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門の守人  作者: 圭太朗
2021年5月4日(火)☀️/☀️
214/279

16-16 Double魔石


「二郎くん。この『Double魔石』については、風呂にでも入って話さないか?」


 進一さんから入浴の誘いを受けた。

 俺は"全てが光輝く『魔石』"と呼んでいたが、別の呼称、『Double魔石』が既にあるようだ。


 『Double魔石』と名が着く程だ。

 きっと、過去に市之助さんも進一さんも作ったことがあるのだろう。

 その話を聞けるのだ、二つ返事で入浴の誘いを受け入れた。


 進一さんと共に玄関から屋内に入り、リビングエリアに向かう。


 リビングソファーでは、USJのお土産の段ボールが開けられ、皆が集まっていた。


 京子さんは"組分け帽子"を被り、如何にも魔法使いな感じだ。

 金髪の恭平君が"魔法学校の生徒"になっていて、実にかわいらしい。

 そして里依紗さんも恭平君とお揃いな格好で俺に声を掛けてきた。


「二郎さん。お土産をありがとうございます」

 里依紗さん。

 あなたも"魔法学校"に入学ですか?


「これ、なかなか、可愛いわね。二郎さんありがとうね」

 吉江さん。

 右腕の白いものは⋯フクロウですか?!


「由美子のチョイスは確実ですから(笑 ハハハ」

 俺は二人に乾いた笑いを返す。


「里依紗に由美子、二郎くんと風呂に入ってるから、沸いてるんだよね?」

「兄さん。バッチリです✌️」

 進一さんの投げ掛けに、彼女が答える。


「じゃあ、行ってくる。恭平、二郎お兄さんと由美子お姉さんに、きちんとお礼を言うんだよ」

「おにいちゃん おねえちゃん ありがとうございます✌️」

「「はい。良くできました✌️」」


 思わず俺も彼女も恭平君の✌️に答える。



 進一さんと共に風呂に入る。

 体を洗い、進一さんと広い湯船に浸かる。


「ふう~。それにしても二郎くんは、面白いものを作ったね」

「あの『魔石』の事ですか?あれは自分だけの成果じゃないです。進一さんの教え、由美子のサポート、これらがなければ挑めませんでした」


 進一さんの投げ掛けに、俺は半歩引いて答える。

 "面白いもの"と進一さんに称えられると、少し自慢したい気分になるが、今は大人しく『Double魔石』に関わる話を進一さんに喋らせたい。


「あの魔石は、それほど面白いのですか?」

「ククク。やはり二郎くんは知らないよね?」


「ええ、まっったく知りません」

「あれはね、僕では出来なかったんだ」


「えっ?進一さんでは出来なかった?!」

「ああ、僕としてはちょっと悔しいな(笑」


「そ、そうなんですか⋯」


 やはり進一さんも挑んでいたんだ。


「市之助さんの記録に出てきて、僕も挑んだけど、一撃で魔力切れしそうになったんだ。懐かしいなあ。ククク」

「あれはですね、最初に⋯」


「待って二郎くん」


 俺が『Double魔石』を作ってしまった時の状況を口にしようとしたら、進一さんに制された。


「いきなり説明されたら試したくなる。暫く貸してくれるんだろ?」

「おっと、そうですね。好きなだけ正徳さんと一緒に調べてください(笑」


 俺は進一さんに説明したかったのか?

 少し自慢気だっただろうか?

 それともこうした『魔石』の扱いについては、話さないのが習わしなのだろうか?


「進一さん、やっぱり『魔石』とか『魔素』については互いに話さないのが、その⋯当たり前なんですか?」

「ククク。弟子入りしたとかなら話すらしい。それに『継ぐ』際には先代と会話するらしいよ」


 何となくだが理解できる話だ。

 弟子入りして修行する際には、そうした会話もするのを理解できる気がする。


「あれ?じゃあバーチャんに弟子入りした進一さんは、バーチャんからそんな話を聞いたんですか?」

「ククク。桂子さんが『魔石』と『魔素』の話をすると思うかい?」


「いや、絶対にしないでしょうね(笑」


 進一さんの言葉は、妙に説得力があり納得できる。


「僕の場合は、市之助さんが『魔術師』だったろ。おかげで市之助さんの記録には、そうした話が多いんだよ」

「なるほど。理解できます」


「市之助さんは、『門』を通じてこの世界に来てから、色々と『魔法』を試したらしいんだ」

「なんか、市之助さんの苦労を感じる話ですね」


「苦労か⋯魔法が使える世界から、魔法の無い世界に来たら戸惑うだろうね」

「ん?待ってください⋯」


「二郎くん。どうしたんだい?」

「いや、何か⋯んん?何だろう少しわかってきた気がして⋯」


「何がわかったんだい?」

「その⋯神様が『門』を作った意図が⋯」


 なんか、もう少しでわかりそうな気がする。

 神様=サンダースさんが『門』を作った意図が見えてきた気がする。


「バーチャんが言ってたんです。

 "『門』を何だと思うとる。"

 "ワシがいた世界に繋がるのが門じゃ。"

 "それを作ったのがケンタじゃ。"

 "神様が門を作ったんだ。"

 そんなふうに言ってたんです」

「⋯」


「それで考えてたんです。"なぜ神様が『門』を作ったか?"を考えていたんです」

「ククク。二郎くんは、随分と哲学的な考えをするんだね?」


 哲学的?

 進一さんは、何を言いたいんだろう?


 その時、脱衣所から恭平君と剛志さんの声が聞こえた。


「進一、二郎君。恭平と一緒に入るぞ~」


 剛志さんの声と同時に、恭平君と剛志さんが風呂場に入ってきた。


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