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門の守人  作者: 圭太朗
2021年5月4日(火)☀️/☀️
201/279

16-3 サポート


 俺の我儘わがままが受け入れられ、市之助さんの墓参りを済ませた。

 市之助さんの墓前で、市之助さんが残してくれた記録=日記を読むことに許しを願った。


 その墓参りの帰り道は、スーパーでの買い物を済ませての帰宅となった。

 買い物の途中で、京子さんと吉江さんが淡路島を訪問した際の話となった。


 はるばる淡路島を訪問した秦家の方々、そんな方々へのバーチャんの歓待は、相も変わらぬ食事(朝食と昼食)だったと言う。

 バーチャんらしいとは思ったが、どこか気恥ずかしい気分だ。


 そんな話の続きをしながら、秦家の高級住宅に戻り、お昼御飯を皆で食べることになった。


「と、言う訳でお茶漬けです(笑」


 吉江さん。どんな『訳』かはわかりませんが…何かスンマセン。


 ダイニングテーブルで、秦家の方々とお茶漬けで昼食を済ませる。


「ママ ぼく おちゃずけ すき~(✌️」

 恭平君。食事中に✌️はお行儀悪いぞ。


「もしかして、桂子さんの昼食を模したんですか?」

 里依紗さん。あなたも知ってるんですか?


(ただいま~)


 玄関からの声は進一さんのようだ。


「パパ~ おかえり~(✌️」

「進一、おかえりなさい」

「進一、お疲れ様です」

「お兄ちゃんお疲れ様です」

「スンマセン。先にいただいてます」

「進一さん、お仕事、お疲れ様です。直ぐに準備しますね」


「…」


 お茶漬けを食べている皆を見て、進一さんの動きが止まっている。

 そんな進一さんに、里依紗さんが問いかける。


「進一さん、懐かしいお昼御飯でしょ?」

「…」


「も、もしかして里依紗さんも淡路島の経験者ですか?」

「フフフ」


 俺の質問に、里依紗さんは微笑むだけだった。



「ちょっと二郎くんに相談があるんだ。食事を済ませるから、二郎くんは悪いけどPadを持ってきてくれるかな?」

「わかりました。持ってきます」


 お茶漬けを食べながら進一さんに問い掛けられた。

 俺は快諾して、寝泊まりしている部屋にPadを取りに行く。


 寝泊まりしている部屋で充電中のPadを手にして、昨日と同様に、階下に降りる階段の前で深呼吸する。


 Padを持ってくることを、進一さんは俺に願った。

 きっと、進一さんの話は『門』に関わる事なのだろう。

 どんな話が来ても、驚かず悩まず、冷静に話を聞こう。

 そう決心して階下に降りる。


 階下でリビングのソファーを見れば、女性陣と恭平君がテレビドラマな人になっていた。

 あのテレビドラマは、俺が寝坊した朝に放送していた再放送だと思うが…


 ダイニングテーブルに向かうと、食事を済ませた進一さんが、新型のPadを操作していた。


「進一さん。持ってきました」

「二郎くん、すまないね。正徳さんが『勇者の魔石』を調べているんだが、思うような結果が出ないらしい」

 進一さん、いきなりその話から始めるんですか?


「二郎くん。すまないが、もう一度やってみてくれないか?」

「な、何をやるんですか?」


「『魔石』に『魔素』を『充填』して欲しい」


 俺は進一さんの言葉に、一瞬、思考が停止した。

 じわじわと、昨日の『魔力切れ』を起こしたときの疲労感が甦ってくる。


「『魔力切れ』が怖いよな?サポートをつけよう」


 そう言って、進一さんは立ち上がり、リビングエリアの彼女に声をかける。

 テレビドラマな人々の反応は無いと思ったが、丁度、テレビドラマが終わったらしい。

 進一さんと彼女が何やら話をした後に、二人でダイニングテーブルにやって来た。


「二郎くん、由美子がサポートに着く。それでお願いできないか?」

「センパイ。出来ますか?」

「…進一さん。すいませんが、もう一度最初からお願いします」


 彼女が来てくれたことで、俺は再始動できた。


「そうだね説明が必要だね。正徳さんが『勇者の魔石』を調べているが、比較計測が必要らしいんだ」

「比較計測?」


「昨日、二郎くんが作った『勇者の魔石』は、僕が作った『エルフの魔石』が元になっている」

「ええ、元々は進一さんが持っていた『魔石』ですよね」


「そう、僕の『魔素』に、二郎くんの『魔素』が上書きされてる感じなんだろう」

「進一さんのと、自分のが混ざってる感じですか?」


「正徳さんは、そこを気にしているんだ。そこで、純粋に二郎くんの『魔素』を『魔石』に『充填』したのと比較したいそうだ」

「それって、自分に出来るんでしょうか?」


「ククク。自信が無いかい?」

「ええ、昨日のもどうやってやったか覚えてなくて…」


「僕は二郎くんなら出来ると思ってるよ。頼めないかな?」

「努力はしますが…」

「センパイ。頑張りましょう(グッ」

 由美子さん、ヤル気満々ですね。


「『魔力切れ』を起こさないように、由美子がサポートに着く。出来上がった魔石の所有権は二郎くんだ。なんとかお願いできないか?」

「由美子、その、進一さんの言うサポートは経験あるの?」

「はい。大学に行くまでは私の役目でした」


「二郎くんは、昨日、里依紗がやったのを見てるよね」


 進一さんが、彼女をサポートに着けると言い出してきた。


 なるほど。

 昨日のBBQの片付けで、進一さんと里依紗さんがコンビを組んで、何らかの魔法で炭の火を消した話だろうと察した。

 そこまで話を聞いて、俺は彼女をサポートに付けた、『魔石』への『魔素』の『充填』に強い興味を持った。


〉由美子さんなら二郎さんと一緒に出来る筈だから


 里依紗さんは俺にそう言った。

 今の俺で出来るだろうか?

 自信はないがやってみたい。


 俺は決心した。


「由美子、一緒にやろう」

「はい♥️」


 俺の決心に、彼女は明るく返事をしてくれた。♥️付で。


「よし。二郎くん、ありがとう。由美子、ペンダントは持ってきてる?」

「ええ、充填してもらおうと思って持ってきてます。今、持ってきます」

 進一さんの投げ掛けに、彼女は嬉しそうに席を離れた。


「二郎くんは、Padでこの日付の市之助さんの記録を読んでくれ」

 そう言った進一さんは、新型のPadを俺に見せると席を立ち、リビングエリアの吉江さんや京子さん、里依紗さんに声をかけている。


 俺は進一さんに教えられた、市之助さんの記録=日記を開いて読み始めた。



 黒い石を門に通すと魔石になる。

 荒々しい黒い魔石だ。

 黒い魔石を自分の魔力で包むと静かになった。


 ここまで読んで止まった。


 『魔力』って…な・ん・で・す・か?


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