第256話「アリスルート18」
新作『無理矢理登録させられた恋人マッチングアプリでマッチしたのは、疎遠になっていた幼馴染みでなぜかそのまま付き合うことになったんだけど』を公開しました!
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「アリスさん、それって……?」
「…………」
戸惑いながら俺がアリスさんを見つめると、彼女は熱がこもった瞳でジッと俺の顔を見つめてきた。
どうやら俺の質問には答えてくれるつもりはないらしい。
だけど彼女の真っ赤な顔がもう答えを言っているようなものだった。
俺は自分の胸が高鳴り、顔が熱くなる感覚に襲われる。
そして自分の中で自問自答を始めた。
アリスさんの気持ちは十分にわかったし、俺が彼女に向ける気持ちもちゃんと自覚している。
だけど、相手から言われたからといってそれに乗る形でいいのだろうか?
それは自分の意思で決めず、ただ流れに身を任せているだけのような気がする。
そういうのは正直言って嫌だった。
しかし、ここで答えを求められているわけではない。
だったら今無理に答える必要はないだろう。
「アリスさんにそう思って頂けて、俺は幸せ者ですね」
俺は彼女の言葉に答えず、そう誤魔化すことにした。
しかし、その代わりにギュッとアリスさんの体を抱きしめる手に力を込める。
賢い彼女のことだ。
これだけで俺の気持ちを理解したのだろう。
嬉しそうな声を漏らして微笑んだのが後ろからでもわかった。
大人みたいな人なのに、時折歳相応な表情を見せるのはずるいと思う。
ギャップ萌えというか、かわいらしい笑顔が普段以上に魅力的に見えた。
こんな笑顔を見せられると、必要ないとわかっていてもこの子のことを守りたいと思ってしまう。
――あぁ、やっぱり俺はアリスさんのことが好きなんだ。
それは尊敬する人とか、親みたいな人だからという意味ではない。
ちゃんと一人の女の子として俺は彼女のことが好きだ。
けじめをつけないといけないことは多いけれど、胸を張ってそう言えるようにしよう、と思った。
ちょうど龍から頼まれていることがあるし、これはちょうどよかったのかもしれない。
「アリスさん、クリスマスイヴって空いていますか?」
「えっ……まぁ、空けられなくはないけど……」
俺が急に話を切り出すと、アリスさんは珍しくも少し困惑したように答えてくれた。
チラチラと俺の顔を見上げ、何かを期待するかのような視線を送ってくる。
この人のこんな姿もとても珍しいだろう。
なんだろう、本当にこう見るとただの高校生の女の子だ。
昔龍が言っていた通りだな。
「問題がなければ、その日俺に付き合ってもらえませんか?」
「いいけど、どうして?」
「来てほしいところがあるんです。きっと楽しんで頂けるはずなので」
俺がそう言うと、アリスさんは少しだけ考える素振りを見せた。
だけど――小さくコクリと頷いて、クリスマスイヴに時間を作ってくれることを約束してくれるのだった。