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門の守人  作者: 圭太朗
2021年5月4日(火)☀️/☀️
220/279

16-22 『門』を開く方法


勾玉まがたまを使って『門』を閉じるんですね!!」

「正解だぞ。二郎くん。ククク」

「よし、二郎君の正解を祝して乾杯だ!!」


 剛志さんがパチパチと音をたて始めたホットプレートのフタを開ける。

 目の前の餃子は、俺の正解を祝うように見事な焼け具合だ。


「さて、進一。ワシは『門』を閉じる話しを二郎君にしたぞ」

「じゃあ、僕が二郎くんに『門』を開く方法を話すよ」


 それから進一さんは、『門』を開く方法を語ってくれた。


■『門』を開く方法


 基本的に、『門』から出てきた者の『血筋』を受け継ぐものが術者となり、『鍵』に含まれた『魔素』を用いて『魔法』を使い、『門』を開くことが出来ると言う。


『血筋』

 『隠岐の島の門』であれば、市之助さんの血筋である吉江さん、保江さん、美江さん、進一さん、彼女(由美子)、そして恭平君。

 『淡路陵の門』であれば、バーチャん、一郎父さん、そして俺。

 『米軍の門』であれば、零士お爺ちゃん、礼子母さん、そして俺。


『鍵』

 『淡路陵の門』であれば翡翠の『勾玉』=お爺ちゃんの勾玉だ。

 『隠岐の島の門』には黒曜石で作られた『勾玉』があるという。

 『米軍の門』は不明。


『魔素』

 『門』を開く『魔法』には『鍵』に充填された『魔素』を使う。


『魔法』

 術者の強い願いにより実現する。

 術者には『魔力』が求められる。


「二郎くん、『血筋』『鍵』『魔素』『魔法』この4つが揃えば『門』を開く事が出来るんだよ」


 進一さんの説明に剛志さんも頷いている。


「じゃあ、剛志さんは『門』を開けないんですね?」

「いや、開ける。と言うか、一度、挑戦して開いたよ。黒曜石の勾玉=『鍵』と大量の『魔石』を使って市之助さんの助けを借りて『魔法』を発動させ、僅かだが『門』を開くことが出来た」


 剛志さんが、苦い思い出を語るように説明してくれる。

 話しづらいことなのだろうか?


「『門』を開けたなら⋯」

「僅かに開いたらしいんだが、俺は気を失って開いたのを見てないんだ」


「気を失った?剛志さん、もしかしてその時に⋯」

「ああ、『魔力切れ』を起こして死にかけたよ。目が覚めたら病院のベッドの上」


「危険です!どうして、『門』を開こうとしたんですか?」

「市之助さんに言われたんだ。『剛志君、吉江と一緒になるなら『門』を開いて当代を継いでみろ!』そんな感じだね」

「ククク」


「つ、剛志さん、それって市之助さんに試されたって事ですか?」

「吉江に惚れた弱みだよ。ハッハッハ」

「良い話だよ父さん。ククク」

 剛志さん、笑い事じゃないです。

 進一さんも笑っちゃダメです。


「二郎くん。挑戦してみるかい?」

「挑戦?」

 突然、進一さんに問われた。


「ああ、『隠岐の島の門』を開くのに挑戦して開いてみるかい?ククク」

「⋯」


「開くことが出来たら、僕の後を継いで当代だ。ククク」

「おお、良いな二郎君、挑戦してくれ!」

「待て待て、『魔力切れ』で殺す気ですか?冗談がきついですよ」


「さて、二郎くん。『門』の開き方はわかったね」

「ええ。先程の剛志さんの説明で、閉じ方もわかりました」


 そこまで自分で返事をして、俺は重要なことに気がついてしまった。


 お爺ちゃんが、零士お爺ちゃんが死んだのは、地震で開いた『淡路陵の門』を閉じようとしたからだ。


 どうして、零士お爺ちゃんが閉じようとしたんだ?

 バーチャんは、その時に何をしてたんだ。


 バーチャんなら、『淡路陵の門』から出てきたバーチャんなら、『血筋』も備えているから門を閉じれたのでは?

 どうして、バーチャんじゃなく、零士お爺ちゃんが勾玉を手にして亡くなっていたんだ?


 『門』を開くためには、『血筋』『鍵』『魔素』『魔法』の4つが必要だ。

 同じように、『門』を閉じるためには、『血筋』『鍵』『魔素』『魔法』の4つが必要なんだ。


 4つのどれかが欠けていたら、『魔力切れ』を起こして、一つ間違うと死ぬんじゃないのか?


「気がついたね、二郎くん」


 進一さんの声で、俺は自分を取り戻した。


「ええ、零士お爺ちゃんが亡くなったのは、『魔力切れ』だったんですね⋯」

「二郎君は桂子さんに聞くかい?」


 剛志さんの言葉に悩んでしまった。

 零士お爺ちゃんが亡くなった時に、『血筋』を持っているバーチャんは、何かの理由で『門』を閉じれなかったのかもしれない。


 『血筋』の無い零士お爺ちゃんが『門』を閉じるために『魔力切れ』で亡くなって、一番、悔やんでいるのはバーチャんじゃないのか?


 だとしたら、バーちゃんには聞けない。

 なぜ、零士お爺ちゃんが勾玉を持って、『門』を閉じようとしたかは聞けない。


「剛志さん⋯」

「何だい?」


「変な質問をしても良いですか?」

「ま、まあ、ワシで答えられるなら⋯」


「進一さんが不在の時に、『門』が開いたらどうします?」

「その質問か⋯ワシは閉じるよ」

「ククク」


「二郎くん、僕が聞いても良いかな?」

「何ですか?」


「桂子さんが不在の時に、『淡路陵の門』が開いたら、君は『門』を閉じるかい?」

「⋯」


 俺は、進一さんの問いに再び固まってしまった。


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