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第45話「学園パニック」

「えへへ」

 私は家に戻って海君と部屋の前で別れると、自分の部屋に入って思わず笑ってしまった。

 それだけ、今日の事は私にとって凄く嬉しかったの。

 

 だって――海君のおかげで、今日は人生最高の誕生日になったんだもん!


 遊園地デートが出来ただけでも凄く嬉しかったのに、誕生日ケーキをサプライズで用意してくれてるだけじゃなく、最後には綺麗な夜景を背景に誕生日プレゼントをもらったんだよ!

 もう、胸がどきどきし過ぎて苦しいよぉ……!


 ジェットコースターに乗った後は凄く泣きそうになったけど……その後の誕生日ケーキが、凄く可愛くて美味しかったから嬉しかった!

 海君が店員さんに見惚れてた時は胸がモヤモヤしたけど、あの店員さんは私達をカップルだと思ってくれたから良い人だよ!

 

 店員さんの言葉が嬉しくて頬に手を当ててたら、海君がいきなりこっちを振り向いちゃったから思わず顔を背けちゃったけど……。

 顔凄く熱かったけど、赤くなってたのバレてないよね?


 それにそれに、夜道で思い切って海君の手を握ったんだけど、海君当たり前みたいな態度をとってくれた!

 もう次から普通に繋いじゃってもいいかな!?

 それに恋人繋ぎしてみても良いかも!

 

 というか、海君意外とロマンチストだよね!

 あんな綺麗な夜景が見えるとこまで連れて行ってくれて、そこで誕生日プレゼントを渡してくれるなんて!

 しかもペンダントを着けてッてお願いしたら、本当につけてくれたの!


 海君の顔が凄く近くまで迫ってきて、凄く胸がドキドキした!

 そして、最後に名前で呼んでほしいってお願いしたら、これからはそう呼んでくれるって言ってくれた!

 もうこれって、ゲームで言うルートに入ったんじゃないかな!?

 後はデートを何回かして、付き合うだけじゃないの!?


 ……まさかここまできていきなり新しい子が出てきたり、他の女の子に盗られたりしないよね……?

 いくらなんでもそれはひどいよ?


 私そんな事になったら泣くからね!

 そして一生恨み続けるよ、神様!


 私は神様にそんな事を言いながら、海君からもらったプレゼントを取りだす。

 羽をモチーフに作られていて、羽の根元にはルビーを模したガラスが埋め込まれてる。

 わざわざ誕生日石まで合わせてくれるなんて、海君本当凝ってるなぁ……。


 本当は肌身離さず着けておきたいけど、流石に学校には着けていけれないんだよね……。

 それに大切にしたいから、これは海君とデートする時だけ着けていこっと!


 私はそう決めると、海君からもらったプレゼントを大切にしまった。


 コンコンコン。


 そうしていると、ドアが誰かにノックされた。

 

 ……海君かな?


 私は海君だと嬉しいなと期待を込めながらドアを開ける。

 すると――

「えへへ、誕生日おめでとう、お姉ちゃん」

 そう言って、桜が笑顔でプレゼントを差し出してきた。


 ……かわいい!

 何この子、天使みたいにかわいい!


 私は思わず抱きしめたくなる衝動を我慢する。

「ありがとう、桜。わざわざごめんなさいね」

 そう言って、クールな姉を気取る。

 

 ……いいじゃん!

 やっぱ妹にはカッコイイお姉ちゃんで居たいもん!


「ううん、喜んでくれると嬉しいな」

 桜はそう言うと、私が誕生日プレゼントを開けるのを待ってるみたいだった。

 私は丁寧にプレゼントを開ける。


 すると、小さいハートが付いてる細くて可愛いブレスレットが出てきた。

「これって高かったんじゃないの?」

 私は思わず、桜にそう聞いてしまった。

 少なくとも、学生の身でそうそう買える物ではないはずだと思う。


「えへへ――いつもお姉ちゃんにはお世話になってるから、頑張っちゃった」

「あなたって子は……」

 私は桜に思わず苦笑いしてしまう。

 どちらかというと、家事全般をしてくれている桜に私がお世話になっているはずなのに、桜はお世話になってるからと言って、自分のお小遣いでこんな高そうなものを買ってくるなんて……。


「ありがとう、桜。凄く嬉しいわ」

 私はそう言って、桜の頭を撫でる。

 桜は気持ち良さそうな表情をして、私に頭を預けてきた。

 

