第262話「アリスルート24」
「華恋さん、久しぶりですね」
久しぶりに会った彼女に対し、俺は笑顔を向ける。
「あっ、同い年だから、敬語じゃなくていいよ……」
華恋さんは照れくさそうに笑いながらそう言ってきた。
確かに、同い年なら敬語は変だ。
「それじゃあ、これからはタメ口で話すね」
「う、うん……!」
タメ口のほうが嬉しいのか、華恋さんは可愛らしく笑ってくれた。
相変わらず、同い年というよりも桜ちゃんみたいに凄く年下に見える。
「そういえば、華恋のお姉さんってカイ君が通ってる学校で教師してるらしいね?」
「花宮さん、その呼び方は……」
「ん? 何か変かな?」
俺が視線を向けると、花宮さんはニコッと笑みを浮かべた。
絶対に俺が言いたいことをわかってとぼけている顔だ。
だけど、呼び方が同じだけでピンとくる人間はほぼいないから、あまり目くじらを立てるのもよくないか。
「海斗、悪いけど僕は案内をできないんだ。あまり生徒会長一人に任せてると、後で文句を言われるからね」
「まぁ、そろそろ行かないと元生徒会長たちに怪しまれてるだろうからね」
龍の言葉をフォローするように、花宮さんが言葉を付けたした。
内容が内容だけに、バレるリスクは避けたいんだろう。
「ということで、君の案内は佳織と華恋ちゃんがしてくれるから、後のわからないことは二人に聞いてね」
龍がそう言うと、花宮さんが額に手を当て、手だけで敬礼のポーズをして笑みを浮かべた。
華恋さんに関しては、ご機嫌そうに笑顔で体を揺らしている。
「どういう人選なんだ?」
「華恋ちゃんは元々知り合いだったみたいだし、佳織に関してはまぁ、君について理解が深いからね」
「なるほど……」
正直言えば、喫茶店で慣れた桜井さんのほうが花宮さんよりいいけれど、俺の技術関係に関して深く踏み込まないようにしてくれたんだろう。
あまり興味を持たれると今後が大変だから、有難い気遣いだ。
華恋さんに関しては、多分天然だから深く考えないと思ってるんだろうな。
とりあえず、水沢さんよりはマシだったと思っておこう。
「他の子たちは、君のことが僕の彼女と元生徒会長にバレないよう対応するから、ここで別々の行動になるね」
「うん、わかった。じゃあ、俺はそろそろ視察に行ったほうがいいかな?」
「そうだね、あまりここで話してても目立っちゃうし」
こうして俺たちは、一旦わかれることになった。
久しぶりの更新というか…ちょうど半年ぶりの更新になりましたね。。。
お待たせしました。
現在忙しいのでまちまちの更新になりますが、
完結まで更新していこうと思います。