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第59話「神崎海斗の策略」

読み専(?)の東焼豚様から素敵なレビューを頂きました(*´▽`*)


書いて頂いたレビューを読んでみると、ネコクロ自身の作品なのに、作品を読み直したくなるレビューでした!

レビューとはこういう風に書くんだなぁ~って勉強にもなりました(^^♪


素敵なレビューを本当にありがとうございました(/・ω・)/

皆さんも是非とも、読んでみてください(^^)/

「な、なんで……? どうして……?」

 雲母が持つスマホに表示される株価の総額を見て、アリアが戸惑いを隠せない様子で目を見開いている。


 アリアはスマホと雲母を交互に見ている為、俺はアリスさんの顔を見た。

 すると、アリスさんは一瞬だけ俺に視線を移し、すぐに雲母とアリアの方に視線を戻した。

 今は俺と会話をする気が無いのだろう。


 そして、少し離れた所で俺達の方を見ているアリスさんの護衛の女性は、驚いた様な感じで俺達を見ている事に気が付いた。

 俺達と距離が開いている為、話の内容が聞こえているとは思えないが、アリアの様子からこちらの金額が上回った事を察したのかもしれない。


「あ、ありえない……一体どうやって……」

 アリアはそう呟きながら、雲母から奪ったスマホの画面を操作する。

 恐らくは、所有している株がどの会社なのかを調べているんだろう。


 そしてその会社名を見たアリアが、より一層驚いた顔をした。

「どういう事!? なんであんたが平等院システムズの株を買ってるのよ!?」

「さぁ、どうしてでしょうね?」

 食って掛かる様に理由を尋ねるアリアに対して、雲母が舌をベーっと出して、アリアを挑発する。


 俺はそんな雲母を見ながら、やはり肝が据わってる女だなと思った。

 今のアリアの勢いは手も出てきそうな感じなのに、そのアリアをさらに挑発するなんてな。


「ふざけないでよ! 一体どこでアンチウイルスソフトの事を知ったのよ!?」

「そんな事言われても、私ニュース見るまでそんな事知らなかったし?」

 雲母はアリアの質問に対して、首を傾げて答えた。


 ただ、これはとぼけているわけではない。

 雲母は本当に、平等院システムズのアンチウイルスソフトについて事前には知らなかったのだ。


 だって、俺が雲母に教えなかったからな。

 雲母に教えたのは、『アリアは平等院システムズの株が上がる事を分かっているから、インサイダー取引をしようとしている』という事だけだ。


 もし雲母に内容まで教えて、その事がひょんな拍子に出てきた場合、雲母がインサイダー取引をした事にされかねない。

 だから、俺は雲母に教えなかった。


 俺が平等院システムズの株が上がる理由を教えなかったのに、何も聞かずに俺の言葉を信じてくれた雲母の事を、俺は凄いと思う。


 なんせ今回の雲母は、自分の人生が掛かっているのだ。

 なのに、何の確証も教えてもらえなくても尚、その相手の事を信じ続けるなど、普通の人間には無理だろう。

 今回の勝負で、俺の中の雲母の株はかなり上がっていた。


 何故今回こんな結果になったのか――それは、俺が雲母に戦略を教えた日に戻る。





「――先程教えた通り、アリアはまず間違いなく代理の男のアカウントを使って、インサイダー取引をしてくる」

 俺の言葉に雲母は頷きながらも、パソコンの画面で平等院システムズの株価が載っているサイトを開いた。


「でもさ、確かに株が急上昇する事を察知してるなら、普通に私達に勝ち目はないと思ったけど――考え直してみたら、今回の勝負って軍資金十万円って決まっているよね? だったら、寧ろ私達の方が有利なんじゃない? ほら、平等院システムズって株価が高いでしょ? だから、十万円で買ってもほとんど株が買えなくて、利益に繋がりづらいと思うの。それなら私達は、普通に株価が上がりそうな株を買って、勝負した方が勝てるんじゃないかな?」

 雲母は画面に映る平等院システムズの株価を指しながら、俺にそう言ってきた。

 

