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第17話 使い道がわからない

内訳は決めていますが作中に出すと大変なので止めました。

久しぶりに電卓を叩いて計算しましたよ。


※宿の名前を修正しました。


「それじゃ行って来ますね」


 今日はユーウィンの冒険者ギルドへ行く日だ。

 大量の買い取りがどうなったのか楽しみだよ。


 冒険者ギルドへ到着すると女性職員に解体作業場へ案内してもらう。


「こんにちは、ドラウンさん」

「よぅ、待ってたぜ!」


 解体作業を中断して部下に指示をするとこちらへやって来る。

 その手には大きな袋を持ってるけれど凄く重そうだよ?


「それじゃ説明するぜ?」

「はい、お願いします」


 すぐに終わるだろうと思ってたのにここからが長かった。


「まずゴブリンは58匹だ。錬金素材として爪と目と――」


 こんな感じで延々と説明が続く。

 そんなに細かく説明されても覚えきれないんだけど?


 簡単にざっくり説明するとこんな感じ。


 ゴブリンが58匹で主に錬金素材になった。

 あとは身に着けていた装備品で使えそうな物は低ランクの冒険者に安く売り出すらしい。

 次にジャイアントアントが115匹でこちらもほとんど錬金素材だけど外殻は装飾品にも使われるんだって。


「キラーベアは使える部分も多いが人気は何と言っても肝の部分だな」


 何に使うのかドラウンさんに聞くと精力剤として人気が高いらしい。

 貴族の男性はこれを使って毎晩頑張ってるんだぜと力説された。


 うん、知らんよ。


「クリムちゃんも気に入った相手にプレゼントしたらどうだ? がはは!」


 そう言って大声で笑うドラウンさん。

 今の世の中、そんな発言はセクハラ認定されるよ?

 そもそも相手なんていないし……あ、ちょっと泣きそうかも。


「さてワイバーンだが、これは使える部分が多いんだ」


 竜種の魔物は滅多に取れないって聞いたしね。

 角や牙だけでなく目玉に肉、皮、骨、血の1滴まであらゆる部分が素材になる優秀な魔物だと説明してくれる。

 小さな容器に入った血ですら1本で金貨1枚はするとか。


「すでにギルドには買い取り希望がたくさんきてるぞ!」


 それは凄いね!

 買い取り価格もかなり期待できるかも。


「ギガントカメレオンだが、これもいい素材だ」


 基本的に脅威度が高い魔物は捨てる部分が少ない。

 特に皮と目玉が大人気でギガントカメレオンの皮を使った装備品はかなり高額にもかかわらず店に並べば即完売するとか。


 うん、これも高値が期待できそうだよ。


「最後にサンダーバードだが買い手がついたぞ」

「もうですか?」


 昔から冒険者ギルドに依頼があったみたいで細工師の人が笑顔で受け取りに来たらしいよ。

 そんな強そうな魔物じゃなかったのにね。




「それじゃ買い取りだがゴブリンが金貨17枚と銀貨4枚――」


 そんな感じでまずは受付カウンターでも買い取り可能な小さな素材たちから金額が発表される。

 ジャイアントアントは金貨69枚、キラーベアは金貨11枚だよ。


 この3種類の魔物を合わせただけでも金貨97枚って……。

 冒険者が人気出るのがちょっとわかる気がする。


「さて今度はちょいと重いぞ?」


 テーブルの上にさっきの麻袋とは比べ物にならないほどの大きな袋が出てきた。

 なんだか嫌な予感しかしないんだけど。


「ワイバーン2匹で金貨2000枚と――」

「ちょーっと待って!?」

「どうしたんだ? 何か間違ってたか?」


 いまドラウンさんの口から金貨2000枚って聞こえた。

 さっきもらった魔物たち3種類をまとめて金貨97枚だったよね?


