表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
門の守人  作者: 圭太朗
2021年5月6日(木)☁️/☁️
261/279

18-13 御札


「センパイ!今のは?!」


 彼女が俺の腕を掴みながら驚きに満ちた顔で聞いてくる。


 そんな彼女を黙って抱き寄せ、入ってきた鳥居の方へと下がるように向きを変える。


「はい!」


 山本さんが声と共にハンズフリーに手を掛け、周囲を見ながら俺と彼女の行く手を塞ぐように立ってきた。

 その様子に周囲を見れば、細マッチョ1号も2号も走り寄ってきた。

 すると、山本さんと細マッチョ二人で、俺と彼女に背を向け守るように囲むように立つ。

 いや、俺と彼女を中心にして3人が周囲を見渡し、何かを誰かを探している感じだ。


 少々、騒然とした様子がしたのか、入ってきた鳥居の側に立っていた警備員さん2名が小走りに近寄ってくる。

 後を見れば、神主の装束を纏った方も1名、急ぎ足で近寄ってきた。


「周辺に確認できません!はい!」


 山本さんがハンズフリーに手を添え近寄ってきた全員に聞こえる声を出した。

 そして、山本さんが今まで発したことの無い、低く厳しい口調で周囲に告げた。


警護隊総員けいびたいそういん正宮内せいぐうない散開捜索継続さんかいそうさくけいぞく!」


 山本さんの号令と共に、細マッチョ2名、警備員2名、そして神主の装束な方々が俺と彼女への包囲を解いた。

 そして、小走りに周囲の参拝客 or 観光客の元に向かい一人一人を確認している。

 それまで囲われていた俺と彼女が解放されたかのような感じだ。


 その様子を少し離れて見ていた親衛隊の御三方と、運転手さんがやってきた。


「二郎君、由美子さん」

「はい「金次さんなんでしょう」」


 金次さんが朗らかな顔で話し掛けてきた。


「お詣りは済んだかい?」

「ええ「済みました」」


 俺と彼女の返事に、金次さんは山本さんへ問いかける。


「愛ちゃん、二郎君と由美子さんは終わったそうじゃ。ワシらと一緒に帰るぞ」

「愛ちゃん、先に帰るぞ」

「愛ちゃん、すまんのう」

「はい、参集殿でお願いします」


 親衛隊の御三方の投げ掛けに、山本さんはハンズフリーから手を離すこと無く答えた。


「じゃあ「二郎君、「由美子さん行こう」」」



前衛 親衛隊の御三方

2番手 俺と彼女

後衛 運転手さん


 この並びで正宮を後にする。

 イロイロとあったが、新たな一行は鳥居を出たところでの一礼は忘れない。


 皆が無言のままで石階段を降りきり、参拝客 or 観光客の列に従い進んで行くと、運転手さんが沈黙を破って話し掛けてきた。


「何かあったんですか?」

「どうなんでしょう?」


 運転手さんの問いにとぼけるように答えつつ、逆に俺から問いかける。


「運転手さんは何か聞いてます?」

「いえ、私は何も聞いてないです」


 そう言った運転手さんはニヤリと笑みを浮かべた。


 そのまま何も話さず神楽殿の付近に来たところで、親衛隊の御三方が声を掛けてきた。


「二郎君と由美子さんは御札おふだを受けるかい?」

「そういえば桂子さんのところの神棚、御札おふだはどうしとる?」

「京子さんの所の御札おふだもじゃ」

「「あれ?」」


 思わず彼女と顔を見合わせてしまう。

 淡路島の実家の神棚。

 どんな御札おふだを納めていたかが思い出せない。


「「「ハッハッハ思い出せんか?」」」


「センパイ、御札おふだを受けましょう!」

「おお、そうだな」


「じゃあ、こっちじゃ」


 そう言われて、俺達一行は神楽殿へと入っていった。



 親衛隊の御三方と運転手さんから離れ、御札おふだを受ける列に彼女と共に並ぶ。


 列の前後を見渡した彼女が聞いてきた。


「センパイ、さっきの何ですか?」

「由美子は何が見えた?」


「眩しくて⋯よく見えなかったんです」

「えっ?そうなの?」


「センパイが⋯使う感じがしたんで急いでサポートしなきゃと思ったら、手を合わせて神様に結婚を報告してました♥️」

「⋯ハハハ」


 彼女の言葉に、一瞬、考えてしまった。

 俺は彼女と結婚する事を報告したよな?


 俺は周囲を見渡し彼女に答える。


「由美子、今ここで俺が正宮で見たことや感じたことを詳しく話す?」

「う~ん⋯後でいいです」


「それより、あの二人には驚いたよね」

「ええ、驚きました。まさか二人で居るとは思いませんでした」


 俺と彼女は周囲に聞かれても良さそうに言葉を選んだ会話をしながら、御札おふだを受ける順番を待つのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