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第40話「私、金髪になる!」

読み専(?)の上さんからレビューを頂きました!

ありがとうございます!


そして質問についてですが――最初、どういうこと?って思いました。

ただ、読み直して理解できたのでお答えさせて頂きます!

子供っぽい見た目なのに、母性キャラが良いと言うあなたには――『おうちに帰るまでがま〇まろです』がオススメかと!

皆さんもやってみてください!

 明日――桃井の誕生日を控えた現在、俺は中々のピンチに陥っていた……。


 ただそれは、未だに桃井のプレゼントが決まっていないとか、そんな間抜けな理由じゃない。

 それくらいの事、俺に掛かればお手の物だった。


 …………本当はもう思い返したくもないくらい、辛い思いをしたんだがな……。


 如月先生に教えられた店に行ってみたのは良いものの、実際店に入ってみると店員も客も女性しかいなかったのだ。


 そして――俺に集まるのは嫌な視線ばかり……。

 かと言って、桃井のプレゼントを買える所を他に知らない、尚且なおかつ適当に選ぶわけにはいかないと言う事で――俺は頑張って女性たちの視線に耐えながら、プレゼントをゲットしてきたのだ。

 幸い、あのファッションセンスだけが取り柄の如月先生が教えてくれただけあって、良い物を見つける事が出来た。


 それに、如月先生がプレゼントを渡すのなら絶対ここで渡せと教えてくれた、先生の住む町にある夜景が綺麗なスポットも知る事が出来た。

 これで明日の準備はバッチリだと思っていたのだが――現実は甘くなかった……。


 ――と言うのも……サバトウィッチが終わったため、新たなエロゲーを準備したのだが――どうやらそのエロゲーが気に入らなかったらしく、桃井が隣で頬を膨らませて拗ねているのだ。


 この姉妹は拗ねたら頬を膨らませる為、凄くわかりやすい……。 

 まぁ桜ちゃんの場合はそれを通り過ぎて怒らせてしまうと、効果音付きのニッコニコ笑顔が待ってるのだが……。


 ……なぜ桃井が拗ねてるかって?

 

 ……俺が聞きたい!


 そもそも桃井がこうなった原因になるエロゲーが、『金色エンジェル』と言った、もうすぐファン待望のFDファンディスクが発売されるゲームなのだが……。 

 俺としてはFDが発売されればすぐプレイしたいため、今のうちに桃井にやらせておこうと思ったのがキッカケだ。


 それにこのゲームは、好みによって推しキャラは別れる――逆に言えば、ヒロイン達全員にファンが付くほど、ヒロインキャラはみな可愛い。

 そしてシナリオも良く出来ており、グランドルートなんてプレイした人のほとんどが涙を流したほどだ。

 

 ……この台詞、前も言ったな……。


 まぁそれはさておき、実際俺もグランドルートをクリアした後は、他の事が何一つ手につかなかったほどだ。


 だから俺は普通に桃井に勧めたのだが――タイトル画面を見た桃井が俺にこう聞いてきた。

『どうして、みんな金髪なの?』――と。

 

 その質問に俺は『だって、メインヒロイン全員が金髪ってのがこのゲームの売りの一つだし』と答えのだ。


 そしたら桃井が――『やっぱり金髪が……』と呟き、そっぽを向いて頬を膨らましだしたのだ。

 

 俺はわけがわからなかったため、桃井に理由を尋ねたのだが――まさかのオール無視……。


 明日桃井と出かける事になっているのに、こんな気まずい状態で明日など迎えたくもない……。


 ……もしかしてあれか?

 金髪自体が気に入らないのか?

 前もテレビに映る平等院アリアに対してなんだか反応してたしな……。

 だから、金髪から西条を思い出して嫌がってるとか……?


 そしたら、桃井に悪い事をしてしまったな……。

 俺が無神経だった……。


 俺は自分のエロゲー選択ミスに、後悔する。


 ……なんだよ、エロゲー選択ミスって……。


 俺はなんともこの雰囲気に似つかわしくない単語に、脳内でつい突っ込んでしまった。


 俺がそんな風に一人考えていると、桃井が急にバッとこっちを振り向いた。


 そして高らかに――

「私、明日学校が終わったら金髪にする!」

 ――と、宣言した。


「はぁ!? お前、いきなりどうしたの!?」

 当然、俺はそれに対して驚く。

 というか、これで驚かない人間はいない。


「もう決めたの! 私は金髪にする!」

「いや、馬鹿か!? お前がそんなことしたら学校中大騒ぎだぞ!?」

 俺は、何故かガッツポーズまでして意志を固めてしまった桃井にそう言った。 


 実際桃井が金髪に髪を染めてしまえば、次の日には一年生から三年生まで桃井の話で持ち切りになるだろう。

 あの真面目な優等生で、綺麗な黒髪を誇る才色兼備の女が金髪とか、まじで笑えない。


 絶対生徒達は理由を探るだろう。

 それがまさか、エロゲーに影響されましたとか、誰が言えようか……。


「だってだって、もう金髪にするしかないもん!」

 俺の言葉に、これまたわけのわからない返しを桃井がしてきた。


 一体何が金髪にするしかないのか……。


「とりあえず落ち着け! まず……何故金髪にしようと思うんだ?」

 俺は桃井がそんな結論に至った理由を聞き出すことにした。

 理由がわからなければ、説得をしようがないからだ。


「……かい君のせい……」

 俺の質問に、桃井が何故か拗ねたような表情をして、理由が俺だと言い出した。


 ……これはあれか?