 雲母が言う事はもっともだ。

 確かに資金が決まっているのなら、株価が高い株を買うより、安い株価の株を買った方が良いだろう。


 しかし、その手はアリアによって封じられているも同然なのだ。


 今回アリアが縛ったうちの一つ、資金が十万円という事だが――それは、ただ資金を決めているだけのように思うかもしれない。

 しかし、それはたった一つで複数の意味を持つ縛りだった。


 まぁ代理人を立てる為に、恐らくは株で得た利益は全て譲渡するだろうから、赤の他人にあまり利益を与えたくないという考えもあるのかもしれないが――この縛りが一番厄介なのは、株で勝負するのなら資金が少なすぎて、戦略が限られるという事だ。


 それが何を意味するか――それは、堅実に株を増やそうと思っても、安定した企業の株価はそれ相応の値段をしている為、利益に繋げづらいという事。


 とは言え、利益にならない訳ではない。

 ただそれをすれば、九割九分負けになるだろう。

 恐らくある程度株価が安定している企業の中には、平等院システムズよりも株価が安いのはいくつもあるはずだ。


 しかしこれから株価が急上昇する事が見込まれている、平等院システムズ以上の利益を得られるかと言えば、その可能性は無に等しい。

 

 何故なら、これから平等院システムズが発表する予定の物が何かを俺は知っているし、そもそもいくら株知識が無いとはいえ、アリアは会社の経営者だ。

 株の利益の出し方について、全く知らないわけではないだろう。

 つまり、堅実に増やすというやり方を、あのアリアが想定していないわけがないのだ。


 なのに、自信満々に株価が高い平等院システムズの株で勝負するという事は、それだけ株価が上がると予定しているという事だ。


 という事は堅実に勝負すれば、まず間違いなく負けると考えて良いだろう。


 だからと言って、大きな利益を出すために株価が上がる可能性のある、凄く安い株を買うのは危険でしかない。

 何故なら、そういう株は変動が激しいからだ。


 もし買った時より株価が急激に下がれば、資金が十万円しかないせいで、立て直しが出来なくなるという事だ。

 これが資金十万円という縛りがもたらす、もう一つの効果。


 一度失敗すれば立て直しがほぼ不可能というルールにする事により、万が一にも平等院システムズの株以上の利益を出す事を避けたのだ。

 おそらく急上昇するであろう平等院システムズの株価に対抗できるとすれば、堅実な株では無理な為、急上昇が望める株――尚且つ、株価が低い株を選択するしかない。


 しかしここで厄介になってくるのが、アリアが縛りと言った事以外だ。

 あいつは縛りと言っておきながら、雲母に気付かれないないまま行動を制限できるように、他の決め事も作っている。


 そのうちの一つが、二週間という期間だ。


 平等院システムズの内容は、発表されてから最低でも数週間は話題が絶えないであろう事なのに、何故アリアが二週間という短い期間にしたのか。

 それは、アンチウイルスソフトが発表されてから十分株の利益が見込めた上で、雲母に株の戦略を練る時間を与えないためだ。


 雲母にどれだけの株の知識があるかを、アリアが把握しているとは思えない。

 しかし、恐らくはどれだけ株の知識があろうと、関係なかったのだろう。


 今回平等院システムズが出す株の利益を超えるには、堅実な株では意味が無い。

 そうなると、新たに株価が急上昇をするであろう安い企業を見つけるしかない。


 しかし先ほども言った通り、十万円で沢山買える株価の株は安定していない。

 しかも、勝負に勝てるくらい確かな利益を出すためには、安定していない企業の一つの株の流れを読むだけでは足りない。


 何故なら、期間内に株が上がらない可能性だってあるのだ。

 だから、要所要所で株を買って売ってを繰り返すにも、複数の企業の株の流れを読まなければいけない。


 となれば、複数の企業に対してじっくり調べる時間と、株の流れを読む時間が欲しい。

 だからアリアは、その時間を雲母に与えなかった。

 

