表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/67

03.変人? ローズの部屋

 私の未来のために、星野兄妹とは仲良くならなきゃ。特にスターレンジャーのリーダー、星野紅一との関係は重要ね。

 

 でも、どう仲良くなればいいのか……。自慢じゃないけど、友達なんか一度もいたことがない。私の人間関係は壊滅的なのだ。


 舞にはもちろん友達がいた。でも、私が舞のやり方をマネしたところで、上手くいくとは思えない。なんといっても、私のクラスでの評判は最悪なのだ。今さら振る舞いを変えたところで、悪目立ちするに決まっている。


 それに正直クラスメイトと仲良くしたいなんて思っていない。私はあいつらに何も期待しちゃいないし、あいつらも私に期待していないだろう。

 星野紅一とだけ仲良くなれれば、それでいい。ただ、その仲良くなる方法がわからないワケだけど。


 ……。

 ……。

 ……。


 ……あー、もう面倒くさっ!

 バタンと仰向けの状態でベッドに倒れ込む。


 このまま寝ちゃおうかしら。

 ゴロゴロする私。全くもってやる気がでない。

 昔から集中力が持続しないタイプなのだ。

 しかし、なんとか思い直してスマホをいじる。


 “クラス 気になる男の子 仲良くなる方法” 検索。


 出てきたサイトにサラリと目を通していく。


 ……。

 ……。

 ……。


 ……だめだー! 大して参考にならない。だって、恋愛相談ばっかなんだもん。

 いっそ “友達の作り方”で検索しちゃう? ダメダメ! そんなみっともないことはできない。私のプライドはエベレストよりも高いのだ。


 ん? なにこれ。“ローズの部屋”?


 気がついたら、変なサイトに入っていた。


 そのサイトは、“ダサくてショボい”っていう表現がピッタリのデザインをしていた。初心者がとりあえず作ったページ、といえばわかるだろうか。とにかくセンスが感じられない。


 派手な色のハートが敷き詰められた背景は目がチカチカするし、無駄に立体的に加工された文字はひたすら見にくい。

 ページの真ん中でクルクル回っている大きなクリスタルの絵も不気味だ。

 一体何なの、これ? 奇妙な星の絵が描かれているけど。


 クリスタルの上には、蛍光色の文字で訪問者を歓迎する言葉が書かれていた。


 “ローズの部屋へようこそ! あなたは11,604,649人目の星です”


 ……11,604,649人!? ありえない。アクセス数、いじってんじゃないの?


 でも、もっとありえないのはその下。サイトの下部にある写真。


 嬉しそうな表情でピースしている人の写真が何枚も貼ってある。全て目は黒塗り。個人を特定されないためだと思うけど、なんか犯罪くさい。

 その写真から伸びている吹き出しには、“ローズさんのおかげで念願の彼氏ができました!”とか“ローズさんの言う通りにしたら受験に受かりました!”など、ローズという人物を賞賛する内容が書かれていた。


 ……あ、あやしい。これ、うちの組織が運営してるサイトじゃないでしょうね。時々わけのわからないことをやらかすのよね。いや、それにしてはクオリティーが低すぎるか……。


 このサイトに私の求めているものはきっとない。にもかかわらず、なぜかサイトから離れることができない。どうしてだろう? 恐い物見たさってやつ? 私はついついサイト内に進んでしまう。


 サイトに入っていくと、例の写真のヤツらの体験談が事細かに書かれていた。

 そして“悩み相談から事件まで、ローズがサクッと解決!”とあり、“ローズに相談する?”というデカデカとした文字。


 迷わず文字をクリック! チャットのフォームがでてくる。どうやらここに入力して送信すれば、ローズに相談できるらしい。

 どうする? まともな返事が返ってくるとは思えないけど……。


 迷った末、私は相談することに決めた。これでも、好奇心は人一倍強いのだ。

 早速、相談内容を打ち込む。あ、相談内容は、もちろんスターレッドのことね。


“こんにちは、ローズさん。私はマイマイと言います。どうか私の悩みを聞いてください。実はクラスに気になる男の子がいます。なんとかして仲良くなりたいのですが、ローズさんならどうしますか?”


 送信っと。どんな返事がくるかしら? 