「すみません、聞き違いだったかもしれないので」

「そうか? ならいいんだが。ワイバーン2匹で金貨2000枚と――」


 うん、やっぱり間違ってなかったよ。

 危なく後ろに倒れるかと思った。


「ワイバーンってそんなに高いんですか? 1匹で金貨700枚くらいって聞いたんだけど」

「ああ、たぶんだが違う種類のワイバーンかもしれんな」

「違う種類のワイバーンなんているんですか?」

「竜種は色んな種類がいるからな。さっき1匹700枚ってのはたぶんだがレッサーワイバーンのことだろう」


 劣った飛竜(レッサーワイバーン)なんてのもいるんだね。

 これは通常のワイバーンだから値段が高いと。

 各素材の内訳を知りたいか聞かれたけど頭が痛くなりそうなので止めておいた。


「次にギガントカメレオンは金貨1170枚でサンダーバードが金貨180枚だ」


 驚かないと思ったけれどやっぱり驚いてしまう。

 特にサンダーバードなんて出会って2秒で蹴り飛ばしただけなのにもらい過ぎなんじゃ?と思ったよ。


「大物の素材の買い取り金額だが金貨3350枚だ。さすがに金貨では面倒だから白金貨を混ぜたいんだがかまわんか?」


 もう、好きにして下さい。

 ちなみに白金貨は流通している貨幣の中で1番上にあたり、1枚約100万円くらいだと思う……たぶん。

 だって見たことないし。


「それじゃ今回の合計金貨3447枚と銀貨4枚だ」


 私の目の前に白金貨34枚、金貨47枚、銀貨4枚が置かれた。

 こんなにもらっても使い道が見当たらないんだけど?


「あ、そうだ。大量に持ち込んでみなさんにご迷惑をかけたお詫びにパンを持って来たのでぜひ食べて下さいね」


 持ち込んだ日から徹夜や泊まりで頑張ってくれたみたいだしお礼のパンを差し入れておいた。

 パン1個の値段は安いけれど美味しいと思うよ。


「おぅ、ありがとよ! それじゃまたおもしろい魔物が入ったら持って来てくれ!」


 爽やかな笑顔で去って行くドラウンさん。

 最後はクレマールさんにも一言だけ挨拶をして帰ろうかな。

 受付カウンターでクレマールさんを訪ねると応接室に案内してくれる。


「おや、クリムさん、今日は何を……ああ、買い取りが終わったのですね」

「おかげさまで無事に終わりました」

「クリムさんの持ち込んだ素材のおかげで我がユーウィンの冒険者ギルドも潤いますよ」


 ほくほく顔で私に語り掛けるクレマールさん。


「もう出発されるのですか?」

「ええ、すべて終わったのでタルコットへ戻ります」

「そうですか……。また何かあればぜひお越しくださいね」

「ありがとうございます。っとクレマールさんもどうぞ」


 さっきドラウンさんたちに差し入れたパンと同じだけれど、少しだけワイバーンのお肉を焼いて挟んである。

 一昨日、宿のみんなでパンに挟んで食べたら凄く美味しかったのだ。

 ただ食べ過ぎちゃって残りは少しになったから今回はクレマールさんだけ。


「おぉ、ワイバーンの肉が食べれるなんて! このパンは初めて見ますがとても柔らかくて美味しいですね!」


 パンを褒められると素直に嬉しい。

 クレマールさんと別れて冒険者ギルドを出るとそのまま宿へ戻る。




「クリムさん、色々とお世話になりありがとうございました」


 宿へ戻るとメイテさんが出てきてお礼を言われた。

 隣には少し涙を浮かべてるテオの姿も見える。


「こちらこそ部屋も綺麗だったし安くて最高の宿でした」

「ありがとうございます。クリムさんに教わったパンで頑張ってみますね」

「オーウェンさんにもよろしくお伝えください」


 パンの売り込みの件で貴族に呼ばれては仕方ないよね。

 これが成功すればメイテさんの宿を救えるって言ってたしオーウェンさんには頑張って欲しい。


「またオーウェンさんの準備が整ったら連絡をくださいね」

「はい、その時はぜひクリムさんのパンをよろしくお願いします」

「それでは、またー」


 手を振ってメイテさん、テオと別れた。


「さぁ、全部終わったし家に帰ろうっと!」




 ☆☆☆




 遠くからクリムたちを見ている数人の男たち。

 雑踏の中に紛れているがただの平民には見えない。


「……帰ったな」

「あのガキが何者かは知らんがもう大丈夫だろう。早くこのことを知らせるんだ」


 その数日後、安くて人気のあった「光風の宿」は謎の火災によって燃え尽きた。

 そこに住んでいた女性と子供の安否はわからない……。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] えー!!。宿屋の名前が変わったのかもですが、心配です。無事であることを望みます。
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