 普段から大きな利益を見込んで株を読んだり調べている人間ならともかく、安定した収入を得ようとしている人間は、ある程度は情報を仕入れては居るかもしれないが、しっかりと把握しているわけではないだろう。


 それは勉強のために株の流れを読んでいた、雲母にしても同じだった。


 アリアからすれば、昔の雲母の印象が強く残っている為、荒い株に興味を示していたとは思ってなかったのかもしれない。

 だから、時間さえ与えなければ大丈夫という判断だったんじゃないだろうか。


 ましてや俺達には学校がある。

 そして今の時期はテストがあるから、学校を休むという訳にもいかない。


 アリアが俺達のテスト期間や終業式を知っていたとは思えないが、どの学校も時期は同じくらいだという判断だろう。

 だからアリアは、おそらく終業式であるだろう日の、次の日を勝負決着日に指定したのだと思う。

 学校があるうちは満足に行動がとれないから、学校が終了する次の日には勝負を終わらせたかったという事だ。


 企業について調べる時間、株の流れを読む時間を十分に確保せずに、株価が安い会社を買うという賭けに出る――という手もあるにはあるが、雲母には絶対そんな選択は出来ない。

 いや、恐らくただの勝負ならそれしか勝機がないとすれば、雲母はアリアに勝つ為にそんな戦略をとった可能性が高い。


 しかし、今回の勝負で雲母が賭けているのは、自分が所有する全ての西条財閥の株――という名の、己の人生だ。

 そんな博打みたいな賭けに出る事なんてまず出来ないし、それどころか慎重に行動せざるを得ない。


 だから、十分に情報が得られない状態で、万が一にも株価が下がるリスクがあるのなら、資金が低いせいでやり直しが聞かないこの勝負では、買って売ってを繰り返し、お金を増やすというわけにはいかない。

 

 おそらく、アリアが雲母の株を全て賭けさせたのは、これが狙いだろう。

 いくらなんでも勝負に対して賭ける内容が大きすぎると思ったが、雲母に賭けに出させない狙いがあったのなら、納得がいく。

 そのためアリアは、雲母が堅実なやり方で勝負をしてくると考えているんじゃないだろうか。


 そしてアリアが単純に株の利益で勝負するのじゃなく、わざわざ所有する株の総額で勝負すると言ったのも、アリア以上に利益を出せる可能性がある、株価が安定しない株を買わせないためだろう。


 株価が安定しない株で勝負するのなら、株価が高くなった時点で売るのが絶対条件。

 何故なら、それほど時間が経たない間に急暴落する可能性があるからだ。


 しかし、今回は最終的に株を持っていなければいけないため、例えば最終日の株取引時間ギリギリまで株の上がる可能性があっても、もし株価が直前で急激に下がった場合に株を売る事が出来ないため、そのリスクを避けるために株が上がっている途中でも一度売って、決着が付くまでに別のきちんと安定している株を買うという戦略をとらなければいけない。


 となれば、見込んだだけの利益を手に入れられない可能性が少なからずある。


 勝負をする事になったあの日――雲母と会った事は偶然の筈なのに、咄嗟に雲母が気付かない様に雲母の行動を制限する縛りを思いつくなんて、考え方はくずだが、やはりあのアリスさんの妹なのだろう。


「――で、どうするの?」

 俺がアリアの事を考えていると、雲母が俺の顔を覗きこんできた。


「あ――もしかして、今回二億も海斗が準備したのって、そのお金と私がもつお金を合わせて、安い株価の株を大量に買って、予め勝負の十万円で買っておいた株の株価を引き上げるため?」

 雲母が『わかった!』という感じに、両手をパンっと叩き、俺にそう尋ねてきた。


 俺はその雲母の言葉に、首を横に振る。

「いいや、違う。雲母は俺よりも株に詳しいんだからわかると思うが、安い株を急激に引き上げたとしたら、これ幸いといった感じでその株を売る奴が急増し、たちまち株価は急暴落するリスクがある」


