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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月20日(火)☁️/☀️
22/279

2-11 米軍の門


「お爺さんから教わったんじゃ。」

「まじ?」


「お爺さんは米軍の門で向こうの世界からアメリカに来たんじゃ。」

「米軍の門?アメリカに来た?」


 バーチャんは笑っていない。

 その笑っていない顔から本当のことを言ってるんだろうと思う。思いたい。


「ごめん。バーチャん。米軍の門って何?」

「アメリカの軍隊が持っとる門じゃ。」


 ダメダメ。

 『アメリカの軍隊』なんて話が出てきたら、もうバーチャんお得意のジョークにしか思えない。


「お爺さんもワシも魔王の国から来たんじゃ。お爺さんは米軍の門でアメリカに来て、ワシは淡路陵の門で日本に来たんじゃ。」

「…」


「アメリカに来たお爺さんは米軍の関係者に育てられ、そこで英語を学んだんじゃ。」

「…」


「Do you understand what I'm telling you?」

「え?は? はい。」


 再び突然の英語だった。

 やはりバーチャんは笑っていない。

 その笑っていない顔から、本当のことを言ってるんだろうと思い始めた。


「ごめん。バーチャん。突然の話しすぎて俺の思考が追い付いてないんだ。ちょっと時間が欲しいから、先に御飯食べちゃって、いい?」

「ああ、良かろう。食べ終わってから続きを話したる。」


 やはりバーチャんは笑っていない。

 その笑っていない顔から、俺はこの話をきちんと受けとめるべきだと思った。


 俺からバーチャんに『勾玉まがたま』の話を望んだのだ。

 バーチャんが本当のことを話しているなら、俺は受け止める必要がある。

 だが、なんとも信じられない話だ。

 けれども、バーチャんが俺に嘘の話をしても何のメリットも無い。

 だからバーチャんの話は本当なんだ。


 そうしたことまで考えながら晩御飯を食べ続けた。


 静かな晩御飯となってしまった。



 晩御飯を食べ終え、バーチャんが続きを話し始めようとした。

 もう少し頭の中を整理する時間が欲しい俺は、洗い物をしてからとバーチャんを制してしまった。

 ここまでのバーチャんの話を考えながらグリルを洗った。

 ゴシゴシとなぜか2回もグリルを洗ってしまった。


「何度も磨きよるのう。きれいになってよか。」


 そう言われるほど磨いてしまった。


「洗い物はこれで終いじゃ。続きは茶でも飲みながら話そう。」

「ごめんバーチャん。ちょっとスマホ見てくる。」


「じゃぁ、ワシは茶を入れとく。」


 俺は、お爺ちゃんが使っていた部屋でスマホを見てみた。

 着信は無かった。LINEが1件入っていた。


「電話して大丈夫ですか?」17:55


 彼女(秦由美子)からのLINEだ。

 30分ほど前だ。


「今は難しい。」18:30


 バーチャんの話の続きが気になり、素っ気ない返信だが勘弁して欲しい。

 返信を書きながら仏間に行くと、バーチャんがPadを操作しながらお茶を啜っていた。


 バーチャんの向かいに座ると、バーチャんはPadを机に置いて話し始めた。


「二郎は、どこまで理解できた?」

「順番に理解したいから、お爺ちゃんの話からお願いしていい?」


「じゃぁ、お爺さんがアメリカに来た話しからじゃな。」


 その時、机の上に置いた俺のスマホが震えた。


「ごめん。ちょっとだけ待って。」


 直ぐに彼女からのLINEだろうと思い、確認のためにバーチャんに待ってもらった。


「電話がOKならLINEください。」18:40


 彼女は残業中かもしれないと考えていると、バーチャんがこう言った。


「そのスマホで『トリニティ核実験』を調べてみい。」


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