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第36話 クリムvsレッドドラゴン その2

何とか本日中に間に合いました。

前話でレッドドラゴンの脅威度を追記しました。


「お、お姉さま……」


 私の大切なお姉さまがレッドドラゴンの炎の息吹(ファイアブレス)に飲み込まれた。

 超高温になると言われているレッドドラゴンの炎を受けてはSランク冒険者の勇者や聖女と言えどもただでは済まない。

 それも炎による耐熱効果を持った高性能な装備品や魔法に身を包んでの話。

 お姉さまが着ていたのは平民と同じようなワンピースだった。


「う、うぅ……」


 涙が(あふ)れてくるけれどここで泣いてはいられない。

 脅威度SAの魔物1匹が暴れるだけで大国が亡ぶと言われている。

 そんな危険極まりない2匹のレッドドラゴンを何とかしないとアヴェハイム帝国は数時間も経たずに滅びてしまう。


 そんなレッドドラゴンにSランク冒険者の私が敵うはずがない。

 絶望的な中で逃げることもできず足の震えが止まらない。


「だけど私が何とかしなくちゃ」


 恐怖に負けそうになる自分を鼓舞して光の杖を握りしめる。

 そして自身の体に炎による耐性を付与してレッドドラゴンの前に躍り出る。


「お姉さまの仇っ! <聖なる雷光(ホーリーライトニング)>!」


 私の持つありったけの魔力を込めて聖属性による攻撃魔法を放つ。

 レッドドラゴンに当たった瞬間、眩いばかりの光と轟音で視界がぼやける。


『ウグオォォォーーーッ!』


 けれど魔法耐性が強いレッドドラゴンを倒せるまでには至らなかった。

 2匹のレッドドラゴンが大きく息を吸い込む姿が見える。


「今すぐ参りますね、お姉さま……」


 大きな炎の塊が私の身を包み込む。


「……」


 レッドドラゴンの炎の息吹(ファイアブレス)を受けたのにいくら待っても熱さがやって来ない。

 ゆっくりと目を開けると1人の女性の背中が見えた。


 金色の髪はレッドドラゴンの炎を受けてさらに輝きを増し超高温にもかかわらず柔らかく揺らいでいる。

 そして全身から放たれる淡い光はとても優しくて神々しい。


「……女神様?」


 私の方を振り向いて微笑みかける女神様はなぜか全裸だ。

 胸は……私よりも少し小さかった。




 ☆☆☆




「リコットさん、大丈夫? あと勝手に殺さないでくれる?」

「……」

「あのー、リコットさん?」


 リコットさんは地面に膝立ちになって手を組んで拝んでいたよ。

 きっと私に向けてるんだと思うけれどまだ生きてるからね?


「お姉さま……ですか?」

「他に誰がいるのよ」


 私がそう言うと目に一杯涙を浮かべて抱き付かれた。

 こんなに心配してくれた女の子を振り解けないよね。


「お姉さまお姉さまお姉さまっ!」

「心配かけてごめんね? でも大丈夫だから」


 抱き付いたままグスグス泣いているリコットさんの頭を優しく撫でる。

 一応、わかっていると思うけれど私、全裸なんだよね。

 リコットさんの右手が私の胸を包むように置かれているのが気になる。


「あの、リコットさん、そろそろ離れてくれないかな?」

「……」


 ――ペロッ。


「ひやっ!?」

「……しょっぱい」


 この聖女、どさくさに紛れてお腹を舐めた!?

 頭に置いていた手をそのままグーにして拳骨を落とす。


「お姉さま、痛いですぅ」


 知らん!

 心配してくれて嬉しかったのに台無しだよ!


「さすがに胸はマズいと思ってお腹にしたんですよ?」

「直接、胸にいってたらレッドドラゴンと一緒に始末してるわよ!」


 まるで私が我が儘を言っているように聞こえる。

 コレでもSランクの聖女なんだから凄いよ。


「ところで炎の息吹(ファイアブレス)を受けてよくご無事で……」


 確かにあの攻撃はヤバいと思ったけれどそんなに熱さを感じなかった。

 それでも私の着ていた衣服が一瞬で燃え尽きたから本当なら死んでいたかもしれないんだよね。

 つくづく自分の体がどうなっているのか不思議だよ。


「私たちを守っているコレは何でしょうか?」

「ああ、これは私のパンを作る魔法で作ったパンだよ」

「……お姉さま、大丈夫ですか?」


 可哀想な人を見る目で私の顔を覗き込む。

 大丈夫、まだボケてはないはずだから。


「私の作るパンは私が思った通りの感じで作れるの。これはどんな熱でも耐えれるようにって作ったのよ」


 私たちを守るために作り出した大きな盾の形をしたパンはレッドドラゴンの炎の息吹(ファイアブレス)を受けてパン窯から出した時のような匂いが漂っていた。


「さすがお姉さまです!」


 今度はキラキラした瞳で私を見てくるリコットさん。

 変わり身が早くて怖いんですけど。


「それじゃ行って来るからここにいてね?」

「お1人で大丈夫でしょうか?」

「ダメなら戻って来るよ」


 パンで作った大盾を地面に突き刺しリコットさんには隠れているように伝えてレッドドラゴンの元へ向かう。

 さすがに全裸はイヤなので<無限収納(ストレージ)>から水浴びをした後に使っている布を取り出して上半身と下半身を隠す。


「まるでビキニだよ。男性冒険者が一緒じゃなくてよかった」


 16歳の乙女が異性に肌を見られるのはさすがにねぇ。

 相手が魔物だとわかっていてもビキニ姿で戦うのは恥ずかしい。

 布が(めく)れたら色々とマズい部分が露出するので動きにくいよ。


『グオオァァァーーッ!』

『ウグオォォォーーッ!』


 2匹のレッドドラゴンが攻撃しようと向かって来る。

 リコットさんの近くでは危険が及ぶ可能性があるので背後へ回り込み尻尾を持って反対側へ投げ飛ばすが布が外れてないか意識が散漫になり力が入らない。


「お姉さま、凄いですっ!」


 私の後ろでリコットさんの声援が聞こえる。

 しばらくは大盾に隠れていれば大丈夫だと思う。


「まずは翼を折ったレッドドラゴンから!」


 私に向かって振り下ろされる巨大な腕を避けて片翼のレッドドラゴンへ近付き正拳で打撃を与えるが効きが弱い?


「お姉さまっ! レッドドラゴンは魔法だけでなく物理耐性もあります!」


 それってどんなズルなのよ!?

 さすがにレッドドラゴン2匹と暴れ過ぎたのか地面のあちこちに地割れができて火山全体から地響きのような音が聞こえてきた。

 このまま暴れ続ければ祠どころか火山自体が噴火するかもしれない。


「これはマズいよね……」


最後までお読みいただきありがとうございます。

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