「じゃ、じゃあ、株を一気に引き上げたらすぐ売って、また別の株で同じようにするっていうのは?」

「それはもっと駄目だ。なんでそんな誰にでも思いつきそうなことを、アリアが縛らなかったと思う?」

 俺は雲母の言葉に再度首を横に振った後、そう尋ね返した。


「え、えと――あいつもするつもりだった……っていうのは違ったから、もしかして……罠……?」

 怪訝な表情をしながら聞いてきた雲母に対して、俺は今度は首を縦に振った。


「確信はないが、おそらくそう考えた方が良い。あいつはかなりの策略家みたいだし、そんな縛りをし忘れたとは考えられない。となれば、わざと縛らなかったとみるべきだろう。もちろん一回なら問題ないだろうが、何度もするのは避けるべきだ。なんせその行為は全国の人間を巻き込む行為だから、運営側とアリアが繋がっていれば、それを口実にされ即アカウントを凍結される可能性が高い。アカウントを凍結されれば、最初の勝負資金として用意していた十万円の動きを証明できないため、その時点で負けだ」

「じゃ、じゃあどうすればいいの……?」

 不安そうに聞いてくる雲母に対して、俺は笑顔を浮かべる。


「もちろん、俺達も平等院システムズの株を買う」

「え!?」

 俺が告げた言葉に、雲母は驚いた声を出した。


 恐らく雲母は、『それではこちらが圧倒的に不利な上、勝機は無いのではないか?』という疑問を持っているはずだ。

 確かに同じ株を買うとなれば、その可能性が高い。


 元の株価が高いせいで、多少の株価の変化では買える株数は変わらない。

 だから、良くて引き分けというのが可能性が高いだろう。


 でも、それについては俺に策があった。


「まず最初に、この三億で予め平等院財閥の株を買っておく」

 俺がそう告げると、雲母は俺がしようとしている事がわかったのだろう。

 すぐに首を横に振った。


「でもこれだけじゃあ、アリアが株を買った後に全て売ったとしても、おそらくはアリアより多く株を買う事は出来ない。それだけの株価が下がるとは思えないもん」

「心配するな。そこについてもちゃんと考えてある」

 俺自身、これだけでアリアよりも多く株を買えるなんて思っていない。


 だから俺はこの三億を、爆弾に例えるなら、誘爆の為に使うつもりだ。


「雲母はとりあえず、平等院財閥の株が二週間以内――いや、10日間以内に最低価格になるタイミングを読んでくれ。アリアが株を買う可能性はそのタイミングが一番高いし、アリアの後に株を買うというのが、今回の勝負で勝つ為の絶対条件だ。だから、俺に人生を掛けてほしいとは言ったが、それはあくまで俺の戦略に乗ってほしいという事で、この勝負はお前に掛かっているんだよ」


 俺は敢えて、『勝負が雲母に掛かっている』という事を口にする事で、雲母に戦略は俺が考えたとしても、勝負自身は雲母がしているんだという自覚を持たせる。

 こうすることにより、雲母は勝った時、自分の力で勝ったと思いやすくなるだろう。


 もしこれで雲母がプレッシャーを抱える事になり、そのせいで読み間違えをしたとしても、俺には関係ない。

 俺は俺で、アリアが株を買ったかどうかを調べる方法がある。


 その後雲母と別れて家に帰った俺は、このアプリをインストールした物であれば、どんなサイトにアクセスしても、位置情報や機器のアドレスなどの、個人を特定出来ないアプリを作った。

 それが完成した後、やっては駄目だという事を自覚しながらも、絶対に負けるわけにはいかないため、俺は株の取引きサイトをハッキングし、平等院システムズの株をわずか十万円という金で、株を買えるだけ買ったアカウントが無いかを調べ続けた。


