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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月22日(木)☀️/☁️
57/279

4-12 テレビドラマ


 ゴーゴーゴー

 ジャグジーの音の中。

 俺は湯船に浸かりながら、会社のことを考えてみた。


会社

 業績悪化で外資からの買収話あり。


部長

 パワハラ課長を呼びつけ青い顔をさせた。

 パワハラ課長の無断欠勤で山田に課長への連絡をさせた。

 部長配下に定時帰りを指示した。

 翌日はうちの課だけに定時帰りを指示した。


パワハラ課長

 部長に呼びつけられ青い顔で戻ってきて早退。

 翌日も翌々日も欠勤。


山田

 テレワークが出来ない(能力不足。

 部長から指示され課長に連絡するも翌日には本人が欠勤。


 これだけの情報では確証は無いが、部長、課長、山田の3人は何らかの関係性がありそうだと思える。

 その関係性は、時期的に会社の買収に関わる話かも知れない。


 次に気になるのは、あの大量文書の検索を可能にする製品だ。

 官公庁や俺が担当していた企業にまで導入実績がある。

 しかも俺の実家にも導入されている。

 それなのに、社内でも課内でも話題にならない。

 唯一なのは、彼女が前課長に同行でお客様へ提案をしたぐらい。

 そうなるとあの製品は、前課長の専属案件だったと考えるしかない。

 部下の誰にも触れさせなかった。

 担当させなかったと考えて良いだろう。

 俺が担当していた企業ですら、あの製品について俺に問合せをしたことがない。

 ということは、お客様にまで専属性を徹底していると言える。

 何故そんなことが出来るんだ?

 そもそもそれだけの製品を我社が有しているなら、俺が就職活動をしている時のアンテナに掛かってもおかしくない。

 その後の社内報で導入事例を見ていない。そんなことが出来るのか?

 とにかくあの製品については、会社のHPで製品一覧を見てみればわかるか…


 ふっ。俺はあの製品に拘りすぎだな。


 自分が抱えていた大量の日記との格闘を解決してくれた製品だからと、誉め称え過ぎかも知れない。

 世の中を見渡せば、もっと良い製品があるかも知れない。


 まだまだ俺も視野が狭いな。


 おっと俺が最後だから風呂も洗っておこう。



「バーチャん。風呂も洗っといた。」


 湯上がりで仏間のバーチャんに声をかけたが返事がない。

 バーチャんはテレビドラマに見入っていた。

 座卓の上には空のビール瓶と泡が少し残った空のグラス。


「俺もビールもらうよ。」


 そう声をかけたが、バーチャんは返事をしない。

 既にバーチャんの全てがテレビドラマの世界に入っているようだ。

 俺は昨日と同じく冷蔵庫から瓶ビール、冷凍庫から凍らせたたグラスを出して仏間に戻った。


 シュポン!

 瓶ビールの栓を抜く。

 凍らせていたグラスにビールを注ぐ。

 グビグビグイ。

 ぷはぁ~

 旨い。

 湯上がりのビール。

 最高!

 どれどれ。

 もう一杯。


 と、バーチャんが空のグラスを突き出してこっちを見ている。


 バーチャんのグラスも俺のグラスも満たして。

 グビグビグイ。

 ぷはぁ~

 旨い。


「二郎の明日は予定があるんか?」

「いや無いよ。バーチャんは?」


「明日は雨だで畑も無しじゃ。」

「明日は天気が悪いんだ。」


「おっ、始まる。二郎。ドラマが終わってからじゃ。」

「はいはい。」


 今の間はテレビCMだったのだろう。

 再びバーチャんはテレビドラマの世界に戻ってしまった。


 俺はボーッとしながら湯上がりビールを楽しむ。

 バーチャんを見習いテレビドラマを一緒に見るが、全く筋書きと言うか話の流れが理解できない。

 あれこいつは本来は芸人だろ?

 なんでテレビドラマに出てるんだ?



 ビールを飲み干す頃にはテレビドラマも終わったようだ。

 俺はグラスや空のビール瓶を仏間から片付け、洗い終わったグラスを冷凍庫に入れて再び凍らせる。


 仏間ではバーチャんが座卓を片付け布団を敷いていた。


「バーチャんおやすみ。」

「おう。夜更かしは厳禁じゃ。」


 バレてる。

 俺がお爺ちゃんの部屋で、もう少し日記と格闘するのをバーチャんは見透してるようだ。


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