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門の守人  作者: 圭太朗
2021年4月27日(火)☀️/☁️
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9-7 セグレ


 日記(?)を書き終え、囁き声も聞こえなくなった。

 俺は我に返って日記を読み直して、削除しようかどうしようか迷った。

 けれどもこれ以上は時間を使いたくないと思い、成り行きに任せることにしてテレワークに戻った。


 自分のノートパソコンに戻りメール着信を確認すると、部長や彼女からのメールが数通と、人事部長と総務部長からのメールが来ていた。

 これらのメールを熟読して、アスカラ・セグレ社への30日の訪問が決定した。

 出張扱いは、今週の月曜から土曜日までの5日間で、旅費が東京のアパートから淡路島の実家までの往復(但し大阪経由)と破格の扱いとなっていた。


 これらのメールを見て、今回の訪問が少し怖くなってきた。

 部長は今回の訪問で俺と彼女に何をさせるのが目的なんだろうと疑念を抱く。

 何よりも疑問なのが、アスカラ・セグレ社が俺と彼女を指名してきた理由が判然としないからだ。


 部長から来ていた出張命令のメールを読み返す。


 担当:Eric G. Segre


 見たことも聞いたことも無い名前だ。

 「エリック・G・セグレ」と読んで良いんだよな?

 これって社名の「・セグレ」と同じだけど、まさか偉い人じゃないよな?


 それと今になって気がついたのだが「セグレ」の言葉に既視感がある。


 先程書いた日記と共に脇に置いたPadを手にして、「セグレ」で検索してみると1件だけ日記がヒットした。


ーーー

1978-09-22-004

 アルバインの長男のジョージを紹介された。

 今の責任者はジョージに引き継いだそうだ。

 セグレ家の男性は皆が似ている。

 アルバイン・セグレとジョージ・セグレの二人を、どちらも「セグレさん」と呼ぶのは混乱する。

 本人も了解したので、従来どおり「アル=アルバイン」と呼び、ジョージはそのまま「ジョージ」と呼ぶ。

ーーー


 礼子母さんが書いた日記だった。



 バーチャんに確認するため、スマホ片手に仏間に向かう。


 山田が昏倒し、部長の出張命令に応じた今では不要だと思うが、念のためにスマホは持ち歩くことにした。


 バーチャんは相変わらず、仏間でお茶を啜りながらPadを操作している。


「バーチャん教えて。」

「二郎。その前に布団を取り込まんか?」


 スマホの時計を見れば、15時になろうとしている。

 干した布団を片付けるには良い時間だ。来客用の布団もあるのでバーチャんへの確認は後にした。


 バーチャんの指示で洗濯物も取り込む。

 俺が外に出て洗濯物を取り込み母家のバーチャんに渡すと、バーチャんは洗濯物を畳み始める。

 すべての洗濯物を母家に入れたら次は布団だ。

 バーチャんの布団、俺の布団、来客用の布団。

 どれもがフカフカになっている。

 これで寝たら気持ち良いだろうと思えるフカフカ具合だ。

 全てを取り込んだら母家に戻り、バーチャんの指示で来客用の布団とバーチャんの布団をかたづける。

 俺が使っている布団は寝泊まりしている部屋に運ぶ。

 軽く畳んでから、フカフカな感じに堪えられず顔を埋めればお日様の香りだ。


「東京のアパートの布団も干したい。」


 そんな思いが浮かんだ。


 再び仏間に戻ると、俺の洗濯物まで綺麗に畳んであった。


「バーチャん。ありがとう。」

「おう。そうじゃ、何が知りたいんじゃ?さっき教えてくれとか言うとったろう。」


「そうそう。セグレって知ってる?」

「知っとるぞ。」


「エリック・G・セグレは?」

「アルバインの息子がジョージと言うんじゃが、ジョージの息子、アルバインの孫がエリックだったはずじゃが?」


 つながった。つながった気がする。


 アスカラ・セグレ社の担当者であるエリック・G・セグレは、礼子母さんが日記に書いたジョージ・セグレの息子だ。

 エリック・G・セグレは、俺が礼子母さんの子供だと知った上で指名してきたのだ。

 俺を指名してきた理由は、それだとしか思えない。他に理由が考えられない。


 それでも解せないことがある。

 どうして、彼女も指名したんだ?


「セグレがどうかしたんか?」

「仕事で30日に大阪に行くと言ったでしょ。」


「言うとったな。」

「大阪である会社に訪問するんだけど、その会社がアスカラ・セグレ社なんだ。」


「アスカラ・セグレ社?」

「バーチャん。知ってるの?」


「確か…キャロラインの持っとる会社の一つがそんな名前だったと思うが…」

「キャロライン?」


「キャロラインはジョージの嫁さんじゃ。」



 その後、日記を交えてバーチャんからセグレ家の方たちを教えて貰った。


アルバイン・セグレ

 『米軍の門』の関係者いわゆる軍関係者。

 米軍の門を使った実験の最高責任者。

 零士お爺ちゃんと礼子母さんを保護した人。


ジョージ・セグレ

 アルバインの息子。

 アルバインの後を継ぎ米軍の門での実験の最高責任者。

 礼子母さんの渡米を受け入れた。

 妻のキャロラインとの間に息子のエリックをもうける。


キャロライン・セグレ

 ジョージの奥さん。

 複数の企業を持つ富豪の娘。

 夫のジョージとの間に息子のエリックをもうける。


エリック・セグレ

 ジョージとキャロラインの息子。


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