表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/43

第40話 凱旋

カレンはイケメンさんです。


「はぁ……」


 まさかこんな場所でお約束があるとは思わなかったよ。

 異性に見られたのは恥ずかしいけれど相手は守護神様だし。


「クリム様、どうかされましたか?」


 イケメンのカレンが私を心配そうに見ている。

 一応、私の裸を見たはずなんだけれど動揺すらしていない。

 守護神様と人間じゃ感覚が違うからこの反応も当たり前だよね。


「大丈夫だよ、カレン。ところでその姿は?」


 出会った時は卵だったのに割れたら鳥で最後は人の姿。

 これで驚くなと言う方が無理。


「これはクリム様に名をいただいて進化したのだと思います」

「名前を付けただけでこんなに姿が変わるの?」

「我……俺も長い時間を生きていますがこんな変化は初めてですよ」


 ここは異世界だし不思議なことだらけだよ。

 さてレッドドラゴン2匹も回収し終わって街へ帰りたい。

 その前に……。


「この姿のままじゃさすがに帰れないよねぇ」


 私が着てきたワンピースはレッドドラゴンの炎の息吹(ファイアブレス)で燃え尽きた。

 今は水浴びの時に使っていた布で隠しているけれど少し(めく)れるだけでイケない部分が見えてしまう。


「あの、お姉さま。私の服でよければありますけれど?」

「ホントにっ!?」


 さすがに戦闘の時には借りれなかったけれど今は凄く助かる。


「ただ、お姉さまの趣味に合うか……」

「もちろん問題ないよ!」


 どんな服装でも布を巻いただけの今よりマシ。

 早速、リコットに服を借りて着てみる。

 サイズは全体的に小さいけれど胸だけが少し余裕があった。

 悲しくないよ、うん。


 リコットが持っていた服は白とピンクのギンガムチェックで胸の部分が大きく開いたフリル付きワンピースだった。

 胸には小さなリボン、背中には大きなリボンで可愛さアップ。

 これもお願いしますと手渡されたエプロンとウサ耳を付ける。


 これってメイドカフェの店員さんだよね?


「どう……かな?」

「お姉さま、とっても可愛らしいです……ぶふっ!」

「クリム様、お綺麗です……くくっ」


 2人は褒めながら私と目を合わさないように横を向いて笑っている。

 よし、街へ帰ったら覚悟しなさいよ?

 この記憶がなくなるまでグーでお仕置きしてあげよう。

 それでも布を巻いただけの状態よりマシだから感謝しなきゃね。

 さすがにウサ耳とエプロンはやり過ぎなので返却したけど。


「そう言えばリコットさんのことを呼び捨てにしてごめんね」

「いえ、お姉さまにはそう呼んでもらえる方が嬉しいです!」


 そんなものかな?

 本人が喜んでくれているならこのままでいいか。


「あとカレンだけどさっきの鳥の姿には戻れない?」


 さすがにこんなイケメンと一緒に帰ったら何を言われるやら。


「大丈夫です。クリム様がそうせよと(おっしゃ)るならいつでも」

「それなら普段は鳥の状態でお願いできるかな?」

「はい、わかりました!」


 大きさも自由に変えられるみたいだけれど人が乗れるようになるには時間が必要らしいので肩に乗るくらいでお願いしておいた。


「それじゃギルドへ報告に帰りましょうか」




 ☆☆☆




 アヴェハイムの冒険者ギルドへ戻って来た。

 出発したのは今朝なんだけれどもの凄く疲れた気がする。

 しかも私たちを見つけた冒険者たちが道を譲ってくれるんだけれどキラキラした目をしているのは気のせい?


「こんにちはー、いま戻りましたよ」


 冒険者ギルドの扉を開けるとたくさんの冒険者たちで賑わっている。

 どこの冒険者ギルドも夕方は忙しいよね。

 早く報告だけして帰ろうと思ったらなぜか冒険者たちが私たちの方を見て一斉に頭を下げる。


「お帰りなさいまし、(あね)さんっ!」



 ――ズルッ!



 盛大に前のめりになってズッコケた。

 危なく下着をはいてないスカートが(めく)れるところだよ。


「あの、ちょっと聞きたいんだけど『(あね)さん』って誰のこと?」

「もちろんクリムさんのことですよ?」


 受付カウンターにいた髭の冒険者が私の方にやって来て答える。

 他の冒険者たちも大きく(うなず)いているんだけどどう言うこと?


「俺たちは聖女様のご指導によってクリムさんの偉大さを教えていただいたのです!」


 髭の冒険者がそう言うとやっぱり他の冒険者たちが頷く。

 薄々感づいていたけれど教育的指導はリコットのせいなのか。


「お姉さま。冒険者たちの(しつ)けは私にお任せ下さいね!」


 そう言って胸を張って堂々としているリコット。

 はっきりと「躾け」って言っちゃってるし。

 躾けが必要なのはリコットも一緒だよ。


「姉さん、こちらをご覧ください」


 そう言って見上げた先の天井には横断幕のような物が張ってある。

 周囲には花飾りのような物が付いていて新装開店の花輪みたい。


「えっと、『クリム様こそ最強で最高!俺たちの女神様云々――』……」


 膝から崩れ落ちて床に両手をついた。

 超恥ずかしくて外を歩けないんですけれど?

 レッドドラゴン2匹の10倍以上のダメージを受けた気がする。


「姉さん、姉さん。こちらも見てやって下さい!」


 そこには「クリム様応援団本部。入会はこちら」と書いてある。

 そしてたくさんの冒険者たちが並んでいる姿が見えた。


(もうやだ、このギルド……)


 アヴェハイムの冒険者ギルドに舎弟が増えました。


最後までお読みいただきありがとうございます。

ブックマークや☆☆☆評価をいただけると作者はとても喜びます!

タップするだけで終わりますのでよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