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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月27日(火)☀️/☁️
103/279

9-10 旅程確認


「二郎。この餃子は旨いぞ。遠慮せんと食べんか。」

 バーチャん。俺が選んで俺が焼いた餃子です。


 バーチャんにすすめられ俺も食べる。懐かしい味だ。大学時代にはずいぶんとお世話になった味だ。


 バーチャんは餃子を食べては、ジョッキのハイボールをグビリ。


「かぁ~。旨い。やっぱりこの酒と餃子の組み合わせは最高じゃ。」

「ビールと餃子も美味しいよね。」


「ワシはビールは風呂の後が好きじゃ。飯時に飲むビールも旨いが、すぐに腹が膨れるんじゃ。」

「バーチャんは一人の時に飲まないの?」


「お爺さんの言いつけなんじゃ。一人の時は何かあったら嫌だから飲まないでと頼まれてなぁ~。」

 お爺ちゃん。バーチャんの飲み過ぎが心配だったんだね。


「二郎が居る間は、毎日飲めるぞ。」

 毎日は飲み過ぎだと思う。


「そう言えば、あの娘はいつ来るんじゃ?」

「まだ詳しくは決めてない。決まったら知らせるよ。」


「楽しみじゃのう。ホレっ空じゃ。」

「バーチャん。『飲むな』とは言わない。けれども昨日のように寝たら終わりだからね。」


「わかった。今日は寝ないで飲むぞ。」

「餃子はまだ食べる?食べるなら焼くよ。」


「おお!焼いてくれ。今夜は飲んで食べるぞ!」


ーーと、言っていた時期もありました。



 昨夜同様に、ほろ酔い気分で晩御飯の洗い物を済ませた。

 結果的に海老餃子は1袋分焼いた。

 おかげさまでお腹一杯だ。


 昨夜同様に、バーチャんはハイボールを持ったままでくつろいでいる。

 いや、正確には座卓が枕になっている。

 一応、昨夜同様に声をかけてみる。


「バーチャん。大丈夫?」

「大丈夫じゃ。9時からドラマじゃ。」


 そう言ってジョッキを握ったままで、バーチャんは再び座卓を枕に寝始めてしまった。


 なんか既視感があるなぁ~。


 そう思いながら、Padで「アルバイン」「ジョージ」「キャロライン」「エリック」と順次検索してみる。


 「アルバイン」と「ジョージ」。

 この二人は『米軍の門』での実験の責任者だけあって、大量に検索結果が出てくる。

 「キャロライン」と「エリック」は、検索結果としての出現回数は少ない。

 バーチャんに教えて貰った際の日記で見かける程度で、年齢が知れるぐらいだ。

 これ以上検索を続けても、たいした情報は得られないと判断してPadを操作するのはやめることにした。


 そのまま日記での学習をしようかと思ったが、昨夜同様に酔った状態では日記からの学習も進まない。

 そう言えば昨日の夜は、こうした時間に彼女とLINEをしていたらバーチャんが起きたんだよな。


 そうだ、30日に大阪へ行く旅程を確認しておこう。

 スマホでアスカラ・セグレ社の大阪本社の住所を調べ、JR大阪駅が最寄りと判断した。

 続けて「淡路陵から大阪駅」で検索し、到着時刻を訪問時間である15:30の30分前で交通機関を調べる。


御陵前 11:58

福良

三宮

大阪駅 14:43


 この旅程かな?

 訪問時刻には40分以上早い。

 試しに到着時刻を15:30で確認してみたが同じ旅程が出てきたので、これが遅刻にならない旅程だと確認した。


 訪問時刻が15:30だから、当日に大阪から戻れるかもしれない。

 「エリック」さんと『米軍の門』や零士お爺ちゃん、礼子母さんの話しにならなければ遅くはならないだろう。

 「淡路陵から大阪駅」の最終を検索してみる。


大阪駅 18:45

明石

舞子

洲本

御陵前 21:01


 これが最終か。

 大阪で18:00を過ぎたら泊まりだな。

 アスカラ・セグレ社への訪問が15:30だから、多分、大丈夫だろう。


 それとも大阪で少し遊ぶか?

 今回は出張扱いだから泊まっても会社持ちだ。

 パワハラ課長が来てから夜遊びなんて皆無な日々が続いてたし、少しなら良いか?良いよな?良いとしよう。

 じゃあ一泊予定で準備して行こう。


 あれ?

 ちょっと待て。

 何か大事なことを忘れてないか?


「しまった!スーツが無い!」


 思わず声に出てしまった。

 どうする。どうする?どうする!


 明日、東京に取りに帰るか?


「二郎。時間か?」

「バーチャん。スーツが無いんだ。靴もネクタイも。」


 スーツが無ければ靴も無い。

 ワイシャツもネクタイも無い。

 ビジネスマンとしての戦闘服が手元に無い。


「お爺さんの礼服ならあるぞ。」

「いや、礼服はちょっと…」


 ちゃっちゃかちゃかちゃか

 ちゃんちゃんちゃーん


 急にバーチャんのPadから音楽が流れた。


「二郎。見たいテレビがあるんじゃ。」

「う、うん。俺も少し考える。風呂に入るね。」


 バーチャんは何も答えない。

 既にバーチャんは、テレビの人になっていた。


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