17-19 露天風呂
「センパイ、シャンパンどうします?」
「う~ん⋯どうしよう?」
「一緒にお風呂で飲みませんか?」
「???」
食事を終え、テーブル脇に置かれたワゴンに残されたシャンパンを指差して彼女が聞いてきた。
「一度、やってみたかったんです♪」
「それって、露天風呂でシャンパンを飲むってこと?」
俺の問いに彼女がコクコクと頷いた。
「露天風呂に一緒に入るってこと?」
「コクコク」
「それって混浴だよね?」
「コクコク」
「イロエロ見えちゃうよ?」
「コクコク」
俺が言葉を重ねる都度、彼女が無言で頷く。
頷く毎に顔が赤く染まって行く。
「うん。一緒に入ろう♪」
俺の言葉で、彼女の嬉しくも恥ずかしそうな顔が、最高の赤みを見せた。
きっと酔ってるからだよな。
内線を繋ぎ食事を終えたことを伝えると、例の中居さんが二人でやってきた。
二人の中居さんは満面の笑顔で後片付けを始めた。
彼女が露天風呂を使いたい旨と、明日に備えてスチームアイロンもしくはズボンプレッサーが借りれるかを伝える。
すると一人の中居さんが食事の後片付けをしながら湯船を満たし、もう一人の中居さんがフロントからバスローブとズボンプレッサーにスチームアイロンを持ってきてくれた。
二人の中居さんがテキパキと食事の後片付け、入浴の準備、明日の備えを済ませてくれた。
全てを整えてくれた中居さん二人が『おやすみなさいませ』と告げて玄関から出て行く。
これでこの『棟』は、俺と彼女の二人だけになった。
◆
「ふぅ~」
湯船に肩まで浸かると思わず唸るような声が漏れてしまう。
「センパイ、幸せですか?」
彼女がそう言いながら、シャンパンを渡してきた。
「美人な奥さんと混浴。幸せだよ」
シャンパンを受けとりながら俺は答える。
「カンパーイ」
彼女が照れながらグラスを寄せる。
「おっパーイ」
俺は彼女の胸を見ながらグラスを寄せる。
「センパイ、下品です!」
彼女は笑いながらも俺に胸を寄せる。
そんな彼女を抱き寄せ、シャンパンを溢さないようにしながら口付けを交わす。
彼女の瞳を見ればいつもより潤んで、キラキラと輝きを増している。
徐に彼女がグラスを湯船の脇に置き、俺の胸を両手で撫で始めた。
俺はグラスを落とさぬよう彼女にされるがまま。
彼女の手が俺の胸から下半身へと進む。
「センパイの固いです」
おいおい触るんじゃない。
「アタシとしたいですか?」
おいおい握るんじゃない。
「アタシはセンパイとしたいです」
おいおい握り直すんじゃない。
「センパイしますよ!」
おいおい俺のグラスを取り上げてナニするの?
♥️
ゴーガーゴー
ベッドで横になり、彼女のドライヤーを使う音を聞く。
今になって思えば、こんな時間を彼女と過ごすとは思いもよらなかった。
嫌な時間ではない。
むしろ毎日、朝でも昼でも夜でも、彼女と愛し合う時間を過ごしたい。
そんなことを考えていると、髪を乾かし終えた彼女がベッドルームに入ってきた。
俺は体を起こし彼女に手を差し伸べる。
「由美子、おいで」
彼女は差し伸べた俺の手を掴み飛び込んできた。
「朝まで二人っきりですね」
「ああ、朝まで愛し続けるよ」
言葉どおりにならなかったけど、深夜までは彼女を愛しました♥️