:に混ざって俺が入っているだけなので、これは読み捨てて良い。


 もう1通は部長からの返信だった。


「有給休暇中にすまなかった。山田君から詳細は確認する。」


 よしっ!

 部長の矛先を変えられたぞ。


 部長からのメールを詳しく見ると、宛先は俺とパワハラ課長に山田となっている。

 俺は外された文面だから、後はパワハラ課長と山田が部長の槍に突かれれば済む。


 折角せっかく社内ネットに接続したのだ、過去のメールでも整理するか?


 う~ん。

 なんか有給休暇らしくない。

 この週末は仕事に追われないのだ。

 もっと有意義に過ごしたい。


 まずは社内ネットからログアウトしよう、仕事から離れるためにも。



 かぁ~ ビールが旨い!


「はい。バーチャんにも。」

「おお。すまんなぁ。」


「バーチャん。明日の予定は?」

「畑じゃな。新たまの後始末じゃ。3時頃に耕耘機が借りられるで。」


「耕耘機が借りられる?」

「二郎が寝とる間に電話が来たんじゃ。隣の畑が朝から使うらしいんじゃ。」


 あの整備工場のオヤジさんだな。

 耕耘機が借りられるなら助かるな。


「二郎は朝から行けるか?行けるなら電話するが?」

「うん。今日は夜更かしはしない。今朝で懲りたよ。」


「なら、朝から二郎だけ手伝いに行けるな。その電話取ってくれ。」


 バーチャんが手を出した先には、スマホが充電器に収まっていた。

 俺はそれを取るとバーチャんに渡す。

 バーチャんはスマホを操作して電話した。


「ワシじゃ。門守りじゃ。二郎が朝から手伝えるで迎えに来てくれんか?」


 こうして俺の帰省6日目の予定が決まった。


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