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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月27日(火)☀️/☁️
101/279

9-8 業務スーパー


 セグレ家についてのレクチャーついでに、淡路陵の門と勾玉の関係も聞いてみた。


「バーチャん。もう一つ教えて欲しい。」

「なんじゃ。」


「俺が日記を見た限り、淡路陵の門を自分で開いた人はいないよね。俺の見落としならそう指摘して欲しい。」

「一郎じゃ。」


 えっ!一郎父さんが開けたの?


「ごめん。それって日記に書いてあるの?」

「二郎。突然、一郎父さんが淡路陵の門から出てきたのは知っとるな。」


「知ってる。淡路陵の門が地震とかで開いていないのに、突然出てきた日記は読んだ。」

「それは、一郎が元の世界から淡路陵の門を押し開いたのと同じじゃ。」


 言われてみればそうだ。

 米軍の門は、こちら側の世界で魔石をつかって開いて待っている感じだが、一郎父さんが出てきた時は少し違う。

 淡路陵の門は閉じているのに、元の世界から淡路陵の門に向かって押し開いたように出てきている。

 一郎父さんが出てきた後の開いた淡路陵の門は、お爺ちゃんとバーチャんで勾玉を使って閉じたと日記にも書かれている。


「向こう側から、押し開いた感じなのはわかった。米軍の門のようにこちら側で勾玉を使って開いた人はいるの?」

「いる。」


「それは日記に書いてある?」

「ハッキリとは書かれとらん。一郎が開けとる。」


 やっぱり一郎父さんか。

 一郎父さんは、淡路陵の門を開けることはできたんだ。

 けれども元の世界には戻っていない。

 礼子母さんと結ばれ俺をもうけて、こっちの世界で米軍の門での実験で亡くなっていると日記に書かれている。


 なぜ一郎父さんは門を開いたのに戻らなかったんだろう?

 いや。戻れなかったのか?


 また日記で調べるしかないかと考えていると、バーチャんに晩御飯を尋ねられた。


「二郎。晩御飯はどうする?」


 バーチャんに言われて、スマホの時計を見れば既に16:30。


「何にしようか。バーチャんは食べたいものがある?」

「ある。餃子が食べたいんじゃ。」


「餃子?」


 バーチャんから「餃子が食べたい」と言われるとは思わなかった。


「どんな餃子が食べたいの?」

「たまにスーパーで焼いたのを買うが、あれでも良いぞ。」


 そう言えばいつもの買い物に行くスーパーで、焼いた餃子を売っているのを見た気がする。

 バーチャんのリクエストなのだ。

 どうせなら美味しい餃子を食べたい。

 どんな餃子が良いのだろうか?


「二郎は、東京でどんな餃子を食べとるんじゃ?」

「俺が食べてた餃子は…」


 スーパーで売ってる焼いたやつです。とは言いずらかった。


 そうだ!

 大学時代からお世話になった、あの餃子はどうだろうか。


「ちょっと待って。確か車で30分ぐらいのところに…」

 スマホで調べると、目的の店があった。


「バーチャん。買いに行こう。バーチャんに食べさせたい餃子がある。」



 バーチャんを助手席に乗せて30分ほどでやって来ました『業務スーパー』。


 俺が欲しかったのは「海老餃子」だ。

 バーチャんと二人分だったら1袋で良いか。冷凍しとけば良いから2袋買おう。

 それと冷凍カボチャ。赤魚骨無し。

 他に便利そうなものが無いかと見ていたが、気がつくとバーチャんがいない。


 あれ?

 バーチャん。どこに行った?


 いたいた。

 バーチャん。

 お酒のコーナーで欲しがらないで。


 ウィスキーのペットボトル4Lは重たいでしょ。

 俺が持つから。


 はいはい。

 炭酸水も買いますから。

 ハイボールがお気に入りなんですね。


 ほらほら。

 ウキウキしないで車に乗って。

 実家に帰ったら作ってあげるから。



 実家に戻ると、バーチャんは4Lのペットボトルウィスキーを抱えてダッシュで母家に入って行く。どんだけ飲みたいんだ(笑

 他の買い出した食材は俺が母家に運んだ。バーチャんには俺が戻るまで我慢して貰った。少し残念そうだったが少しの辛抱だよ。

 軽トラはいつもの車庫のような建物に納め充電装置と接続していると、スマホに彼女からLINEが入った。


「ネット会議できますか?」18:22


 晩御飯の準備もあるので、折り返しで彼女のスマホに電話した。


「秦さん?門守りです。」

「センパイ!ネット会議は無理ですか?」


「ごめん。15分待てる?」

「大丈夫でぇ~す。」


「じゃぁ15分後に。」

「はい♪」


 なんか彼女の声が明るい。


 母家に入り台所に繋がる食卓を見ると、空のジョッキと氷に炭酸水。

 そして昨夜の飲み残しの角瓶と、4Lのペットボトルウィスキーが並べて置いてある。

 その向こうには椅子に座って足をブラブラとさせて、何やらウキウキしているバーチャん。

 俺はまずは1杯だけバーチャんに作ってあげた。


「ごめんバーチャん。これ飲んで待ってて。」

「良いぞ♪」


 バーチャんの声も明るい。


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