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門の守人  作者: 圭太朗
2021年5月4日(火)☀️/☀️
217/279

16-19 天使


アマツカ=天使


「進一さん!あの人は、天使なんですね?」

「ピンポーン!おっと、焼けたかな?」


 ホットプレートからは、パチパチと餃子の焼ける音がする中、進一さんが正解を知らせる音を口にする。

 進一さんの言葉で、あのコスプレ集団の構成を理解することができた。


 神様    = サンダースさん

 女神様   = 若奥様

 天使    = メガネ執事さん=アマツカさん

 見習い女神 = メイドさん


 この4人で淡路島に来たんだと理解を深めた。

 餃子を食べながら、ビールで進一さんと乾杯をしつつ、他に神様に関わりそうな人は⋯


 そんなことに思いを巡らせていると、視線の端に恭平くんが見えた。

 いつものダッシュでダイニングテーブルに向かう恭平君を、彼女が追いかけている。


 神様がいて、天使がいて、恭平君がいて追いかける彼女がいて⋯

 目線を進一さんに戻せば、金髪イケメンが焼きたての餃子を熱そうに食べながら、ビールで流し込んでいる。

 何とも不思議な感じがする。


 おっと、恭平君が風呂から出てきたと言うことは、まもなく剛志さんも来そうだな。


「剛志さんが、そろそろ来そうですね」

「恭平が上がったから、じきに来るだろう。二郎くん、次を焼き始めよう」


 進一さんの意見に従い、ホットプレートの餃子を全て取り皿に入れ、改めて油を引き直して餃子を並べて水を入れ蓋をする。

 再度、指に『魔素』を纏わせホットプレートの小さな丸を触れば、するすると『魔素』が吸われて行く。

 蓋の蒸気穴から蒸気が出始めたので、指を離して『魔素』の注入を止める。


「二郎くんは物覚えが良いな。どうだい、『魔素』の感覚は掴めたかな?」


 進一さんの言葉から、今の俺と魔法円の相性が頭をよぎる。

 今朝までは、昨日までは、『魔素』なんて信じていなかったのに、今は易々と使いこなしている自分がいる。


〉二郎さん、まずは信じる事です


 天使アマツカさんは、俺に言ってくれた。

 俺は、神様や女神様、天使の存在を信じたのだろうか?

 自分の中の『魔素』の存在を信じたのだろうか?


 今は信じている自分を感じる。

 自分の指から出した『魔素』と、目の前で餃子を焼いているホットプレートは現実だ。


 進一さんは⋯


 ちょっと待て。


「ふと思ったんですが、魔法円で訓練する方法もありですか?」

「ククク。二郎くんは訓練以前に『魔石』に充填したじゃないか」


 やられた!

 そんな思いが心に沸いて来た時、剛志さんが声を掛けてきた。


「お待たせ。進一はビールか、二郎君は付き合うよな?」


 4合瓶とロックグラスを持った剛志さんが、湯上りの香りを纏いながらやってきた。


「父さん、今、二郎くんが焼いてくれてる」

「おお、懐かしいもんが出てるな。二郎君がやってるのか?」

「ええ⋯」

 剛志さん。さすが当代を目指した人です。

 市之助さんの残した『魔法円』のホットプレートに、俺が『魔素』を使って熱するのに動じないんですね。


「父さん、今日の二郎くんは大活躍だよ」

「賢次から聞いたよ。あれも出来たんだって?」


 剛志さんの声がかなり明るい。

 "あれも"って『勇者の魔石』ですか?

 それとも『Double魔石』ですか?


「そう言えば、アマツカさんも来たんだって?何か言ってたか?」

「二郎くんの様子見を兼ねて、二郎くんが最初に作った『勇者の魔石』を見に来たと言ってたよ」


 おいおい。

 剛志さんも進一さんも、天使アマツカさんと気さくに話す関係なのか?

 天使アマツカさんは"神様"の使いだろ?

 気さくに話す相手なのか?

 敬う相手じゃないのか?


「剛志さんも進一さんも、天使アマツカさんと親密な感じですね」

「⋯」

「ククク」

 剛志さんが止まり、進一さんが笑う。


「進一さん、さっきも話しましたが、天使アマツカさんは"神様"の使いですよね?」

「そうだよ。ククク」

「そうだな。"神様"の使いだな」


「気さくに話す相手ですか?」

「ハッハッハ」

「ククク。二郎くんは"天使"を信じるかい?」


「おいおい、進一。いきなりその質問か?」

「ククク。いや、天使アマツカさんも気にしてたから」

「し、進一さん。天使アマツカさんが俺の何を気にしてたんです?」

 思わず口調が『俺』になってしまった。


天使アマツカさんは、二郎くんが何を信じているかを気にしてたよ」

「自分がですか?」


「そうだよ。二郎くんが何を信じているかを気にしてたよ」

「⋯」

「⋯」


 剛志さんの沈黙は、俺の返事を待っているのだろう。


 俺は天使アマツカさんを信じている気がする。


〉二郎さん、まずは信じる事です


 天使アマツカさんに言われて、天使アマツカさんを信じた気がする。

 それを切っ掛けに『魔素』を認識できた気がする。


「ハッハッハ。進一、二郎君に"天使"の正しい認識を持たせるためにも、あの話をしたらどうだ?」


 急に剛志さんが笑い出した。

 剛志さんの笑いに進一さんが応える。


「そうだね。天使アマツカさんも少し気にしてたから」

「な、何の話ですか?」


「二郎くん、天使って何だと思う?」

「進一さん、ちょっと待ってください」

「二郎君、どうした?」


 急に剛志さんと進一さんから、『天使』に関わる話をふられた。


 何だ?二人は何が言いたいんだ?


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