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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月30日(金)☁️/☂️
140/279

12-14 ハーフエルフ


 佐々木さん(元課長)が、俺達の荷物の件でマリコさんを追いかけ戻ってくるまでの間、彼女と二人での会話が続く。


「これで、アスカラ・セグレ社訪問は達成ですよね?」

「いや、マリコさんが佐々木さんに伝えてた自社製…Saikasと魔石の件が残ってるな。」


「Saikasの件は、部長が削除した理由がわかる話ですよね?」

「うん。そうだね。削除した理由がわかるって部長が言ってたね。」


「もう一つの魔石って光る石のことですか?」

「秦さん魔石を知ってるの?」


「小さい時に祖父に見せてもらいました。祖父が念じると石が綺麗に光るんです。」


 驚いた。彼女は『米軍の門』を開けるのに使う魔石の実物を、幼少期に見ているのだ。


「その魔石って、隠岐の島の実家に今もあるの?」

「あるんじゃないかな?」

 見てみたい。明後日、彼女の実家に行ったら見せてもらえるかな?


 そうだ、今は彼女と二人だ。

 バーチャんの言ってた『エルフの娘』と、マリコさんが言ってた『エルフ』の話を聞いておこう。


「秦さんって、エルフなの?」

「う~ん。祖父はハーフエルフでしたから私は…」

 ハーフエルフ?何ですかそれ?


 その時、佐々木さん(元課長)が戻ってきた。


「マリコさん謝ってたよ。荷物は警備員が継続して見てるから安心して。」

「お手数をおかけします。」

「ありがとうございます。」


「さっき、エルフとか聞こえたけど?」

「ああ、それですね。私の祖父がハーフエルフってセンパイと話してたんです。」

 秦さん、佐々木さん(元課長)に話して良いの?


「ああ、秦さんの祖父って言うと…」

「市之助です。」


「そうそう、市之助さん。隠岐の島の門から出てきたハーフエルフだよね?」

「やっぱり、課長は知ってるんですね。」

 ちょっと待て。俺より詳しくないか?

 それと秦さんのお祖父さんはハーフエルフで、門から出てきたの?


「さっきも言ったけど、門守君の実家と秦さんの実家のSaikasに登録されてる日記は読んでるからね。」

「佐々木さん、それなら俺の両親の話しも…」


「お母さんが勇者の娘だろ?それにさっきも言ったけど桂子さんはドワーフのクォーターだろ?」

「ぇえ、そうですけど…」

「センパイ、もしかしてお婆ちゃんも門から出てきたんですか?!」

 秦さん、微妙なところに食いつくね。


「うん…まぁ、そうだけど…」

「門守君の所は、祖父母も両親も門から出てきたんだよ。」

 待って、佐々木さん(元課長)。

 そこまで喋ると個人情報ダダ漏れです。


「センパイ、随分とファンタジーな一家なんですねぇ~」


 秦さん。どうしてニヤニヤするの?



「さて、どうする?僕としては2つ話が残ってるんだが?」


 そうだった、佐々木さん(元課長)は、残り2つの話をする使命がある。


「さっきマリコさんが言ってたSaikasの件と魔石の件ですよね?」

「そう、どっちから話す?」

「課長、簡単な順でお願いします。」

 秦さん。その提案に俺も同意です。


「じゃあ、魔石からだな。君達は魔石を持ってるかい?」

「俺は持ってないです。」

「私もです。けど、明後日、センパイと実家に行くので聞いてみますか?」


「ごめん。ちょっと確認したいけど、君ら二人は結婚間近なの?」

「「……」」

 佐々木さん(元課長)、急に何を言い出すんですか!


「課長。やっぱり、新婚に見えます?」

 秦さん、とっさに腕に絡まないで。


「秦さんが門守君の祖母、桂子さんに会ってるんだろ?それに、明後日には秦さんの実家に一緒に行くんだろ?」

「佐々木さん。ちょっと待ってください。秦さんも腕を放して。お願いだから。」

「ぶー」

 秦さん。アヒル口でブーたれない。


「佐々木さん、魔石の件はこれで回答になります?」

「うん。まあ最初から無いと思ってたから。明後日のご両親の挨拶で聞けるなら聞いといて。」


 佐々木さん(元課長)。

 ニヤニヤ顔で怖いことを言わないでください。

 彼女の実家に行くのは違う理由です。

 誤解しないでください。


「後は、Saikasの件だね。この話しは長くなるよ、場所を変えるかい?」

「課長、今日は誰もこのフロアにはいないんですよね?」


「ああ、マリコさんが人払いしてるから大丈夫だよ。」

「それなら、ここでお茶を飲みながらでお願いします。」


「ハハハ。秦さんらしいな(笑」

「それと、トイレに行きたいんですけど…」


「場所はわかるかな?門守君は?」

「えぇ、さっき見かけたんで大体は…」

「佐々木さん、俺も一緒に行きます。」


「じゃぁ。戻ってきたら話そう。」


 佐々木さん(元課長)の言葉と共に、俺と彼女は二人でトイレへと向かった。


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