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門の守人  作者: 圭太朗
2021年5月1日(土)☂️/☁️
149/279

13-3 生返事


 小野山コンシェルジュは、お土産のカタログと注文用紙を持参していた。

 部屋の外、廊下での立ち話よりはと考えて部屋の中に入ってもらった。

 結果、彼女がリビングエリアのソファーで小野山コンシェルジュから説明を受けることになった。


 バチ当たりな俺は、することもなくなったのでリビングエリアのデスクでノートパソコンを取り出す。


 その時に、急に彼女から声をかけられた。


「センパイ。お婆ちゃんへんのお土産どうします?」

「う~ん。どんなのがあるの?秦さんから見て、バーチャんに合いそうなのってあるかな?」


 ホテルのWi-Fiへの接続を試みたが、案の定というか当然のようにパスワードを求められる。


「う~ん。これかなぁ~」

「じゃぁ~ それでぇ~」

 彼女の問いかけに、全面的に任せる返事をする。


 部屋の機器を説明する冊子にパスワードが書かれていた筈だと、冊子を開きパスワードを入力すると無事に接続できた。


「センパイ。注文しましたよ。」

「では、最後の分は昨日と同じ宛先ですね。」

 小野山コンシェルジュが宛先を確認している。

 秦さんの分と、バーチャんの分は別の宛先になるよね。


 続けて社内ネットにログインして、社内メールを確認すると2通の未読メールが来ていた。


「そうだ、小野山コンシェルジュ。明日ですけど、13:30に伊丹空港出発の隠岐の島行きに乗りたいんです。」

「では、空港行きのリムジンバスを調べておきます。」

 そう言って、小野山コンシェルジュが席を立った。


「お邪魔になってしまい、すいませんでした。」

 小野山コンシェルジュ。

 俺に向けた、その笑みの説明をしてください。


「センパイ。お土産は終わりましたよ。お風呂に行きませんか?」

「ありがとうね。ちょっとメールを見させて。」


 デスクチェアに座る俺の背後から、彼女の腕が絡んできた。


「センパぁ~い。」

「…な、何かな?」

 秦さん。雰囲気が怪しいです。


「センパイ。生返事なまへんじしたでしょ~」

 秦さん。その腕の絡め方は危険です。


 未読メールは2通あった。

 1通は課長の代返で彼女が発信したものへの、追加質問だった。


「秦さん。メールが来てるよ。」

「センパイ…」

 秦さん。絡めた腕が首に纏わりついて、更に怪しい感じです。


「今度生返事したら許しませんよ。」

「ご、ごめんなさい。」

 秦さん。お願いだからヘッドロックは勘弁してください。


 もう1通の未読メールは、部長からのアスカラ・セグレ社への訪問を労う(ねぎらう)メールだった。



 昨日同様にSPAを楽しんだ。

 サウナと湯船の往復を2セット。

 湯上りビールを欲しがる体に仕上がった。


 少しクールダウンして、約束の時間にSPA施設のエントランスに行く。

 彼女の姿が見当たらないので、しばし待つことにした。


 そう言えば、明日の飛行機が伊丹空港発だと彼女が言っていた。

 着替えと一緒に持ってきたスマホを取り出して、隠岐の島行きの便を確認してみると13:30出発の直行便が確認できた。

 これだなと当たりをつけて、このホテルから伊丹空港までの所要時間と交通機関を確認する。


 小野山コンシェルジュが言っていた通りに、リムジンバスが出ている。


 ここで少し考える。


 大阪へ来る際に、交通渋滞で鉄道に切り替えた。

 大阪の市街から、伊丹空港への交通事情がわからない。

 伊丹空港へのリムジンバスが渋滞に捕まりやすいなら、鉄道などの遅延が出にくい交通機関も考えておく必要があるな。


「センパイ!」

「おお、秦さんか。ビックリした。」

 SPA施設から出てきた彼女に、急に声をかけられた。


「SPAの前でスマホを触ってると…」

「スマホを触ってると?」


「盗撮犯に見えます(謎」



 昨夜と同じビュッフェスタイルの席へとやって来た。

 受付で部屋番号と名前を告げると、スイートルーム利用者専用席へと案内された。

 席に着くと、直ぐに女性の給仕係さんが飲み物の注文を取りに来る。

 昨夜もお世話になった給仕係さんだ。


「秦さん。今日は何から…」

「ビールを中ジョッキで2つお願いします。」

 はいはい。ビールが飲みたかったのね。


「「お疲れぇ~」」


 ビールに添えられて出てきた枝豆をつまみながら、明日の飛行機を彼女に聞いてみる。


「秦さん。明日の飛行機って伊丹空港から?」

「そうです。13:30の直行便です。」


「じゃあリムジンバスで伊丹空港行き?」


 そこまで話したときに、小野山コンシェルジュが席にやって来た。


「門守様、秦様。伊丹空港へはリムジンバスが便利ですよ。」

「そうなんですか…GWの渋滞とかで遅れたりしませんか?」

 俺は大阪に来た際の渋滞を思い出しながら問いかける。


「皆様、心配されますが、ひどい遅れは聞きません。電車も可能ですが乗り換えが意外と不便です。」

「なら、大丈夫かな?」


「念のために予定を作ってきました。」

 そういって、小野山コンシェルジュは印刷された紙を見せてきた。


10:30 チェックアウト

11:00 ホテル発

 ↓タクシー移動

11:20 USJバス停3番乗り場

 ↓リムジンバス伊丹空港線

12:00 大阪(伊丹)空港

 登場手続き

13:30 隠岐の島行き


 なるほど。

 これならリムジンバスが渋滞に捕まっても、1時間程度は余裕がありそうだ。


「秦さん。どうかな?これなら大丈夫だと思うんだけど。」

「私もこれなら大丈夫だと思います。」

 彼女が同意してくれた。

 それでも小野山コンシェルジュの説明が続く。


「リムジンバスですが予約が出来ません。満席の場合にはタクシー移動がお勧めです。」

「ありがとうございます。」

「お手数をお掛けしました。」

 俺と彼女の言葉で、小野山コンシェルジュは去っていった。


 これで明日の予定も決まった。

 後は食事を楽しんで、明日に備えて寝るだけだ。


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