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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月22日(木)☀️/☁️
55/279

4-10 ノートパソコン


 俺は、どら焼の半分とメモを持ち、急ぎ足でお爺ちゃんの部屋に戻った。


 俺は何かを期待していた。


 バーチャんの話では、お爺ちゃんの部屋に置かれているノートパソコンは『国の人』が持ち込んだものだ。

 バーチャんの言う『翻訳の監修』作業を容易にするために持ち込んだものだ。

 あれにログインできれば、俺でも大量の日記を紐解く切っ掛けが掴めそうな気がした。


 お爺ちゃんの部屋で座卓に向かって座り、ノートパソコンを開ける。


 即座にsleep状態から復帰した。

 ユーザーIDとパスワード要求のダイアログが出てくる。

 メモに手書きされたユーザーIDとパスワードを入力する。


 ほんの数秒後。

 画面にはWindowsのデスクトップが表示され、左上に一つだけアイコンが置かれていた。


 そのアイコンを見て俺は驚いた。


 さっきまで見ていたプレゼン資料に使われていたデザインと同じなのだ。


「これって会社の製品版じゃん!」


 アイコンをクリックすると、プレゼン資料で見たとおりの画面が出てきた。

 ノートパソコンに付けられたマウスを操作して、原文書一覧と名付けられたリストの中から昨日見た日記、『1945-07-16-001』を探せばリストの一番上にある。


 直ぐさま『1945-07-16-001』をダブルクリックして開いてみた。


1945-07-16-001

 トリニティ核実験で魔石が鮮やかな色に変わった。

 この魔石を使ってこれから門を開く。


 昨日見た文章がそのまま出てくる。


 俺は文章の中から『魔石』部分をクリックする。


 すると新たに窓が開き、『魔石』の語句が含まれているであろう日記の一覧が表示された。

 マウスで日記の一覧の上にカーソルを移動すれば、吹き出しが表れ日記の内容が表示される。


「これだよ!俺が欲しかったのはこれだよ!」


 思わず声を出してしまった。


「目がチカチカせんか?」


 背後から声をかけられ、慌てて振り返るとバーチャんが立っていた。


「バーチャん。これって…」

「さっき見た1,200万円じゃろ。」


 バーチャんの言葉に呆気に取られた俺は言葉が続かなかった。



「このテレビでも見れるぞ」


 バーチャんはそう言って、液晶テレビの脇に置かれたリモコンを手に取り電源を入れた。


 30インチを越えるで在ろう液晶テレビにノートパソコンと同じ画面が写る。

 このサイズで見ると圧巻だ。


 バーチャんが、俺を脇に退かす仕草をするのでノートパソコンの前を空けるとバーチャんがちょこんと座った


「これじゃと肩が凝るんじゃ。」


 そう言ってバーチャんがマウスを操作しようとするが、液晶テレビを見ながらのマウス操作は難しそうだ。


 バーチャんの背丈からでは液晶テレビを若干見上げる姿勢になる。

 液晶テレビと手元のマウスを交互に見るので、顔を上げ下げしてしまうのだろう。

 結果として、肩が凝ると言うか首が痛くなりそうだ。


「やっぱりワシには合わん。Padの方が楽じゃ。」

「バーチャんこれって使ってないの?」


「試したのは三日だけじゃ。」

「三日?」


「二郎なら使えるか?」

「俺ならノートパソコンでも大丈夫だけど…」


「使ってやってくれ。ワシは風呂じゃ。」


 そう言い残してバーチャんは部屋を出ていった。


 俺は驚きと共に呆れてしまった。

 この大きな液晶テレビとノートパソコンは三日しか使わなかったのかと。


 眼鏡スーツな男性の困り顔が少しだけ脳裏に浮かんだ。


 あれ?俺のどら焼はどこだ?


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