 俺はその次の日、まず初めに如月先生に会い、俺の持つ二千万円を使って、如月先生の名義で作ったアカウントで、株取引をさせて欲しいと頼みに行った。


 平等院システムズの株価が急上昇するのであれば、それを利用して出た利益分を、今回の勝負で不利益をこうむる事になる雲母に全て渡そうと思ったからだ。


 その不利益は俺の戦略によって出る物だから、俺が補いたかった。

 そして不利益をまかなって余った分は、今回俺を信じて戦略に乗ってくれた雲母に対する、お礼――と言うと変だが、まぁ感謝の気持ちとして渡すつもりだ。

 俺自身の懐に入れたら、インサイダー取引が露見してしまう可能性があるしな。


 如月先生と別れた後は、白兎に接触した。

 白兎に協力を取り付ける事に成功した俺は、白兎が平等院システムズの噂を聞いたサイトを教えてもらい、複数のアカウントを足がつかない様に作って、『平等院システムズの経営が危うくなるんじゃないか』という懸念のコメントを載せまくった。

 

 まぁ、一人芝居という奴だ。

 これは過去にKAIの噂を定着させる為にした事があるから、割と慣れていた。

 そして平等院システムズの経営が危うくなっているという事は、ここ最近大した成果をあげられていない事と、株価がかなり微妙ではあるが、下がり続けているという事で、信じる輩が出てきた。


 そうこうしているうちに、雲母から株価が最低価格に来たという連絡をもらい、俺は平等院システムズの株を、アリアの代理人であるだろう人間が買うのを待った。

 そしてその人間は、それほど時間が経たないうちに発見する事が出来たのだ。


 だが、その人間が確実にアリアの代理人だという確証を得る必要があった。

 だから俺は、そのアカウントから登録情報を手に入れ、その人間へとその日接触した。


 まぁ、接触した理由は他にもあるのだが――後でそれもわかるだろう。


 そしてアリアが確実に買ったと分かった次の日――平等院システムズがアンチウイルスソフトを発表する当日なのだが、朝雲母と白兎を人目のつかない場所に集めた。


 朝早くに二人が来ると、まず俺は雲母と白兎に、事前に作った個人を特定されないアプリを渡した。

 そして三人で複数のアカウントを使い、きちんとした株サイトでおおやけに『平等院システムズの経営が危うくなっている』という噂を流し始めた。


 アリアはもう学園に行っているであろう時間だったため、表立って行動してもアリアは気付かず、株を売って買いなおす事は出来ない。


 裏で俺が元から噂を流していた事により、別の人間達もその会話に参加し始めた。

 そして時刻が九時になった瞬間、雲母に予め三億円で買えるだけ買っておいた株を売らせた。


 噂が流れていた事と、一気に株価が下がり始めた事により、雲母が売った株を皮切りにみるみるうちに株価が下がり始めた。


 そして雲母がまた噂を流すのに参加し、今度は白兎が事前に用意していたアカウントで株を買う為に、株価の変動を見続けた。

 それはきちんと金額を事前に計算していたため、白兎はそのタイミングを待ち続けた。


 何故雲母でなく白兎のアカウントで株を買う様にしたかというと、雲母の負担を減らす為と、この件で白兎が関わったという事を明確にする為だ。


 十万円で前日の最低株価で買えた株数よりも、一株多く買える株価になった瞬間――白兎が十万円で買えるだけ株を買った。

 そしてすぐに俺も、如月先生のアカウントで二千万円で買えるだけ株を買ったのだ。


 その後は俺達は噂を流していたアカウントの処分に移った。

 ただ、噂に影響された人間はそんなに多くなかったのと、俺達が噂を流すのをやめた事により、平等院システムズの株はそれ以降思ったより下がらず、俺達が買った株価と大差なかった。


 しかし結果――雲母はアリア以上の利益を出す事が出来たというわけだ。

 

 ……もちろん、テストには遅刻したが……。

 それは予め雲母に手を回してもらい、俺と雲母、それに白兎は後でテストを受け直す事が出来たし、叱られもしなかった。

 白兎もテストにはこだわっていないらしく、『お金をもらう為なら』と、喜んで俺達に参加してくれたのだ。


 これが、雲母に授けた俺の策略なのだった――。


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株の知識はないのですが、一般的な売り買を想定しました。でもそれでは勝負にならないし作中の雲母と似たような考えでした。サイトで印象操作をすることで少なからず株価の操作ができてしまうのですね、80年代みた…
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