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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月30日(金)☁️/☂️
142/279

12-16 5つの質問


「さて、これで俺の使命は果たせた。二人の使命は果たせたかな?」

「私は十分です。センパイはどうですか?」

「そうだね、今回のアスカラ・セグレ社訪問の使命は果たせたと思う。けど……」


「「けど?」」


「門守君、何か気になるのかな?」

「センパイ、まだ続けるんですか?」

「実は疑問が5つ湧いてしまったんだ…」


「せ、センパイ、5つもですか?」

「門守君、俺は良いけど秦さんは解放しないか?」


「そうですね。佐々木さんは、この後は予定がありますか?」

「おいおい。それは僕と君の二人で残業する提案か?門守君は僕の主義を忘れたのかい?非効率な残業はやめようよ。」

「センパイ、今でなきゃダメですか?」


 俺は思案した。俺の5つの疑問は、


1.Saikasは複数あるのか?

 佐々木さん(元課長)は言った。

〉門守君の実家と秦さんの実家のSaikasに登録されてる日記は読んでるから

 これにエリック・セグレさんが『米軍の門』の日記を加えれば、俺の知っている門の全ての日記が揃う。

 『淡路陵の門』『隠岐の島の門』『米軍の門』と3つのSaikas存在が考えられる。


2.なぜ佐々木さんは複数のSaikasの日記を読めるのか?

 俺は『淡路陵の門』に関わったことから、『国の人』な眼鏡からユーザーIDとパスワードを受け取ってSaikasを使えるようになった。

 佐々木さん(元課長)は眼鏡と同じ様にユーザーIDとパスワードを貰って見ているのか?

 しかも各門のSaikasのユーザーIDとパスワードを持っているのか?


3.アスカラ・セグレ社は門を持っているか?

 エリックさんとマリコさんは魔石を欲しがった。

 俺が日記から学習した限りは、『米軍の門』では実験において『魔石』の製造に成功している。


〉魔石は成分分析を行い、同成分の材料で『米軍の門』を使って製造を試み成功している。


 アスカラ・セグレ社はアメリカ本土にある『米軍の門』とは別に、独自に門を持っているのではないか?

 その独自に持っている門を開くために、魔石が欲しいのでは?


4.魔石は何に使うのか?

 独自に持っている門を開くためでなければ、なぜ魔石を欲しがるのか?

 魔石は門を開く以外に用途があるのか?


5.眼鏡は何者か?

 Saikasと日記の組み合わせは眼鏡の発案だ。

 佐々木さん(元課長)は彼女を同行したお客様提案で、眼鏡と会っている。

 つまりは、この時点では『Saikas』という仕組みは佐々木さん(元課長)の手にあり、『日記』は眼鏡の手にあった。


〉門に関わる日記と最初に接触した

〉あの時は秦さんに悪いことをした


 けれども後に眼鏡は佐々木さん(元課長)に、彼女の同行を拒否する旨を伝え佐々木さん(元課長)もそれに従っている。

 この事からすると、眼鏡の素性が判然としない。

 眼鏡は彼女が『隠岐の島の門』に関係のある人物だと知っているのだ。

 それなのにSaikasと日記の組み合わせに、彼女が関わらぬよう遠ざけている。

 眼鏡が佐々木さん(元課長)にSaikasを使用するためのユーザーIDとパスワードを渡しているとしたら、眼鏡の素性と言うか立ち位置が判然としない。


6.眼鏡と佐々木さん(元課長)の関係は?

 佐々木さん(元課長)と眼鏡は面識がある。

 Saikasと日記の組み合わせを実現した当人同士だ。

 そして眼鏡は佐々木さん(元課長)に、『淡路陵の門』『隠岐の島の門』『米軍の門』これらの日記が読めるようにユーザーIDとパスワードを渡している可能性がある。

 だとしたら、佐々木さん(元課長)と眼鏡の二人は、今はどんな関係なんだ?


 ここまで考えてやめた。

 5つと口にしたが6つも出てきた。

 既に自分が想定や連想のスパイラルに入っているのを認識した。


「いや、今日は終わりにしましょう。」

「ヤッター!センパイ、宿にGOです!」


「終わりにするけど、佐々木さんの連絡先を教えてください。」

「いいよ。まずは二人の荷物だな。」



 佐々木さん(元課長)に連れられ、小会議室に行くと警備員の仁王立ちは続いていた。

 佐々木さん(元課長)が警備員と会話して開けてもらう。

 俺と彼女が小会議室に入り荷物周辺を確認すると、スマホの録音は続いていた。

 録音は後でノートパソコンに転送してから聞いてみよう。


 無事に荷物を取り戻し、無人受付のエントランスまで佐々木さん(元課長)の付き添いで戻った。

 ここなら大丈夫だと言われ、佐々木さん(元課長)と連絡先を交わした。


「連絡して良いのは平日の09:15~17:15だけ、土日などの休日はNG。秦さんに教えても良いから。」

「わかりました。」


「そうだ、今日は大阪に泊まるのかい?」

「はい、今日は大阪で泊まって、明日はUSJで、明後日は隠岐の島です。」

 秦さん。楽しそうですね。


「宿が取れてるんだ。何処だい?迷いそうなら送るよ。」

「センパイ、何処ですか?」


 二人に言われて俺はウエストポーチから、眼鏡に渡されたメモを取り出した。


〉InterContinental Hotel Osaka 06-xxxx-xxxx

〉Conrad Osaka 06-xxxx-xxxx

〉INTERGATE UMEDA 06-xxxx-xxxx

〉LIBER HOTEL at USJ 06-xxxx-xxxx


「何で、こんなに書いてあるんだ?」

 サッ。俺の取り出したメモを彼女が取り上げる。


 彼女はメモに目を通して、俺に目配せしてから佐々木さん(元課長)に質問した。


「課長これって、何処かわかります?」

「どれどれ。」

 佐々木さん(元課長)は、彼女が見せたメモを見て考え込んだ。


「秦さんと門守君。どれに泊まるの?」


 この時、俺は佐々木さん(元課長)と眼鏡の関係を探る意味を込めて聞いてみた。


「これって知人に予約してもらったんです。」

「このGWに予約が取れるなんて凄い人だね。」


「佐々木さん(元課長)も知ってる人ですよ。」

「……」

「課長、『眼鏡メガネ』さんです。知ってますよね?」

 秦さん。ナイスアシスト!


「ふ~ん。やっぱり君らは面識があるんだ。」

「佐々木さんも面識ありますよね?」

 さあ、佐々木さん(元課長)どうする。


「彼ならこれだけの予約も取れるな。」

「やっぱり課長は面識があるんですね。」

 さあ、彼女も聞いてるんだ答えろ佐々木さん(元課長)。


「秦さん。俺は残業はしないよ。けれども、君らの為にホテルの場所は教えよう。これは元部下へのお礼だな(笑」


「「はぁ~」」

 思わず彼女と共に溜め息をついてしまった。


「さて、どれが知りたい?まさか全部じゃないよな?」


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