 俺が金髪のメインヒロインしかいないゲームをさせようとしたからという事か……?


「あのな……いくらなんでも、エロゲーに影響されるのはどうかと思うぞ……?」

 俺は呆れた顔をして、桃井にそう言った。


 いや、エロゲーの事を馬鹿にしてるわけじゃないぞ?

 ただ、あまりの理由に説得の言葉が他に思い浮かばなかったんだ……。


「じゃあ海君は、このゲームの()()()()の中で誰が一番好きなの!?」

 桃井は拗ねた顔で、そんな事を言ってきた。


 ……ふむ、なるほどなるほど――――全くもって意味が分からん!!


 何故今の話の流れからそうなる!?

 今はエロゲーに影響されて金髪にしようとするな、と言った話をしていたはずだが!?


 だがしかし――何故だか、頬を膨らませて必死そうな表情をしている桃井にそんな事を言っても、聞く気がしない。

 とりあえずこの質問に答えて、その後金髪を止めるように説得しなおした方が賢明な気がする……。


『このゲームのヒロインで誰が一番好きなの?』か……。


 それなら俺は――

「この黒髪ロングの委員長だけど?」

 ――と、このエロゲーのホームページを開き、本音で答えた。


「え?」

 桃井は俺の返答に意外そうな顔をする。


「どうした?」

「え、だって……その子って、サブヒロインじゃないの?」

 桃井はホームページ画面に映る女の子の説明を読みながら、首を傾げていた。


「だって桃井、『このゲームの()()()()で』って言ったろ? その子はサブヒロインだけど、ヒロインには変わりないし、俺はその子が一番好きなんだよ」

「……海君って、ドMだったの? 私、前みたいに冷たく接した方が良い?」

「なんでだよ!?」

 西条にしろ、桃井にしろ、何故勝手に俺に変な性癖をつけるんだよ!


「だってこの子、ドSで毒舌って書いてるし、主人公の事を毛嫌いしてるみたいに書いてるじゃん。いいよ、正直に言ってくれて! 海君が望むなら、私は罵倒してあげるから!」 

 俺は、笑顔でそんな事を言う桃井の言葉に、頭を抱える。


 もうこの子は色々と頭の回転がおかしい……。

 なぜ、そんな事を笑顔で言えるんだ……。

 

 俺は桃井のあんまりの解釈に嫌気がさすが――このまま変な性癖を持ってると思われるのは我慢ならない為、少しネタバレになってしまうが、桃井に説明する事にした。


「この子はあるヒロインのルートで、主人公と急激に距離が縮まるんだよ。まぁ、一気に距離が縮まりすぎるってのはあったが、元々嫌われてるヒロインと仲良くなっていく行程ってのが、俺は一番好きなんだ。それに、このキャラの見た目も一番好きだ。黒髪ロングが似合う清楚系って良いなって思う」

 

 ……あれ?

 俺は今自分が言った言葉で、ふと気になる事が出てきた。


 俺と桃井の関係って、俺が好きなシチュエーションだよな……?

 元々嫌い合ってた者同士が仲良くなっていくって……。


 それに、桃井は凄い綺麗な黒髪を長く伸ばしていて、清楚系に見える。

 それはつまり、俺が最も好きな――。


「――っ!」

 俺は、今自分の頭によぎりかけた考えを慌てて吹き飛ばす。


 桃井相手に何を考えてるんだ俺は……。

 桃井は家族だぞ?

 それに、そんな視線を向けてしまえば、桃井から嫌われてしまう。


 ……前に桃井と喧嘩した時、花姫ちゃんに桃井の事をどう思ってるのか聞かれて、『ちょっと気になってはいる』とは答えたが、その考えはやっぱり持ったら駄目なんだ。


 それは――今の俺達の関係を壊す事に繋がるから……。


「そっかそっか、海君はこのキャラが好きなんだ……」

 俺が自分の事をいましめていると、桃井がなんだか嬉しそうに笑っていた。


 ……あれ、機嫌が直ってる……?

 俺が黒髪委員長の事が一番好きだって言ったから?

 あぁ、自分に似てるから、そのキャラが褒められるのが嬉しいのか。

 そういえば、前も桃井に似たキャラを褒めたら喜んでいたもんな……。


「うん、そのキャラって実際、言うほど冷たくないんだよ。結構言ってる事は酷いけど、プレイしてればそのキャラの良さがわかってくるから、プレイしてみないか?」

 俺がそう言うと、桃井は嬉しそうに頷いた。


「じゃあ、このキャラのルートが最初だね!」

 ――と、的外れな事も言ってきた……。


「いや、だからそのキャラはサブヒロインだからルート無いってば……」

「むぅ……」

 俺がルートが無い事を言うと、桃井がまた拗ねて頬を膨らませた。


 ……なんだよ、このループは……。


 俺はそう思いながらも、このループを抜け出す一言を言う。

「でも、もうすぐ発売されるFDでは、その子のルートも追加されるぞ」

「じゃあ、その時はこの子が一番最初だからね! そうと決まれば、早くこのゲームをやらなきゃ!」

 俺の予想通り、この黒髪委員長のルートが追加されることを知った桃井は、嬉しそうに特等席(パソコンの前の俺が座る横)に座って、タイトルのスタートという文字をクリックするのだった――。


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