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門の守人  作者: 圭太朗
2021年5月4日(火)☀️/☀️
222/279

16-24 古い勾玉


「ちょっと、スマホを取ってくる」


 そう言って、進一さんは席を立った。


 残されたのは、俺と剛志さんと魔法円のホットプレート。

 そのホットプレートからパチパチと餃子の焦げ始める音がする。

 慌てて蓋を取ると、よい感じに焼けた餃子が姿を表した。


 その餃子を肴に、剛志さんと海草焼酎を酌み交わす。


「『鍵』の勾玉まがたまだが⋯通常は弟子入りしないと見せないらしい。二郎君は、半分、進一に弟子入りしたのも同じか。ハッハッハ」

「あれ、じゃあ剛志さんは、『淡路陵の門』の勾玉を見てるんですか?」


 剛志さんから、『鍵』の勾玉まがたまの話を振られた。

 俺は『弟子入り』の言葉を気にしながらも、剛志さんがバーチャんに弟子入りした話を思い出す。


「桂子さんに見せてもらったよ。翡翠ひすいだろ?」

「ええ、若奥様が⋯」


「若奥様?ああ、確かに若奥様だね(笑」

「ここ、隠岐の島にも来たんですか?」


 俺は神様ご一行が淡路島を訪れ、若奥様(女神)が『魔素』を充填した話をしようとすると、若奥様の言葉に剛志さんが食い付いた。


「ああ、隠岐の島にも来たよ。古いやつが壊れてね。新しく作ったら直ぐに来たよ」

「壊れた?」

 進一さん、何をしたの?


「そう、進一が写真と言ってるのは、壊れたやつを撮影した時のだろうな」

「いや、あれって、壊れるんですか?」


 剛志さんに、古い勾玉まがたまが壊れた話を聞こうとすると、後ろから声を掛けられた。


「ほら、これだよ。二郎くん」


 戻ってきた進一さんが、スマホを見せてきた。

 見せられたのは、二つに割れた黒い勾玉まがたまだった。


「これって『鍵』の勾玉まがたまですよね?壊れるんですか?」

「ああ、10年前の地震で急に『門』が開いたんだ。『鍵』を使って急いで閉じたんだ」


「何とか閉じれたけど、その時にこの有り様だよ」


 進一さんの説明から、『隠岐の島の門』も地震で開くことがわかった。

 また、『門』を閉じるのに実際に『鍵』として勾玉まがたまを使っていることがわかった。


「壊れたままだと、もし地震か何かで『門』が開くと、命懸けで閉じることになるだろ?」

「そ、そうですね⋯」


「それで例の工房にお願いして、同じサイズのを作ってもらったんだ」


 進一さんの言う例の工房とは、原石を拾いに行った際に立ち寄った、黒曜石の工房だろう。


「新しく作って、残りの『魔石』で充填したんだが⋯」

「あの時か?進一は魔力切れになったな。ハッハッハ」

 剛志さん、笑うところじゃないと思います。


「『門』が開いてないから、新しい『鍵』の勾玉まがたまを『魔石』にできないだろ?」

 進一さん。

 俺に『魔石』の作り方を問いかけないでください、


「仕方がないから、由美子がやって見せたように『魔石』から『魔素』を移動したんだ」

「ええ、あれですね」


「1個目は素直に移動してくれたが、2個目を掛けようとして、魔力切れだよ。ククク」

「『Double魔石』?」

「そこで二郎君の言う若奥様が登場だ」


 なるほど、頷ける流れだ。

 やっぱり女神様だけのことはある。

 窮地に陥ると助けるんですね。


「進一、二郎君なら、出来るんじゃないか?(笑」

「そうだね。『魔素』の入ってない予備のがあるから、二郎くんにやってもらうか?(笑」

「お断りします。それは女神様の仕事です(笑」


「ククク」

「ハッハッハ」

「ハハハ」


 冗談が出始めて、ひと安心だ。


 それでも気にはなる。

 思い返せば、バーチャんから宅配便で送り付けられた時、『お爺ちゃんの勾玉まがたま』は『魔素』が切れ掛けていた。

 今は女神様が充填してくれた状態だが、地震か何かで『門』が開いて、バーチャんが閉じた時に壊れたら後がない。


 俺の知る限り、バーチャんは予備の『鍵』なんて持っていないだろう。

 そうなると『お爺ちゃんの勾玉まがたま』無しで、バーチャんが『門』を閉じようとしたら⋯


 バーチャんを、『魔力切れ』で死なせるわけには行かない。

 本気で予備の『鍵』を備える必要があるな⋯


 待てよ。


 バーチャんは、俺に宅配便で送り付けてきたよな?

 あれって、俺に充填しろって事だったのか?

 というか、バーチャんの手元に『鍵』になる『お爺ちゃんの勾玉まがたま』が無かったら、バーチャんはどうする気だったんだ?


「進一さん、手元に『鍵』になる勾玉まがたまが無いのって⋯こう、不安になりませんか?」

「「????」」


「実は⋯」


 俺は宅配便で、『淡路陵の門』の『鍵』である『お爺ちゃんの勾玉まがたま』を、バーチャんが送り付けて来た話をし始めた。


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