 ワクワクしながら待つ。

 暇つぶしに別のサイトを見ていると、着信音がなった。


“ハロー、マイマイさん。ローズよ。好きな男の子と仲良くなりたいのね。私に任せて! 自慢じゃないけど、その手のことには自信があるの。ただ、恋愛を成功させるには相手の情報が重要よ。まずは、マイマイさんの気になる男の子がどういった子なのか教えてちょうだい”


 わっ、ローズから返事がきた! 思ったより若い人みたい。

 恋愛じゃないんだけどなー。

 ま、いっか。訂正するの面倒だし。

 とりあえず、スターレッドのことね。……どんなヤツだっけ?


 確かスターレッドは、――とにかく熱くるしい性格だった。ほら、後先考えずに危険に飛び込んでいく主人公っているじゃない? スターレッドーはまさにそのタイプ。猪突猛進型で、熱血バカ。

 ファンの間でも、火の玉レッド、バカレッドって呼ばれてた。いつもスターピンクに怒られてたっけ。


 そんなレッドだけど、女の子にはモテていた。助けた子とか、スターイエローとか。レッドに思いを寄せる子は多かった。あの真っ直ぐな感じがいいらしい。

 ただ、当の本人は彼女たちの気持ちには全然気付かない。鈍感レッドとも言われてたっけ。あんなの好きになったら、絶対苦労するわ。


“彼は、正義感が強くて何に対しても熱心です。正義のためなら危険もかえりみず飛び込んでいってしまう、そんなヒーローみたいな人。しかも女の子に人気があってモテモテなの。でも、女の子の気持ちには全く気付かない、困った人です”


 うん、うまくまとまった! 送信。

 待ち構えてたかのように、すぐにローズから返事が返ってくる。


“素敵! まさに理想のタイプだわ。うちのアホと交換してほしいくらいよ。でも鈍感なのはちょっとね……。マイマイさんも苦労するわね。その手のタイプには積極的にアタックするしかないわね。マイマイさんと彼はどの程度の仲なの?”


 アホ? 誰のことだろう?

 疑問に思いつつも、返事を送る。


“実は、彼とは出会ったばかりでしゃべったこともないんです。先日トラブルがあって助けてもらったんですけど、突然のことでその時は話すことができませんでした。だから、いきなりアタックするのは難しいです。あの……アホって誰のことですか?”


 気になったので聞いてみる。疑問はすぐに解消しないとね!


“あら、その人、マイマイさんにとって本当にヒーローだったのね! 素敵! 

でも、それなら話は早いわ。助けてもらったお礼を言って、それをきっかけに仲良くなるのよ。嬉しかった気持ちを素直に伝えるの。ついでにお礼の品を渡したらどうかしら。ちょっとしたものがいいと思うわ。もちろんキュートな笑顔も忘れずにね。


アホって言うのは、私の同僚のことよ。やる気はないし、女の子ばっかり見てるし、どうしようもなくて困っているの。これからアイツの面倒を見なきゃいけないかと思うとウンザリするわ”


 同僚ねぇ。ローズって一体どんな仕事をしているんだろう? 

 サイトは変だけど、返事は意外とマトモだし。


 正直、拍子抜け。とんでもない回答がくるかもってドキドキしてたのに。

 なんてことはない。私は娯楽に飢えているのだ。

 えっ? 当初の目的? 何のこと?

 でも、女の子ばかり見ている同僚ね。私の同僚とどっちがマシかしら?


“お礼の品ですね。考えてみます。女にだらしない男はサイテーですよね。私の周りにも似たようなヤツがいるからわかります。ローズさんも大変ですね”


 誠実な男っていないわけ? 全く、嫌になっちゃう。


“わかってくれる? マイマイさん。しかも、アイツ、プレイボーイぶってて最低なのよ。マイマイさんの彼はきっとそんなことないんでしょうね。大丈夫、マイマイさんならやれるわ。恋する女の子は無敵だもの。また結果を報告してちょうだい。力になるわ”


 恋する女の子は無敵か。なら、私は危ないんじゃ……。そう思いつつも、ローズにお礼を送信する。


“ありがとうございます!”


“頑張ってね! グッドラック!”


 グッドラック! 私はチャットを終了させた。うん、当初の予想とは違ったけど、誰かに相談してすっきりした!

 しかし、ローズって、思ったより普通の人。もっとエキセントリックな人物を想像してた。なんでこんな変なサイトを作ってるんだろう?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ローズって誰だろーなー(あらすじからそっと目を逸らしつつ) [一言] 更新期待してます!!!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