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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月20日(火)☁️/☀️
25/279

2-14 広島原爆


「二郎や。会社の危機とか聞こえたが、続けてワシの話が聞けるのか?」

「うん。大丈夫。大丈夫だと思う。」


「ならば続けるぞ。」


 そう言ってバーチャんは湯呑みに新しく茶を注いでくれた。


「バーチャんは淡路陵の門から…」

「そうじゃ。お爺さんは米軍の門から来たが、ワシは淡路陵の門から来たんじゃ。」


「待って。お爺ちゃんは核実験で門が開いて…」

「ワシは広島の原爆じゃ。」


 俺はバーチャんの言葉に固まってしまった。

 日本人にとって広島原爆と長崎原爆は、それなりに意味のあるものだ。

 中学の修学旅行で広島の原爆ドームは見学した。平和記念資料館も回った。

 その原爆とバーチャんに関わりがあると知らされるのは驚きしかなかった。


「広島の原爆で淡路陵の門が開いて、バーチャんが出てきたの?!」

「そうじゃ。偶然開いたんだろう。」


「バーチャんの話だと、米軍の門は意図的に開いたんだよね?」

「お爺さんの米軍の門は核実験で開いたが、淡路陵の門が広島原爆で開いたのは遇然じゃろう。だが、ワシもお爺さんも向こうの世界では実験だったんじゃ。」


 再び俺は固まってしまった。

 実験?

 なんの実験だ?

 向こうの世界での実験?


「ワシもお爺さんも、向こうの世界では魔王の国の人間奴隷だったんじゃ。」

「魔王の国の人間奴隷??」


 向こうの世界には『魔王』様がいるの?

 しかも『人間奴隷』って何だよ?


「魔王の国で魔法の実験がされたんじゃ。その時の実験材料だったのがワシとお爺さんじゃ。同じ奴隷だったからのう。」


 こんどは『魔法』ですか?

 またしても自分の頭が混乱し始めた。


 まてよ。『同じ奴隷だった』?


「バーチャんとお爺ちゃんは同じ奴隷だった。」

「おう。人間奴隷じゃった。」


「同じ?」

「おう。お爺さんもワシも同じ奴隷じゃ。」


「同じ奴隷だった?」

「そうじゃ。二人とも同じ大魔導師様に飼われた身じゃ。」


「その頃からお知り合いで?」

「まぁ、こちらで言うところの幼馴染みかのう。同じ奴隷だったしのう。」


 いやいや。

 そんなところを気にしてどうする。

 バーチャんとお爺ちゃんが同じ奴隷で幼馴染みとか。

 むしろ魔法の実験とか、魔王の国の話の方が大切なのでは?


 まてまて。

 バーチャんは実験とか言ってたけど…


「米軍の門だけど、最初は魔物がでてきたんでしょ?」

「さっきも言ったが最初は剣とか鎧じゃ。」


「剣と鎧?」

「そうじゃ。剣と鎧じゃ。ワシも大魔導師様が魔法を使うのを見とったから知っとる。」


「次に米軍の門から出てきたのが…」

「魔物じゃ。それも見とった。」


「次がお爺ちゃんで…」

「これは見とらん。」


「そしてバーチャん…」

「そうじゃ。」



 『剣と鎧』などの無機質で始まり

 『魔物』と呼ばれる生物?

 『お爺ちゃん』そして人間


 この順番。

 無機質なもので始まり、有機的と思われる魔物、そして最後に人間。


 …これ。

 明らかに大魔導師さん実験してる!


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