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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月20日(火)☁️/☀️
28/279

2-17 勇者繋がり


「バーチャんのFF好きは置いといて、ドラクエの世界で話していいかな?」

「かまわんぞ。」


「バーチャんとお爺ちゃんがいた世界って『ドラクエ』の世界に似てるよね。」

「確かに似とるのう。ワシもお爺さんも遊んでみたが似とった。」


 お爺ちゃんもバーチャんも、遊んだことがあるのね。


「向こうの世界に『勇者』っていたの?」

「勇者か…礼子の父親じゃな。」


「…… マジっすか?」

「一郎は勇者見習いだったそうじゃぞ。」


 一郎は俺の父で礼子は俺の母だ。

 二人とも『勇者』の関係者なの?


「ワシとお爺さんは勇者には会ったことはないんじゃが、一郎は勇者と一緒に魔王に挑んどる。」

「…(一郎父さん、やるじゃん。)」


「礼子が勇者の娘と気付いたのは一郎じゃったんだ。」

「そうかもね。だって勇者と一緒に魔王に挑んだんだから。むしろバーチャんやお爺ちゃんみたいに幼馴染みとか?」


「いや、二人は向こうの世界では会っとらんのじゃ。」


 ??? どういうこと?


「一郎父さんは勇者見習いでしょ?それに礼子母さんは勇者の娘だから、会ってたんじゃないの?」

「まあ、落ち着いて聞くんじゃ。礼子はかなり幼かったんじゃ。そう。ワシとお爺さんが21歳の時じゃ…」


 そう言って、バーチャんは礼子母さんの話を始めた。


 その話には、お爺ちゃんがこちらの世界に来た『米軍の門』が、またしても絡んでいた。

 再び核実験で門を開き、その開いた門から礼子母さんが出て来たそうだ。

 しかもわずか3歳ぐらいで。


「ごめん。バーチャん。ちょっと確認させて。」


 俺はバーチャんの話を止めて、スマホで『トリニティ核実験』を再び開いた。

 続けてアメリカが関わった核実験を調べて、その回数の多さに何とも言えない思いを抱いた。

 もしかして核実験の度に門を開いたんじゃなかろうかと。


「こんなに核実験をしてる。」

「そうじゃ。何度も米軍は門を開いたんじゃ。」


 思わず核実験の回数を口にした俺に、バーチャんは答えてきた。

 その答えから、やはり米軍は何度も門を開いていると確信した。


「バーチャん。礼子母さんが出て来たのって、どれ?」

「セダンじゃ。」


 バーチャんの『セダン』の言葉に反応して、俺は『セダン核実験』を調べた。


 > 1962年7月6日にネバダ核実験場の…


 そして少し気になる語句を見つけた。

 だが、今はバーチャんの話を聞こうとスマホを操作するのを止めた。


「この核実験で礼子母さんが3歳で出て来たんだよね。だとしたら、お爺ちゃんと同じく米軍の関係者が礼子母さんを引き取ったの?」

「最初はそうだが、直ぐにお爺さんとワシで育てたんじゃ。お爺さんとの結婚は礼子がきっかけじゃ。」


 ???

 今日何度目の『?』なんだろう…


「礼子が門から出て来て、幼いながらも口にした言葉が『王国語』だったんじゃ。」

「そうか!同じ言葉とわかれば、お爺ちゃんやバーチャんと同じ世界から来たと考えるのが妥当だね。」


「礼子がこちらの世界に来た知らせがお爺さんに届いて、直ぐに淡路陵にいたワシにプロポーズしに来たんじゃ。」


 バーチャん。

 そこでニヤけてどうする。


「国際問題とかあったのに、礼子母さんが出て来たことで随分とすんなりと結婚できたんだね。」

「まあ、その当時はワシもお爺さんも一緒になろうて思うとったから、良い切っ掛けじゃ。」


「最初はバーチャんをアメリカに連れて行こうとするほどだったのにね。米軍も随分と緩くなった感じだね。」

「ケネディさんも忙しかったんだろ。」


 『ケネディ』ってケネディ大統領のことだよね。


 そのとき俺は、自分が勉強不足だと思い知った。


 お爺ちゃんやバーチャん。

 そして一郎父さんや礼子母さん。

 皆が生きてきた戦後の日本や世界情勢について、かなり知識が足りないと感じた。

 バーチャんから新たな言葉が出る度に、スマホで調べそうになっている自分に気がついた。


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