18-1 開けてやる
今日は二郎さんが来るのよね?(By若奥様
はい。市之助さんの孫娘の由美子さんと一緒に来ます(Byメイド
由美子さん?あぁ、あの可愛らしいエルフの娘さんね(By若奥様
やはり門は開くんでしょうか?(By天使
それは二郎さん次第ね(By若奥様
進一さんの時は開いたのですよね?(By天使
進一さんの時は『俺が開けてやる!』との願いが強かったですね(Byメイド
なるほど願いが強くて開いたんですね(By天使
あれ?天使さんは知らないの?面白かったわよぉ~(By若奥様
⋯⋯生憎と不在でした(By天使
もう周りの皆がバタバタしちゃってぇ~、あれを見れなかったなんて残念よね(By若奥様
⋯⋯(By天使
あの⋯奥様⋯お忘れですか?(Byメイド
えっ?何が?(By若奥様
あの時、天使さんは若奥様のお使いで⋯(Byメイド
あら?覚えてないわぁ~(By若奥様
⋯⋯(若奥様、ボケ始めてないよね(Byメイド&天使
ホッホッホ(By神様
◆
俺の隣で彼女がモゾモゾと寝返りをする。
その動きで俺は目が覚めた。
また変な夢を見てしまった。
隣で寝息を立てる彼女を抱き枕に、二度寝しようかと思ったが、今日のこの後の予定を考え始めたら目が覚めてきた。
伊勢神宮へお詣りに行く
その事に、緊張しているのかも知れない自分を感じる。
目覚ましにシャワーを浴びようと、彼女を残してベッドを抜け出した。
シャワーのある内湯に行けば、全面ガラス戸の向こうに朝日の差し込むウッドデッキが見える。
そのウッドデッキには、昨夜彼女と混浴した露天風呂がある。
朝日が差し込む露天風呂に行き、栓をして湯を溜め始めたら、内湯に戻り頭からシャワーを浴びた。
ボディソープで全身を洗い、ついでにカミソリで髭を剃り上げる。
仕上げにシャワーで泡を流したら、それまでの眠気も流されて行く。
露天風呂の様子をガラス戸越しに見れば、湯が溜まり入れそうだ。
「センパイ、おはようございます」
背後から彼女に声をかけられる。
その声に振り返れば彼女が立っていた。
「由美子、おはよう。直に溜まるけど一緒に入らないか?」
「朝からするんですかぁ~」
由美子さん。
どうしてそこでクネクネするんですか?
「由美子は⋯したいの?」
「冗談です。さあ入りましょう!」
そう言った彼女は恥じらうことなく、バスローブを脱ぎ捨てた。
一瞬、全裸の彼女に驚いたが、よくよく考えれば俺も全裸だ。
彼女と湯船に浸かり、今日のお伊勢詣りの話をする。
「今日はお伊勢さまへお詣りですね」
「ああ、9時30分に宿のロビーで山本さんと待ち合わせだね」
「センパイは、兄さんみたいに『開けてやる』とか思ってるんですか?」
「『開けてやる』?」
彼女の言葉に今朝見た夢を思い出す。
「兄は伊勢神宮に行く時、『由美子、伊勢の門を開ければ本物だと証明できる』って言って出発したんです」
「へぇ~」
「それで、帰ってきた時に『由美子、伊勢の門を開けてやったぞ!』って、何度も自慢してたんです」
「へぇ~」
「兄も周囲から認められて、嬉しかったんだと思います」
「ハハハ」
「センパイは、兄の自慢話を聞いてないんですか?」
「聞いてるよ」
「じゃあセンパイも兄みたいに本物だと証明する気ですかぁ~?」
「う~ん。どうなんだろう?」
俺はやる気の無い返事をしてしまった。
「「⋯⋯」」
互いにしばしの無言の後、彼女が激を飛ばしてきた。
「センパイ!やる気の無い男はモテませんよ!」
「いいよ、モテなくても。由美子が居れば」
俺はそう言って彼女を抱き寄せ、口付けを交わした。
彼女も俺の思いに応えて、口付けを受け入れてくれた。
「センパイ⋯したいんですか⋯」
「ああ、由美子とすごくしたい♡」
彼女の耳元で囁くと、彼女が俺に跨がり両手を首に巻きつかせてきた。
「今朝も元気ですね♥️」
はい。今朝も元気になりました。