2-16 ドラクエよりFF
国家間の問題。
国際問題を経て、バーチャんとお爺ちゃんは結ばれた。
いろいろあったんだろうとは思う。
「お爺ちゃんとの結婚の話しに進む前に聞きたいんだけど。」
「なんじゃ。」
「バーチャんを育てたのは誰?」
「ワシか?ワシはいろんな人に世話になった。」
「いろんな人?」
「お爺さんと一緒になるまで何人も来よった。」
何となくだけどわかる気がする。
お爺ちゃんは、米軍の門の実験で現れたのだから米軍関係者が預かる。
バーチャんは、天皇陵だったことから宮内庁とかのお役所だっのかもしれない。
それに国際問題が続いていたら、外務省とかいろいろ考えられる。
「長くて4年ぐらいで入れ替わりじゃ。一番短いのは1週間じゃ。」
「酷すぎる。」
思わず口にしてしまった。
親代わりが長くて4年とかで交代してたら、精神的な成長に影響が出てもおかしくない。
むしろ里親制度とか、養護施設などで育てられた方が幸せかもしれない。
けれどもバーチャんが日本に来たのが広島原爆の時期では、日本は敗戦処理に追われていただろう。
終戦直後の日本には大量の戦争孤児がいたと聞く。
そんな中で天皇家と縁がある。
アメリカとの国際問題がある。
それらを背景に、育ての親が着いたことは幸せなのかもしれない。
「育ての親というよりも教育係じゃな。」
「教育係?」
「最初は日本語が喋れん。」
「なるほど。その教育係が日本語を教えたんだね。」
「その教育係が一番長い4年じゃな。」
「それって、4年で日本語を覚えたってこと?」
「だいたいの日本語は喋れたが、お爺さんと会ってたときは王国語じゃな。」
5歳から4年間だと9歳。
小学3年ぐらいか。
その年齢でバイリンガルは凄いと思う。
「王国語?」
「向こうの世界の言葉じゃ。」
「そうか。お爺ちゃんとバーチャんの共通語だからね。」
ここまでのバーチャんの話で気になったことがある。
「お爺ちゃんとバーチャんは、魔王の国の奴隷だったんだよね?」
「さっきも話したが、魔王の国の大魔導師様の奴隷じゃ。」
「さっき話していた王国語って、魔王の国の言葉?」
「何を言うとる。魔王の国と王国は別物じゃ。」
「ごめんごめん。ちょっと話が複雑で混乱してるのかも…」
「混乱するのも無理なかろう。」
このとき俺はひらめいた。
この混乱を治めるため、お爺ちゃんとバーチャんがいた世界を『ドラクエ』の世界にたとえれば良いんだと。
『魔王の国』 = 魔王がいる
『王国語』 = 王様がいる
『剣と鎧』 = Gで買いました
『魔物』 = スライム?
『魔法』 = いろいろある
『勇者』 = …
「バーチャんとお爺ちゃんがいた世界って『ドラクエ』の世界に似てる感じ?」
「ワシはドラクエよりFFじゃな。」
バーチャん。
どっちもご存知なんですね。