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星に、願いを。  作者: 桜花陽介
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今は金曜の、授業終わりだ。


このクラスには、主に四つのグループと、グループに参加してない奴がいる。


主に運動部の男子は花田、オタク側の男子は川中、性格がいい方の女子は山村、性格の悪い方が林のグループにいる。


山村と林は仲が悪くて、花田は山村と林に好かれててよく交流があるが、川中は三人や女子のほとんどから嫌われているから交流はない。


俺や結城は、グループには属さないタイプで、そういう奴はあんまりいない。カナンは、山村や花田のグループを渡り歩いている。放課中ぼうっとしてると、皆の喋り声が自然に耳に入ってくるから、いつもよく人の喋り声を聞いている。今は花田と林が喋ろうとしているみたいだ。


林の仲間達は、林と花田をにやにや笑いながら見つめている。山村は黙ってそっちを見ていた。川中は見世物みたいに指を指してなにやら言っている。


林が花田の前に立つと、林は手を後ろで組んだ。


「は、花田。あのさ。ちょっと、話があるんだけど」


林は緊張したりすると、語尾を伸ばさなくなる癖がある。つまり、緊張しているみたいだ。


「私さ、あの、花田君のことが好きなんだけど。付き合って欲しい、です」


林は柄にもなく顔を赤らめている。そうすると、花田はすまなさそうな顔をして、頭を下げた。


「ごめん、お前のこと嫌いじゃないけど、好きじゃないんだ」


「じゃあ、別に好きな奴がいるの!?」


「まぁ、そういうことになるかもな」


「じゃあ、誰なの」


「誰でもいいだろ」


「二階堂?月波?結城?それとも柊!?」


林が柊と言ったところで、花田の顔に動揺が見えた。視線が空を泳いでいた。結構わかりやすい奴だな。


「はぁ!?信じらんない。あんた、あんなクズが好きなの」


「べ、別に柊なんて言ってないし、林よりもいい奴はいるだろ。それに、あいつをクズだなんて言うのやめろよ」


「あいつのこと、なんにも知らないんだね。呆れた。まぁ、好きにしたらいいよ」


林は急にきびすを返して、自分の席へ戻った。林のグループのやつらが、林へうわべだけの慰めをした。前、裏で林への陰口を言っていたのを見たことがある。きっと今回も、表では慰めて、裏ではあざ笑うんだろう。


その証拠に、林から見えない方で軽蔑したみたいな笑い顔をしている奴がいる。 元々たきつけたのはたぶん林の仲間だろう。川中が笑ったのを見て、林が睨みつけた。


「人が失恋したのがそんなに面白いわけ!?」


「皆も顔に出さずとも面白がってると思うけどな。なんでこんなとこでやったんだ」


林はきっと、周りを睨み付けた。川中のグループや、山村のグループの奴らの一部も少しにやついていた。林に反感を持つ者はそこそこいる。


「あーあ、林怒らすとめんどくさいのになぁ」、山村が呟いたのが聞こえた。


それで、なんの意味もない青春の一ページが終わった。林は執念深いから、恥をかかされてそのままではいられない。きっと花田を恨むだろう。もしかすると、柊に飛び火するかもしれない。それは俺たちにとってはよくないことだ。


皆なんであんなに、人を馬鹿にしたり、すぐ怒るんだよ。誰かを傷つけるようなことを、話のネタにするのはそんなに面白いことなのか?面白くないようなことで人を笑って、それで楽しがるのはそんなに面白いことなのか?


どうでもいいことで、人を恨んで、人に怒って、正義のふりをしたり、復讐したり。だれかを裁こうとしたりするのはそんなにいいことなのか?


俺はそれを理解できなかった。


もちろん自分もそれをやっているかもしれない。だけど、自覚している分だけはそれをしないようにしよう。


話の種になるようなことが終わったから、皆もそれぞれの場所へ散っていった。



俺も教室を出ることにした。



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