 本当に桜はかわいいなぁ……。


 海君からのプレゼントも凄く嬉しかったけど、同じくらい桜からのプレゼントも嬉しい。

 だって桜は私にとって可愛くて大切な妹だもの。


 私は今日は海君の部屋に遊びにいかず、桜を部屋に入れて寝るまでお話をするのだった――。





 休み明け――学園は大騒ぎになっていた。

 まぁ……こうなる事はわかっていたんだけどな……。


 学園がパニックになってる原因は、咲姫に彼氏が居たという噂が流れたせいだ。

 男子の中には悲鳴を上げたり、泣き叫ぶ奴もいた。


 これだけで、咲姫がどれだけ人気があるかよくわかる。

 ただ、事実を知る俺としてはそんな男子達を(あわ)れむのと同時に、これからは咲姫に変な男が言い寄らなくなる事に安堵していた。


 ……うるさいな……。

 そうだよ、咲姫に男が言い寄ると咲姫の事が心配になるんだよ。


 だってあいつ、凄く可愛いんだぞ?

 姉というより妹みたいな感じはするが、そんな可愛い姉弟が他の男に言い寄られてたら誰だって心配になるだろ?


 だから、こういう噂で咲姫の周りから変な男が消えるんなら、俺にとっては有難い限りだ。


 ……俺に被害が無ければだけどな……。


「どういうこと……?」

 現在、俺は西条の手により教室から連れ出され、人気のない廊下で詰め寄られていた。

 

 いつもの逆パターンである。

 

「何の事だかわからないんだが?」

 俺はそんな西条に首を傾げた。

 いや、本当はわかっている。

 ただ、こいつの雰囲気が只ならないせいで、咄嗟(とっさ)にとぼけてしまったのだ。


「桃井の彼氏って、あんたでしょ?」

「何を馬鹿な……。全くもって身に覚えがないんだが?」


「ふ~ん……。桃井と彼氏が連れ歩いてたのって、七月七日らしいのよね~? あれ、確か私の記憶では、その日誰かさんが桃井と遊ぶ約束をしていたような~?」

 西条はそう言って、俺の方をチラチラと見てきた。

 

 こいつも中々(たち)の悪い事をするな……。


「そうだよ、その噂の相手は俺だ。ただお前だけには言うけど、別に桃井と付き合ってるわけじゃない。男()けにそうしただけだ」

 俺はそう言って、西条に事実を説明した。

 こいつは桃井にもう危害を加えないだろうから、この話をしても誰にも話さないだろう。


「本当でしょうね……?」

 だが、西条は何故か俺の言葉を信じていなかった。


「いや、普通に考えてみろよ。あの桃井が俺なんかを相手にすると思うか?」

「海斗ってどれだけ自分の評価が低いのよ……」

 俺が一番強い根拠を言うと、何故だか西条が呆れていた。

 自己評価が低いわけではなく、それが事実なんだけどな。


「まぁ海斗がそう言うなら信じるけど……桃井の時にきちんとお洒落したのに、私の時は何もしてこないとか言わないよね?」

 俺が何か言う前に自分の中で決着をつけた西条が、ジト目で俺にそんな事を言ってきた。

 一体何がそんなに気に入らないのか……。


 ただ、西条の時にもお洒落はしていく。

 咲姫とはまた違う意味で、西条は俺にとって大切な子だから、恥をかかせたりはしたくない。


「わかってるよ。西条の好みに合うかはわからないが、身嗜(みだしな)みはきちんとするさ」

「そっ、ならいいけど。あ、それじゃあ話変わるけど、私達の担任今月一杯で産休に入るらしいよ」

 俺の返答に満足したらしい西条は、今度は別の話を振ってきた。


 機嫌が直ったのは結構だが、もうすぐ授業が始まるんだけど?

 

 授業に遅れたくない俺は、西条の言葉を軽く流す事にした。

「そうか、まぁ仕方ないだろ」

「あれ? あんまり興味ないって感じ?」

「そうだな。あまり俺は絡んだ記憶も無いし……」

 俺は基本、担任と会話をしない。

 いつも仕事を押し付けてきていたのは担任ではなく、同級生だったしな。


「ふ~ん、じゃあもういいや。どうせ後任が誰だか興味ないんでしょ?」

「そうだな。それより、教室に戻らないと授業に遅れるぞ」

 俺は西条にそう答えると、教室に足を向けた。

「は~い」

 西条は俺の言葉に返事をすると隣に並んできたので、一緒に教室に戻るのだった――。

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