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眠る者

作者: てつ

美味しいものを食べ、ゆっくり眠ることは幸せだ。

どこかの誰かがそう言っていたが、その通りだと思う。

美味しいものを食べ、ゆっくり眠ることは幸せだ。

どこかの誰かがそう言っていたが、その通りだと思う。

現に私は美味しいものを食べ、ゆっくり眠る生活をし、幸せを満喫している。

この幸せを満喫している生活を長い間、繰り返して来た。今後もこの幸せが続くことを願いたい。


ある日のこと、ちょっとした疑問が頭に浮かんだ。

ゆっくり眠ることは幸せであるが、私は寝すぎていないか、と。

考えてみると一日の大半を眠って過ごしている。

眠ること自体幸せなのだから、別に悪いことではないのかもしれないが、時間を浪費しているのも事実である。

眠る時間を減らして別の有意義なことに使えないだろうか?

よし、決めたぞ。眠る時間を減らして何か別のことをしてみよう。


決心した翌日、食事をしたあとはいつもは眠るのだが、今日は起きていることにした。

さて何をしようかな、とあれこれ考えていると、急に眠気が襲ってきた。

おかしい、いつもと変わらず昨日も一日の大半を眠っていたのに、眠いなんて。

おかしいと思いつつも眠気には勝てず、結局眠ってしまった。

起きた時には、だいぶ時間が経ってしまっていた。

むむむ、失敗してしまったかと思いつつ、明日こそは寝まいぞと決意した。


その翌日、結局今日も食事後の眠気に負けてだいぶ眠ってしまった。

私はこんなに意志が弱かったのか、としょげつつ、明日こそはと強く決意した。

しかし、その翌日もその次もそのまた次も、食事後に急な眠気が襲ってきて眠ってしまった。

なにかがおかしい、おかしいぞ。


困ったときは相談だ!

友達に会いに行き、一日の大半を眠ってしまうことを話してみた。

すると友達も一日のほとんどを眠って過ごしているとのことだった。

しかし、友達はそのことを気にしているようではなかった。


別の友達にも相談してみた。

すると、その友達も一日の大半を眠っているとのことだった。

そしてそれは普通のことで、問題ないのではないかと説得された。

問題ないのかもしれないが、一度気になったら気になってしまうものだ。

よし、こうなったら眠ってしまう原因を解明してやるぞ。


一日の大半は眠ってしまうので調査はゆっくりとしか進まなかった。

しかし、調査を進めていくとある事実が見えてきた。

話を聞けた者たちはみんな、私と同様、美味しいものを食べ、ゆっくり眠る生活を過ごしているそうだ。

その生活にみんな不満はなく幸せであり、そしてやはり一日の大半は眠っているとのことだった。


みんながみんな一日の大半を眠っているというのは、やはりおかしい。

いや、逆に一日の大半を眠らないのがおかしいことなのか?

うーん、わからなくなってきた・・・。


調査が行き詰まりかけた時、物知りだというおじいさんに出会うことが出来た。

早速一日の大半を眠っているという疑問をぶつけてみる。

すると、おじいさんはわしも過去に同じ疑問を持ったことがあったと、嬉しそうに話し始めてくれた。

私も、同じ疑問を持ったおじいさんに出会えて嬉しい。


おじいさん曰く、長年にわたって原因を調べた結果、一日の大半を眠ってしまう原因は、なんと食べ物にあることが分かったという。なんでも、私や他のみんなが食べているものには毒が含まれており、その毒を分解するために長時間の睡眠が必要になってしまうとのこと。


正直驚いた。毎日美味しい美味しいと食べていたものに毒が含まれていたなんて・・・。

でも、毒が含まれていたとしてもあんな美味しいものを食べないなんて考えられない。

先祖代々やみんなが食べてきたものだし。

うん、原因はわかったし、今日からよく眠れるぞ。

今後もまた、美味しいものを食べ、ゆっくり眠る生活をし、幸せを満喫していこうではないか。

私は自分に言い聞かせ、幸せな生活に戻ることに決めた。


・・・・・


・・・・


・・・


・・



ユーカリの木の上で、コアラが今日も幸せそうに眠っている。


この度は読んで頂きまして、ありがとうございました!

今回が初投稿になります。拙い部分等あると思いますが、感想を教えて頂けたら嬉しいです!

宜しくお願い致します。

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